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zoom RSS 山頭火の血を引く新人!

<<   作成日時 : 2010/12/17 04:42   >>

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しぐれがちなるわが魂の甘く苦し 玉宗

webマガジン「週刊俳句」代表管理人の上田信治氏から、邑書林発行『セレクション俳人・プラス・超新撰21』という物々しい俳句アンソロジーを寄贈して戴いた。同社からは前年に『新撰21』刊行されており、俳壇では注目されたらしい。「今まで見えにくかった20代から40代までの俳句のコアが顕在化してきたといえるのではないか」とは島田牙城氏のあとがきの中の言葉である。

凡例には次のような項目があった。
「本書は2010年元旦現在五十歳未満で、2000年以前には個人句集の出版および主要俳句賞の受賞のない俳人を対象に、『新撰21』の続編として編者間の議論を経て選定した二十一名によるアンソロジーである。」

「二十一名のうち二名を公募枠とし、編者三名による厳正なる選考を経て確定させた。」

収録俳人一人につき、過去の全作品より自選主要100句と、それぞれの俳人小論がそれぞれ別の俳人によって執筆されている。所謂、作品を無防備に発表するアンソロジーとは大いに趣を異にする、現代俳句の今を見据えようとする力の入った試みであると思う。
二十一人のうち三、四人を除いて殆どの俳人は私の知らない方々だった。その中で公募枠の二名の中に選ばれた一人の若き女性俳人に注目した。

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『ザ・ヘイブン』種田スガル氏である。見開きには顔写真の代わりに白黒のバラが載っている。そして短い自己紹介文。
「一九八六年一二月九日神奈川県川崎市生。俳号の種田は高祖母の兄であった種田山頭火から。2010年句作開始。」「このHavenは、二十三の私の影の形」
ヘイブンとは避難所ということだろうか。定型詩が私の避難所、私の影の形だと言うのである。

作品を少し紹介しよう。


『ザ・ヘイブン』抄

終わり方知らぬ堕落の途
生死の苦悩尽きる瞬の間に何創造す
母の慈愛降り積もりて 発狂す多摩川べり
もう一度覚醒を吹き込んでこのいのち
脆いから熟れうる あなたが触れて萎える
標本になる草食男子の数や どこまでいけば美味
誰がために 全うな道置いてきた十六の夏
朽ちて傷む二十三の私の影(しゅごれい)まで奪るか
海辺に打ち上がる妻たちの午後
肉体に宿らない琴線に触れる
閉じ込め飼い馴らす私のようなアナタ
運命を宿された詩と血の宿命
夢食い案内人に箒もたされ毎夜の情事
スクロールしていじっているあなたを捨てる勇気


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スガル氏を強く推した高山れおな氏の小論には次のような事が書かれている。
「発狂と発情
・・・昨今稀な私性に貫かれた内容を、散文性にまさった剛直な文体に乗せての爆走が続く。「ザ・ヘイブン」は、相対的な上手下手の基準の埒から徹底的に外れている点で、他の六十余篇の応募作とも、十九篇の入集作品ともはっきり一線を画している。別の言い方をすればこの百句には、俳句的教養の痕跡がほぼ皆無なのだ。・・・」

「ここ数年で俳句シーンに登場した若い女性作者と共通する深層の基盤が感じられる。・・これらの句を二十一世紀女子自由律とでも名付けてしまいたい誘惑に駆られる。草食系男子の俳句相望俳句(その技術主義)と、肉食系女子の二十一世紀自由律(その倫理主義)がテン年代俳句を推進する車の両輪となる、かどうかは保証の限りではないものの、・・・・」

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俳句界もまた女性に席捲されているのはだれもが認めるところだろうが、現代俳句の若き現場がこのような肉食系女子の今を表現しているとは迂闊にも知らなかった。旧態以前の予定調和俳句、おやじ俳句に安住している自分がおぞましくなってくる。

自由律という定型がある。五七五に納まることを潔しとしない若き詩人の感性、魂がある。溢れんばかりの感性の流動を盛る器に自由律と言う定型が救いの手を差し伸べている。身を削り涙を流しその手に縋ろうとしている純粋な、そして危うい詩心がある。若さとは揺れながら生きることかもしれない。

この若き感性のなんと美しいまでに独りよがりなことであることよ!山頭火の血を引いているというだけで応援したくなるおじさんには眩しいくらいだ。俳句が避難所であるというのも、私の影であるというのも、鵜呑みにはできない。若さとは見事に自分を裏切るものだから。そして、それでいいのである。影が光りとなるまで自己を裏切り、脱皮し続けて貰いたい。頑張れ!種田スガル!




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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
最近酷い小説を読んだ、何やらという俳優のもので
何とかという出版社の大賞を受賞したものだ
これは明らかに話題性を作る為に選考されたとしか思えない、元来この賞は賞金の高額さくらいしか語るべきものはないのだが、それにしても拙い作品でした、こんなものがまた何10万部も売れていると云うからもう語るべきこともありません、
人物が描けてない、比喩が陳腐、このタイトルの真意が見えない、
まぁ云うたら何やけどこんなんが一等なら誰も応募しなくなりますねぇきっと、賞金を辞退した美談に
勘違いした私が馬鹿だったのだ、まったく読んだ時間を返して欲しいわ、(笑)

大雪に羽織袴で写真撮り    よし



yoshiyoshi
2010/12/17 08:54
 よしさま。
コメントありがとうございます。
ああ、あの本ですか。
なんか、インタビューの対応などを見ていると
とても行儀のいい、優等生的な発言をされていましたね。
世間の評価がいうものは流動的で、当てにならないということをいやが上にも知ることでしょうが、
そこからどう初心を貫くかで、彼の人生の価値がきまるのでしょうね。
なんて、他人事ですから、放言しています。(笑)
合掌
市堀
2010/12/18 09:26

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