再生への旅

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<<   作成日時 : 2012/07/14 04:13   >>

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青柿のまだ実と云へぬ青さかな 玉宗

「ある手紙」

冠省、先日は電話ありがとう。
元気そうで何よりでした。いろいろあったのですな。それにもめげず修行を続けていたあなたを父も母も誇りに思っています。師寮寺がすぐ目の前にあるということで贔屓されているのではと僻まれる事のないように、控えめに、何事もへりくだって、慎重にことを運びなさい。とくに慣れてくるに従って油断することがありますので何事も注意が欠かせません。悩み事があったら基本的には自分で解決するんだけど、あまり深刻に抱え込まないで先輩や師匠の声にも耳を傾けて下さい。

今、現在あなたはどのような志を抱いているのだろうか?先日の電話では「わからない」というようなニュアンスの言葉を吐いていましたが。まずは目標の期間を体験してみて、そのときの自分の声に耳を傾けてみることにしようか?沖に出た先々で海原は開けて来るものです。「今」を蔑ろにしてもいけませんし、且つ「今」に執着してもいけません。

師匠としてはあわよくば二年、三年と年季を積んで皆さんに認められるようになれば理想的かな、などと勝手な希望を抱いていますが、今の君には見当もつかない世界だろうな。修行しながら生きていけるというのは仏弟子として恵まれた生き方だと私はとらえています。若いうちはそれが可能なのです。

何事も「一人前」になるには年数が掛かることはあなたも承知しているでしょう。お坊さんとして生きていく道を選んだからには、あなた自身が自分の修行の深さ、真偽のほどを一番よく知っている筈ですし、又、そうであらねばなりません。どんな道でも「学び」は一生涯のものです。人生とは「いのちの学び」といってもよく、であればこそ、道に終わりはないのであって、自分であきらめたときに道は途絶えてしまうようです。道の中で生き、道と共に生き、そこに人生の醍醐味も意義もあるのだということ。それこそが仏弟子の本懐ではないでしょうか?

あなたの修行はお寺の為でも、師匠の為でも、父や母のためでもあってはなりません。あなた自身の世界を深く、豊かにするためのものです。そこには師匠と雖も立ち入ることはできません。あなたの人生はあなたが歩み築きあげていかねばなりません。一緒に歩くことはできますが、あなたに代わって生きることはできません。

焦ることはありません。謙虚に、素直に、「学ぶ」姿勢を貫いてください。みんなに信頼され、可愛がられる存在でいてください。そのためには人が見ていようがいまいが、やるべきことはやり、やっていけないことはやらない。裏表のない人間でなければなりません。修行は競争ではありません。勝ち負けの世界ではないのです。であればこそ自己に厳しくあらねばなりません。誤魔化しの聞かない世界で生きるのがお坊さんです。

徹底的に自己を空しくすること、無一物になり切ること。それ以外に修行の眼目はありません。
なんだか多分に私が僧堂で成しえなかった夢をあなたに託しているようで忸怩たるものがあるのですが、まあ、気楽に、やってください。
夏の暑さ、残暑に気をつけて水分補給、睡眠を取るようにしてください。法身堅固、辦道増進、修道無難を祈っています。では、又。玉宗 九拝





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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
青柿や夏を生きるも難きかな  よし

やっぱり親に持つなら、お坊さんですな
獣医の父ではこんな有難い言葉は聞けません。
yoshiyoshi
2012/07/14 07:20
上の方も言われていますが
このような手紙を
父母から1度たりとも貰った事が有りません。
(もう貰えないのですが・・)

とても気持ちの清々しい朝です。
ご子息さまもきっと!!・・・
たか子
2012/07/14 10:00
終わりなくいつも途上なのが本当。青柿は熟してもそれを知らない。変なコメント失礼。
くら
2012/07/14 11:35
フローレンスからボンジョルノ
それでも子供は試行錯誤して暗中模索な人生を迷い道くねくねするんですよね。人生は体験?私は娘に先人の言葉もっと響くといいのになぁってちょっとジレンマです。人間にポチッ。
Florentia55
2012/07/14 14:58
yoshiyoshi樣。
少しハードルを上げ過ぎているかもと危惧しています。暢気さもあっていいのですが・・・

たか子樣。
なんか、倅とはよく会話もしますし、言いたいことも言っております。まあ、本人はどのように受け止めているものか覚束ないのですが・・・。

くら樣。
青柿もいずれ渋くなることでしょう。それもまたよしと致しましょうかね。

Florentia55樣。
暗中模索の青春が懐かしい!
こんなこと倅には言えませんがね。(^^)

市堀
2012/07/16 15:27
「何事も一人前になるには〜」
以降の文章は、大学弓道部の師範がよく口にされている内容です。卒業してすぐ、社会につぶれてしまいそうな私を、何度も何度もそのような内容で助けていただき、今、笑える自分になれました。
久しぶりにそのことを、ましてや、文章という形で見ることになり、込み上げるものがありました。
しぃ
2012/07/17 22:42
しぃ樣。
弓道を嗜んでおられたのでしたね。
孤独な道の精進に敬意を表します。合掌
市堀
2012/07/18 10:01

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