再生への旅

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zoom RSS 清浄なるいのち・不染汚の行

<<   作成日時 : 2012/07/20 04:09   >>

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蝶となり海を渡らう夏薊 玉宗

海の日の夕刻、輪島の海水浴場となっている袖浦浜を散歩した。同じ海岸線なのだが岬にかかる小さなトンネルを抜けると鴨が浦浜と名前が変わる。冬は波の花が打ち寄せる外海に面した奇岩の景勝地である。その一角に「猫地獄」と呼ばれている岩があり、どういう訳か一本の柱が卒塔婆のように立っている。その日も「猫地獄」までを目当てに折り返してお寺に戻るつもりだった。

ところが「地獄岩」の手前の空地で高校生くらいの子供達が十人ほど屯している。頻りに何か囃したてている様子。気になったので傍まで行ってみると、矢張り高校生くらいの女の子が一人今にも「地獄岩」から飛び込もうとしているではないか。男の子たちは彼女を囃しているのだった。その輪島なまりの言葉をよく聞いていると、冷やかしている風でもなく、どちらかと云えば励ましているのに気が付いた。

だれもが「地獄岩」から飛び込めるのでもないらしい。彼女にはそれができるのだ。私の来る以前に既に何度か試しているらしかった。海の子の活き活きした姿がもうすぐ夕焼けようという空と海に映えて美しかった。
美しいと感じたのは彼等の若々しい肉体ばかりではない。友達を素直に励まし、讃えるその心の純粋さに少なからず感動していた。暇つぶしの散歩ではあったが、予期せぬ「いのちの現場」に出会えたのである。

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生きること、それはいのち戴き、施すこと。ものや肉体だけではない、心もまた戴き、施している現実がある。そして「戴き方」「施し方」には共通する前提条件がある。それはどちらも「清浄なるもの」であるということ。美醜を越え、執着を離れた真の美しさ。それそのものの輝きといったもの。それこそが「いのちの面目」であり、生きることの醍醐味を後押しするものではなかろうか。

ところが人間の現実は「貪り」によって「清浄なる」ものを汚している。戴くにしろ、施すにしろ「そのもの」との「ずれ」がある。そこには駆け引きや打算や我見の腐臭が纏わり付いている。見える者には見え、感じる者には感じるであろう。ひたすらに、そのものであることができない人間。それを「染汚」という。

「仏道」というも、畢竟「清浄なる命に立ち帰ること」といってよい。身も心も「清浄」に生きて行く。その生涯は「清浄行」の道程であり、宗旨的には「不染汚の修証」と呼ばれるものの展開であろう。あるがまま、諸行無常に徹する。精進とはそれだけのことだ。私の「死」は天地に「清浄なる命」を還し、施す、最後の「行」にほかならない。そうであってほしいし、そのような「死に方」を学んでいる人生なのだと云ってもよい。


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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
藺の花をふと思い出す夕なりき  よし
yoshiyoshi
2012/07/20 05:38
フローレンスからボンジョルノ
素敵なエピソードいいですねぇ。友情を育む年齢を素直に活きてる子がいる事に感謝したい気持ちでう。能登の海初めて見ました。綺麗ですね。ぽち。
Florentia55
2012/07/20 15:39
無垢の命と無垢の命とが輝き合う瞬間。それがあるから、それを創りだしたいがために教師であり続けたといってもいいかもしれません。それは、そこに居合わせた人間にしか分からない(まさにご住職が遭遇したように)一瞬の眼の輝きだったり、笑顔だったり、静寂だったり、歓声だったり、涙だったりするのです。夜空の花火のように一瞬輝いて残像を残して消えていきます。私は、その花火を夜空にあげ続けようとしたのかもしれません。美しいもの、永遠のもの、命輝くもの、深いもの・・・。それらを子どもたちと共に創りだし続けたかったのです。教育は夢です。夢を語らなければ教育ではありません。教育に「広場」を、教育を「広場」に、それが今でも私が追い求めている夢です。間もなく夕焼けに染まる能登の海、子どもたちとご住職は「広場」を創りだしたのだと思います。いいお話でした。ありがとうございました。

2012/07/20 19:02

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