再生への旅

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zoom RSS 鬱陶しい世界?!

<<   作成日時 : 2013/01/30 04:52   >>

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うすらひや寡黙に人の行き違ふ 玉宗

「鬱」という言葉が社会に広がり、恰も市民権を得たかの如き趣きさえある。現在でこそ一般にも広く知れ渡っている病気であるが、以前は十分な理解が得られず「怠け病」などと呼ばれていた。うつ病の症状を理解する診断基準には、2つの主要症状「抑うつ気分」と「興味・喜びの喪失」が基本になると云う。精神症状と共に身体的な症状を生じる。身体的な症状は、診断に先立って訴えられることもあるらしい。

病理学的な詳細は分からないが、相対的にその数は変わっていないのかもしれない。それにしても「鬱病」で悩んでおられる方々が現在でも多いことは事実なのだろう。こんなにも「患者」が増えた原因、或いは増えないにしても「鬱病」が社会的な問題として認知された原因は何なのだろうと思ったりする。

実はわが夫人も能登半島地震に被災した後、本人の言うのには「軽い鬱」だったそうである。今は大丈夫ならしいが、震災で倒壊した天井の下敷きになった彼女の心の痛手に思いを致せば、満更大袈裟なもの言いでもなさそうである。そんなことに気付きもしなかった私自身の能天気さに吾ながら呆れている。

「鬱」の果てに自ら命を絶ったという事例を耳にする。昨年は三万人を切ったらしい自殺者であるが、それにしても多い数である。その中に「鬱」が要因の方はどれほどになるであろう。もしかしたら、偏見かもしれないがそのほとんどが「鬱」の世界から抜け出せなかった人たちだったのかもしれないと思ったりもする。

こんな私だって「鬱」の持ち主である可能性は十分にある。自己診断ではあるが躁と鬱がさざ波のように押し寄せ、「抑うつ気分」と「興味・喜びの喪失」といったことに思い当たる節がないことはない。私が「患者」であるかないかは回りの人間の方が感じているのかもしれない。然し、夫人に言わせると「お父さんが鬱なんて想像もできないわ」というにべもない返事である。

病気の要因は私の側だけにあるものでもなかろう。社会や環境といった外側、回りの関わりもまた考慮されなければならないのではなかろうか。「鬱陶しい世の中」にいきてゆく為の「免疫」を持つに越したことはない。面の皮も外の風に当たれば厚くなると云うものだ。引き籠りといったものも「社会適応力」「自己適応力」のちょっとしたズレなのであろう。人間とはつくづく繊細な動物であると思う。「鬱病」の素因はだれもが持っているのではなかろうか?何かの弾みにそれが波動し始めるのであろう。

仏道は「鬱」にどう対応すべきか?それは「自己の病気」とどうのように向き合うべきかということでもあろう。自己の再生は、ありのままを受け入れるところから始まるしかないのではなかろうか?世の中は鬱陶しいのが相場である。自分を中心に考えたら人間は鬱陶しい存在である。然し、拘るべき自己といったものを抛り出し、解放してみれば、私がいてもいなくても、迷っても迷わなくても、鬱でも躁でも、なんともない世界があり、なんともない命を戴いていることに気付かざるを得ないであろう。

勢い、精神論的なもの言いであるが、そんなつもりは毛頭ない。お坊さんの守備範囲でものを言っている。「病気」の手当の専門家はお医者さんである。外科内科、精神科等々、いろいろあるのだろう。西洋医学、東洋医学、治療に当たっても、自己の内外に拘らない生き方を学びたいものである。この世に病人が一人もいなくなった社会というのも鬱陶しい世界ではあろう。病人は病人で全うな命を戴き生きている。神様もそれは如何ともし難い筈である。再生を期するに何の遠慮もいらない。

これは落ちこぼれ人間であると自認している私自身の経験則からの物言いであると思って戴いてよい。


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「冬木」

空といふ奈落へ伸びる枯木の手

裸木は夢を忘れぬためにある

裸木へ声を掛けゆく男あり

雲を呼び日を恋ひ風の冬木かな

帰らざる月日の中や枯木立

鴛鴦を羨ましとも哀れとも

水鳥に紛れてみたき悔いがあり

謂はれなきこの世にひとり悴める

寒雀己が影を啄めり

渡り来し冬鳥影を落としけり

寒鴉為すことのみな悪意めき

炬燵より抜けては母を探しにゆく

湯婆と母が恋しき夜なりけり

湯たんぽの代りをせよと言へもせず

蓮根掘沖より雲る加賀の空






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