再生への旅

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zoom RSS いのちを悼むこころ

<<   作成日時 : 2010/07/24 04:51   >>

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眠さうにまぶしさうにも合歓の花  玉宗

喉の痛みをのど飴と龍角散で和らげてなんとか葬式を済ますことが出来た。
ところで今回、葬儀会場の控室でお坊さんたちがいつになく喰いついている話題があった。

スーパー大手のイオンが葬祭業に進出し、お坊さんへのお布施の金額まで商品化しているとかいないとかで、宗教界が騒がしくなっているというものである。

イオンの進出は葬祭業という仮面を被った死体に群がるハイエナのようなものだ、という宗教界の危惧は、自らのタブーを守ろうとする時代認識の甘さがある。その一方、布施を労働対価的報酬としか見てとれない葬祭業者や国民もまた哀れなものだ。どちらも欲の皮の厚さでは五十歩百歩ではないか。

遺族たちは棺を覗きこんで死者に語りかけ、泣き、嘆いて最後の別れをする。そのような生々しい現場を目の当たりにしていると、葬儀と云う形態は時代と共に変化しても、人の死を悼む心というものは原始から変らないものであり続けるだろうと思った。

わがことのように人の死を悼む。なぜだろう?本能的とさえ思われるこの共感は。命はどこかで繋がっているのではないかと思わずにはいられない。

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今でも忘れられないお葬式でのひとコマがる。

今年七十歳を迎えた喪主の男性には足の不自由な精神障害を持った二つちがいの弟がいた。小さいころから養護施設に入ることもなく、実家を継いで商売をしている兄とともに暮らしていた。
五十歳を過ぎていたその弟はお寺の縁の下が好きでよく遊んでいた。ある時、小火騒ぎを起こした。兄はお寺へ駆け付け土下座をして謝った。
又、弟は賽銭を盗むことを覚え、何度もお寺の住職に見つかっては諭されていた。しまいにはお坊さんの姿を察知すると不自由な足を引き摺っては逃げるようにさえなっていた。兄はその度にお寺へ詫びを入れに足を運んだ。そんなことがあっても兄は弟と一緒に商売を繁盛させながら一緒に暮らしていたのである。

そんな弟が亡くなった。喪主となり弟の葬儀をした兄は挨拶で次の様なことを述べた。

「弟は生まれながらに障害を背負って生きてきました。町の皆さんにはご迷惑ばかりかけて申し訳なく思っています。然し、私にとってはかけがえのない弟なのです。弟が我が家の悪縁をすべて引き受けてくれていたのです。お陰さまで商売も順調に繁盛させて戴けるのも弟が私どもの不幸を全部背負ってくれたからです。私はそう思っています。そんな弟をどうして手放すことが出来るでしょうか。一緒に暮らしていることで私も救われていたのです。」

彼もまた弟の亡きがらが横たわる棺を前にして嗚咽していた。

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この世に生まれて来るべきではなかったなどという命はない。
何故か?生まれて来たことは私の都合ではない。みな神仏の思し召しである。責任を云々するなら神仏こそ私の生死の責任をとるべきである。私は私になるために産み落とされた。この如何ともしがたい事実の尊さは比較を越えている。社会的に間に合うか合わないかだけが命の尊さではない。

神仏の思し召しであるこの世とは又、すべてわが命の世界模様であり、すべてがわが心模様に彩られる世界でもある。こころ豊かに、清らかに生きる。それを人生の一義とする。いのちという広やかにして汚れなき無私なるもの。宗教はここに重心を置いている。布施に重心があろう筈はないと思いたい。





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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
生命をば等しく分けて蝿生まる   よし
yoshiyoshi
2010/07/24 06:07
こちらにも大型店舗がありますが
いずれイオンマークのセレモニーホールが
できるのでしょうかねえ・・
尊い兄弟のお話、心に沁みました。
遅ればせながらクロちゃんに合掌。
あかね
2010/07/25 01:40
 よしさま。
一句ありがとうございます。
「当てつけのごときに蝉の抜け殻は  玉宗」

 あかねさま。
コメントありがとうございます。
宗教界にも便利さと安さを求める世の風潮が及んでいるのでしょうね。流れを見守るしかありません。
クロちゃんのお見舞い、ありがとうございます。
あかねさんも猫派でしたね。
暑い日が続いています。お大事に。合掌
市堀
2010/07/26 07:17

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