再生への旅

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zoom RSS 東日本大震災に被災したお坊さん

<<   作成日時 : 2011/08/19 04:40   >>

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新涼に目覚め仏の燭点す 玉宗

毎日新聞2011年3月28日の東京朝刊に次のような記事が載った。

東日本大震災:駆け込んだ寺、無力 江岸寺で住民30人死亡・不明−−岩手・大槌町 ◇毎年避難訓練、「安全」を信じ 住職も波にのまれ
 岩手県大槌町指定の避難場所「江岸寺」では、住民ら約30人が波にさらわれ死亡・行方不明になった。この場所に建立して300年。幾度の津波も乗り越え、昭和三陸津波(1933年)にちなんで毎年、避難訓練が行われてきた。住民が「安全」と信じて駆け込んだ場所さえも、今回の津波の前には無力だった。
 寺は海岸から約500メートル離れた高台にある。副住職の大萱生良寛さん(52)らによると、11日の地震発生直後、寺には100人を超える住民が逃げてきた。手押し車を使ったり、近所の人に付き添われた足の不自由なお年寄りもいた。
 「大津波警報」が発令され、良寛さんらは裏手の山に逃げるよう呼び掛けた。しかし、30人ほどは身動きがとれず、座り込んでいた。いったん裏山に逃げた長男寛海さん(19)は、動けなくなった人を助けようとしたのか、駆け下りていった。
玄関付近で住民を誘導していた妻智子さん(52)が振り返ると、泡立つような波が目前まで迫っていた。悲鳴を上げながら良寛さんにしがみつくと同時に、油くさい真っ黒な濁流がなだれ込んできた。良寛さんや智子さんらは波にのまれた。
 「おじいちゃーん」「ひろー」。智子さんは冷たい波の中に漂いながら、義父の秀明住職(82)や寛海さんの名前を叫んだが、返事はなかった。夫妻はがれきとともに海中を漂った末、救出された。秀明さんと寛海さんらの安否は分かっていない。寛海さんは愛知学院大学の学生で、この日は帰省中だった。「ただただ悲しい。『絶対に安全』なんて、もう、ない」。智子さんは嘆いた。【福島祥、金子淳】

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その後の江岸寺の様子が先日みのもんたの朝ズバで放映されていた。
江岸寺は私と同じ曹洞宗に属するお寺である。被災後、副住職である良寛師は知人でもある近隣の浄土宗のお寺に身を寄せて、暫くは引き籠りの状態が続き、再起の念が芽生えるまでには紆余曲折があったらしい。伽藍が跡形もなくなり、目の前でお寺に避難してきた檀信徒が津波に浚われたのである。師父と後継者でもある息子の二人も失くし、茫然自失であったことだろう。私ならばお坊さんであることを投げ出してしまうかもしれない。

然し、未だ行方不明の父と息子の意志を叶えるためにもと彼は立ちあがった。地域の多くの人が亡くなり、お葬式をあげてやることもできない状態に、師匠である父の声なき声を聞いたのであろう。

「亡くなった檀信徒さんのお葬式をさせてもらっています。それが済まない限りは父と息子の葬儀をするわけには参りません。父もそれは喜ばないと確信しています。」

被災後の境内跡地に仮設のプレハブを建て仮本堂とした。多くの住民がお寺の行く末を心配し亡くなった親族の葬儀を待ち兼ねていたのである。世の中には仏教にも震災にも無関心な人がいることであろうが、それらが再生への力となる縁となることを知らない。知ろうともしない。

大凡、次のような言葉を噛みしめる様に語るところに、良寛師の仏弟子としての覚悟が伝わってくる。

「お釈迦様の云われるように、この世は諸行無常です。今を精いっぱい生きることしか私にはできません。それが永遠の道へ通じる唯一のあり方であろうかと・・・」

今も地域の檀信徒に励まされながら、被災したお寺の副住職として汗を掻いている。住職である行方不明の父の葬儀を終えるまで彼は副住職のままでいるつもりなのであろう。彼の言葉に嘘偽りはない。彼の周りには、命を賭けて学ばされた人生の実相、それを目に焼き付け、心に刻み、肝に銘じている仏弟子の真が漂っている。再建は果たせるものと私は信じて疑わない。合掌。






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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
市堀玉宗さん おはようございます

「江岸寺」の話、良い話ですね。
このように人助けの最中に命を
落とした方も多いのでしょうね。
胸が詰まりました。
一日も早く再建して欲しいですね。
合掌
陽だまり
2011/08/19 07:11
おはようございます。
昨日は能登が大雨だったと、興禅寺の畑は?
大丈夫だと思いますが、、、

私の友人の従兄弟が 石巻のお寺へお嫁に行ってて、被災しました。
海岸から30kmのところですからお寺も流されたようで3〜4日音信が取れなくて心配したそうですが、皆無事で近くの小学校で避難生活をされていたようです。今どうされているのか気掛かりですが、今を精一杯生きること、これだけは胸に秘めていて欲しいです。
ルフレママ
2011/08/19 11:01
始めまして・・
テレビで江岸寺の報道を見ました。
早く再建され・・お葬式をしてあげたいですね。

以前からこちらのブログ詠ませていただいています。これからも見せて頂きますので
どうぞ!宜しく♪
たか子
2011/08/19 20:04
 陽だまりさま。
今回の大震災でも人の命を救おうとして自らの命を落とされた方が多くいたことでしょう。
神仏も真似のできない浄行と言うべきです。

 ルフレママさま。
大雨の後はすっかり秋めいてきましたね。
海岸から30kではなく300メート?
多くのお寺が倒壊し、流されましたね。
一日も早い復興を祈るばかりです。
合掌

 たか子さま。
コメントありがとうございます。
お寺が無くなってしまったので葬儀ができなかったようです。わが寺の再建のために檀家さんも力を貸してくれることでしょう。
合掌
市堀
2011/08/21 08:58

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