再生への旅

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zoom RSS 今は昔、能登民宿ブーム

<<   作成日時 : 2010/06/12 18:56   >>

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梢吹く風見てゐたる昼寝覚  玉宗

昭和五十年代頃、能登半島ブームというのがあったらしい。能登空港や半島を縦断する有料道路は勿論、国道も十分に整備されておらず、一方、国鉄路線は輪島まで延びていた。陸の孤島、断崖絶壁の最果て、その未知なる秘境というイメージが若者を始めとする多くの観光客の旅情を誘ったのだろうか。

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大本山総持寺祖院・仏殿


輪島の朝市は年間百万人以上、門前の総持寺祖院なども観光の目玉として年間数十万人が訪れたらしい。輪島では民宿が大流行りで、海士町の漁師さんなども看板を掲げていた。檀家もない永福寺もまた、民宿組合に入り『永福』という看板を庫裏に掲げていた。私が婿入りした当時もまだ観光客を受け入れていた。多くは夏休みの一ヶ月に集中し、多い日で六十人ほどのお客さんが一泊二食でお寺の民泊を体験していたのである。

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輪島市袖が浜夕景

私が来る以前には、お客さんの寝る場所が足りなくなり、本堂に寝てもらったこともあるという。お寺だからといって精進料理を出す訳でもなく、地元の新鮮な魚料理を提供していた。厨房は義母と義姉と妻が担当。義父と私の男二人は駐車場整理、蒲団引き、部屋掃除、皿洗いなどを任されていた。てんてこ舞いの日などは親戚の者に応援を頼み凌いだ。あの忙しさも今は昔の思い出となってしまった。

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輪島崎神社

昭和六十年代に入ると民宿を利用する観光客も少なくなる。能登の観光客がどのような変遷を辿っているのか詳細は知らないが、輪島に限って言えば、宿泊客が激減したのではないだろうか。能登半島全域が観光スポットとしての注目度が低くなったこともあるだろうが、観光客が減り始める前後から半島全域の道路が整備される。皮肉なことに自家用車利用の観光客が増え、鉄道の廃止と相俟って、輪島は泊る所ではなく、通りすがりの観光地になってしまった。

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珠洲市恋路海岸・見附島(軍艦島)

そこには情報化時代の影響も見逃せないだろう。多様化する観光意識の変化。民宿のような素朴さより旅の満足度を高めるものがあるのだろう。観光産業も又、需要と供給のバランスの中で営まれているに違いない。民宿もその様な現実を生き延びてゆくバランス感覚と対応が必要なのだろう。受け入れる者の意識も又、ブームの中で流されたものがなかったかどうか、信用を失うようなことがなかったかどうか、点検してみる事も大事のように思われる。

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民宿「永福」


いづれにしても、民宿「永福」は開店休業となって二十年になろうとしている。







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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
> 管理人様

> 皮肉なことに自家用車利用の観光客が増え、鉄道の廃止と相俟って、輪島は泊る所ではなく、通りすがりの観光地になってしまった。

重要なご指摘ですね。おそらくは、利便性と、更なる観光客誘致のための道路開通が、結局はその土地の産業を破壊するという結末は、皮肉以外の何ものでもありません。
tenjin95
2010/06/12 19:40
禅寺が民宿で繁盛した時代があったとは。そんな時代に泊ってみたかった気がします。道路整備のストロー効果(強い方へ人が引き寄せられる)があったのではないでしょうか。
 今なら「座禅体験つき禅寺民宿、人生相談1時間まで無料」なんてのは、どうでしょう。都会のサラリーマンやOLには魅力的かもしれません。
志村建世
2010/06/12 22:20
熊本県阿蘇郡にある「黒川温泉」が
何故いつも人気があるのか
行って見ると分かります
何しろ自然が主役の確かな
思いが伝わってきます
たったひとりの頑固者が始めた
湯の郷の原点
簡単なようでこれがなかなか・・・
リピーターの多さでも群を抜くとか
学ぶべきは多い所です

雨しきりお客は蟻だけ風鈴草    よし

yoshiyoshi
2010/06/13 06:23
tenjin95さま。それもこれも生活のひとこま、ふたこまですね。時代の流れには抗しようがないと思う事が多くなりました。
志村建世さま。商売はやる気がなければ話しになりませんね。気力体力ともにお寺の民宿は断念しています。
よしさま。自然が主役、いいですね。観光産業の寄って立つところの基盤ですね。授かりものですね。ないものねだりをしても栓ないですが、知恵と工夫次第で乗り越える人もいるのでしょうね。合掌
市堀
2010/06/14 20:47

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