再生への旅

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zoom RSS 神も仏もない世界・阪神大震災忌に当たって

<<   作成日時 : 2013/01/18 06:40   >>

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震災の慟哭今も霜のこゑ 玉宗

阪神大震災は、17日で発生から18年になる。
平成7年はオーム教団による地下鉄サリン事件もあり、それまでに経験したこともなかった災害や事件の様子を目の当たりにしたような思いがある。又、個人的にも俳句を始めて間もない自分が、気軽に応募した50句で角川俳句賞を受賞した事件などもあり、忘れられない年であった。
その後、大きな地震が日本国内はもとより、海外でも次から次へと起こり、東日本大震災へと続いている。私にとってその起点のようなものでもある阪神大震災から18年。私は何を学んだだろうか。何を忘れただろうか。何を捨てただろうか。何を得ただろうか。何も変わっていなようにも、なにもかも変わってしまったようにも見えないこともない。そんな眼差しだけが今、ここにある。

平成19年には能登半島地震に被災し興禅寺は全壊した。その再建途上で、震災に遭った神戸を訪れ講演したことがある。被災後10年経っていた当時の神戸にはその傷跡が見事に復興されている様に、田舎者の私には見えたことである。
ハード面での復興は目に見えて知ることが出来る。然し、被災者達の眼に見えない心の傷は、ものの再生とその歩みを共にするとは限らないことをその後の災害続きの世の中を見聞して痛感させられている。

能登半島地震の被災地に於いても目に見える復興は比較的速やかであったようだが、東日本大震災の瓦礫受け入れでギクシャクするなど、被災体験から何を学んで日常をすごしているのだろうかと首を傾げたくなる思いがないわけではない。人間は痛みや畏れや危うさを忘れてしまう動物でもある。もっと云えば、天地人の恩恵を忘れることもある。「恩知らずな動物」ということだ。
痛い目に遭って人はその本性を曝け出すことがあるものだが、のど元過ぎれば何とかということもあり、私などにはそのような人間らしさの方が余程「神も仏もない」あり様に見えて来る。人は誰もがいのちの危うさを口にし、そして現実をわがもの顔に改変する。これほど恩知らずな社会が嘗て日本にあっただろうか。

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当時も震災の惨状に対して「神もほとけもないのか」といった天地を呪詛する声があった。東日本大震災でもまた同様の思いをなさった方々が多くいることであろう。大なり小なり、人生には目を覆いたくなる事件事故、天災人災に遭遇することがある。身に覚えのない災難、果報、巡り合わせ、因果応報といった事象がある。それは本人にとって理解を越えた現実であることが多い。

私は能登半島地震に遭って、「神仏の存在」より「災害に遭うこと、それもまた縁である」と実感したものだった。被災以前から少しづつ思い知らされていた現実の真相。その総仕上げのような被災体験だった。私の思いを遥かに超えた「巡り合せの妙」といったことに強く思い知らされたものである。災害に遭うことも、遭わないことも、すべて「縁」であり、本来的に「選べないもの」である。選べないからこそ、それは人生の一大事なのであり、宝なのである。生きるとは畢竟、そのような様々な、善悪を越えて、縦横無尽な、永遠の様相を呈している「今、ここという縁を活かし、生きる」ことに他ならない。

「神も仏もないのか」そう言いたくなる人間の弱さを私は嗤うつもりなど更々ない。そうではあるが、被災したものにとって「神の存在」を疑う以上に「自己に都合のいい神の存在」をきれいさっぱり諦めた方が余程再生の力のなると思い知らされたものである。誰になんと言われようと、それは生きている人間の言い草に過ぎないと云われようと、生きている限りは再生し続けなければならない。人は何度となく痛い目に遭ってそのような現実、人生を逍遥として受け入れる絶望と知恵を学ぶのではなかろうか。

屍の上に立って生きる。それはいい。そうではあるが、誰が無念に死んでいった者達を再生させることができるだろうか。誰が死者の志を継いで生きているだろうか。私の無念、葬られた私の志。私は私を再生したかった。
いのちの広大さ、深さ、豊かさを取り戻さなければならない。

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「阪神大震災忌」

震災の慟哭今も霜のこゑ

六甲山にだれか手を振る寒さかな

神戸かなしも風花已まぬルミナリエ

死者へ手を合せば皹の疼きけり

霜柱踏めば瓦礫の音すなり

あかときの霜の力や震災忌

死者生者凍てつく朝を同じうす

鎮魂の冬の灯揺れ止まず

寒暁の空さびしけれ震災忌

オリオンを瓦礫の街に見たことも




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