再生への旅

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zoom RSS 「怖さ」の向うにあるもの

<<   作成日時 : 2012/05/30 04:02   >>

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今頃どこで怯えてをるやはたたがみ 玉宗

日本各地の月別雷雨日数によると、七・八月がもっとも多く、冬の間が一番少ないらしい。そして、表日本より裏日本に多い。(表、裏なんて前時代的表現ですが)
俳句の世界では雷のことを「はたたがみ」とも言って面白がっている。夏の季語になっているが能登に棲んでいると「冬の季語やろ!」と文句の一つも言いたくなる。なんだか年中鳴っているような感じさえ私にはある。それにしても近年の気象は異常かなんだか知らないが、なんか見境ない。竜巻も季語の仲間入りをしかねない。ゲリラ豪雨なんてことば昔はなかった。あれだって雷を伴っているんだろう。

ところで以前にも告白したが、自慢ではないが私は雷が嫌いである。ハッキリ言って怖いです。
この年になっても雷が鳴り出すと生きた心地がしない。雷雨の日は托鉢は絶対しない。コンセントを外す。なぜか部屋の真中へ移動する。机の上を整理整頓する。蛇口を触らない。できれば一人でいない。眠ろうとする。様々な人情の負債を御破算にして欲しくなる。少し真面目になる。家族でも他人行儀になる。食欲がなくなる。等々、言ってみれば「死んだふり」をしようとしているらしい。

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小さいころは押し入れから蒲団を引っ張り出して引っ被ったし、夜などは父や母の蒲団の中へ入り込んだものだ。蒲団を被れば雷神様が素通りするという迷信を信じている節がある。今では流石に「雷、怖い!」などと叫んで夫人の蒲団に入り込む訳にもいかず、蒲団の中で丸くなり無事に立ち去ってくれるのを祈るばかりである。幸い、未だ一度も雷様に臍をとられたことはない。何度か胆を冷やすような大雷が近くに落ちたことはあったが。

そこへゆくと夫人は強かなもので、余程の事がない限り、夜の雷には眼を覚まさない。この世で怖いものなどあるのだろうかと訝しくなるほどである。というか、どうも私と怖いものランキングの順位が違うらしい。余談であるが、先日ツイッターで私が「愛妻家」であると言われ戸惑ったものだ。本人は「恐妻家」を自認していたのだが、落語の「饅頭怖い」ならぬ深層心理を見破られた思いもあった。ということは、ソクラテスも「愛妻家」?!偉大な哲学者と席を同じくするのは心苦しいが・・・・

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そんな夫人と私ではあるが、流石に、能登半島地震では同じように地震の揺れに恐怖を共感していた。いつまでも続く余震に敏感に反応し、「あのとき」の情景にフラッシュバックして慄いている顔を今でもする。

お寺が倒壊した直後、吾に還った私は、崩れ落ちた天井の下敷きになった夫人を探しながら何度も彼女の名前を呼んでいた。夫人の死が脳裏を横切った。

「おれ、一人、この世に遺されるんかい・・・辛抱たまらんな・・・・」

そんな思いに押しつぶされそうになっていた、だらしのない私なのである。「死」そのものよりも、遺されたこの世を一人で生きて行くことへの心細さが覆いかぶさってきた。幸い、夫人は軽い怪我で済み、裸足で外へ逃げ出した。そして、振り返って、倒壊したお寺に思わず手を合わせていた二人。弱い存在であることを実感した二人。「死」は明らかに私たちの分別や恐怖の向うにあった。生きていることの、なんと奇蹟的であったことか。「命」が「死」と共にあるという実感。「命」というものの「生」への執着の強さをまざまざと見せつけられていた。

死に損って5年が過ぎた。
伽藍の再建も適い、倅も修行に出た。夫人と私は、また以前の様な「当たり前過ぎて怖い」そんな何気ない日常を生かされている。そして今年も又「雷」の季節がやってきた。怖いものなどない、と言えば嘘になる。何を怖がるにしても、今の諸行無常の一期一会である。今生の縁と思い定めて「今」を大事に生きて行きたい。






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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
蛇は怖いけど雷はなんともないです、むしろ好きかも。(笑)

生き死にも時の運なり敦盛草  よし
yoshiyoshi
2012/05/30 08:29
ボナセーラ
福島の82歳の我が母も雷だけはダメです。 同じように目をつぶって 昨日は炬燵にもぐっていたとか。。。 死んだふりしてたえてるのかも。。。
Florentia55
2012/05/30 19:24
yoshiyoshi樣。
そうですね。畳の上、出先、どこで息絶えるか解りません。

Florentia55樣。
そうですか。福島でお母さんがお元気に暮らしていらっしゃるんですね。お大事なさってください。
市堀
2012/06/03 10:36

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