再生への旅

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zoom RSS お墓に避難した九十三歳のおばあちゃん

<<   作成日時 : 2011/07/12 04:27   >>

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鬼灯を鳴らせど鳴らせど母ゐまさず 玉宗


「私はお墓にひなんします ごめんなさい」。福島県南相馬市の緊急時避難準備区域に住む93歳の女性が6月下旬、こう書き残し、自宅で自ら命を絶った。東京電力福島第1原発事故のために一時は家族や故郷と離れて暮らすことになり、原発事故の収束を悲観したすえのことだった。
被災後の紆余曲折の末、住み慣れた家で、一家そろっての生活に戻った約2週間後の22日。庭で首をつった。自宅から4通の遺書が見つかり、家族、先祖、近所の親しい人に宛て、市販の便箋にボールペンで書かれていたという。高齢者にとって避難がどれほど辛いものであったかと心中を察するに余りある。

 
家族に宛てた遺書の全文(原文のまま)

 「このたび3月11日のじしんとつなみでたいへんなのに 原発事故でちかくの人達がひなんめいれいで 3月18日家のかぞくも群馬の方につれてゆかれました 私は相馬市の娘いるので3月17日にひなんさせられました たいちょうくずし入院させられてけんこうになり2ケ月位せわになり 5月3日家に帰った ひとりで一ケ月位いた 毎日テレビで原発のニュースみてるといつよくなるかわからないやうだ またひなんするやうになったら老人はあしでまといになるから 家の家ぞくは6月6日に帰ってきましたので私も安心しました 毎日原発のことばかりでいきたここちしません こうするよりしかたありません さようなら 私はお墓にひなんします ごめんなさい」


「お墓にひなんします」というのが切ない。おばあちゃんにとっては先祖の魂が眠るお墓以外に身を寄せ、心を寄せるところがなかった。というより、わがことの都合より、家族への思い遣りの末の選択であったのだろう。

被災前後で家族の暮らしが苦楽反転してしまった現実。家を失い、故郷の自然を失い、絶望の淵に押し遣った大震災。復興途上の被災者に希望を与えることのできなかった国家や対岸の火事を決め込んでいる私たち。慰めの言葉も空々しいが、おばあちゃんだけではない、福島県民をはじめ東日本被災者の無念と不条理を共有するほかに日本の未来もないことを肝に銘じたい。再生への哀しい墓標が又一つ増えてしまった。合掌

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おばあちゃんの冥福を祈るために、次の詩を回向しよう。被災地福島から発信している「てらやまへメールhttp://terayamahe.seesaa.net/」には、愛すべき故郷への哀惜と無念さの中で悶える詩人が見えてくる。沈黙は神へ通じる唯一の道である。

はたた神もっともっと怒ってよ

産土の杜の愚かな鳥たちよと自分に対し言ってみました

汚れた実みんなみんな流してよ

本当はもっと愚かな人間が隣のビルに住んでおります

一言も言葉発せず心太

井戸水も牧場の露も牛の瞳も相馬の空に直付けの青

夜光虫の青の中にもセシウムは静かに潜み月の出を待つ

紫陽花や 相馬の空の 暗いこと




みちのくの魂滴れる青山河  玉宗






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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
山は雲明日はどっち蛇の目草  よし
yoshiyoshi
URL
2011/07/12 05:20
おはようございます
 まだまだ現世を楽しんでもらいたかったですね。
湘次
URL
2011/07/12 08:37
こんにちは。
おばあさんのこの悲しみが癒されますよう
被災地の悲しみが癒されますよう祈るのみです。恨みの言葉もなく逝かれたおばあさん、
やすらかに。。。合掌
ルフレママ
2011/07/12 12:51
福島にお心を寄せてくださいまして
ありがとうございました。
もし私も同じ立場なら
同じことをしたでしょう
そして遺書には次の言葉を書き加えるでしょう。

日本は世界中のどの国よりも早く
脱原発をしなくてはならないです!

原発の事故のずっと昔に原爆を体験し
原子力の軍事利用と平和利用
両方の犠牲になって
この上原発を動かし続けるのは
愚か過ぎて哀しい・・・・・と。

>鬼灯を鳴らせど鳴らせど母ゐまさず
沁みます・・・・・このごろ鑑賞者としての俳句力、私高まった?みたいです。
 
いらくさ
2011/07/12 17:23
 みなさま、コメントありがとうございました。
管首相が脱原発の日本の将来像を明言しましたが、どうなんでしょうか。まもなく辞めていく首相の言葉にイマイチ現実味が感じられないのは私だけでしょうか?
被災者の無念さが宙に浮くことのないようにしてほしいものです。
合掌
市堀
2011/07/14 16:50

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