再生への旅

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zoom RSS 涅槃団子作り作務

<<   作成日時 : 2013/02/20 04:48   >>

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涅槃哀しも猫も杓子も山河大地も 玉宗

世に「三仏忌」と称されるものの一つである釈尊大涅槃の故事遺徳を慕う仏教徒の行持である「涅槃会」は全国各地で修行されていることであろう。法要では「遺教経」などの経典を礼誦することは勿論、法要の最後に「涅槃団子」なるものを参詣者へ撒くところもある。
能登でもとくに輪島地区では「涅槃団子」を「犬の子」と呼ぶ。「犬の子まき」即ち「涅槃団子まき」のことなのである。決して「捨て犬」を奨励している訳ではない。

能登地区がとくに犬、鳥、蛇などに似せて米の粉を練りあげて作るようになった由来については、文献があるといった話しも聞いたことがないし、所以についても古老の聞き語りを真に受けて今に至っている。
涅槃図を見ても解るように、釈尊の臨終には弟子は勿論のこと、生きとし生ける者動物、草や木々、山河大地までもが悲嘆にくれている様子が窺い知れる。釈尊亡き後、仏舎利塔などが建てられるようになったらしいが、在俗の信者たちはその遺徳を慕って何がしかの礼拝の対象を創り出したことが想像させられる。
その代表は仏像といってもいいだろう。涅槃会法要の時代や国境を越えるに随って様々な姿に変容し受容されていったには違いない。日本と云う島国においても狭いながらに地域の信仰形態を以って受け継がれて来ただろう。

涅槃団子を撒くようになったのはいつごろかといったことの詳細は存知しないが、現在各地で作られている「涅槃団子」にも様々な形や呼び名があるようだ。福井では「おみみさん」といって硬貨ほどの大きさにして撒くと聞いている。金沢、富山ではビー玉のような丸い形に仕上げ彩色し撒かれている。祖院の前監院であった鷲見透玄老師の自坊である愛知県知多の乾坤院ではせんべいほどの大きさであったように記憶している。又、地域は忘れたが涅槃団子を「お舎利さん」と言っているところもあるらしい。釈尊の形見として「遺骨」が叶わない者達が、それをなぞって団子をつくり、撒きだしたということは十分に考えられる事だ。善男善女がその有難さに集い、その形態を伝承してきたのである。

能登の犬の子も、お釈迦様のお骨を糢して撒いた団子がいつのまにか動物の姿に似せたものになったと云うことなのだろう。いずれにしても、素朴な信仰の表出を感じる。能登では豆まきより、犬の子まきが終って本格的な春の到来を期待し始めるのである。

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米の粉を湯で練り上げ、湯であげる。

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茹であがったものを搗き上げて、細工しやすいように切り分ける。

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一つ当たり、親指大ほどの大きさにちぎり・・・ああして、こうして、捻りだすと出来上がり。

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着色前の「犬の子」

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その後、墨で「目」を入れ、食紅で彩色。同じ輪島でも門前地区は着色しない。その辺はさすが「漆の町・輪島」ならではの拘り?

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いくつか「大犬の子」を作る。総数にして約三千個。

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因みに、住職である私も立派な作り手である。「無形文化伝統技術伝承者」といっても過言ではない。まあ、勲章を貰うこともないだろうが・・・。

「獺祭」

獺の祭りし魚や傷深く

獺祭生乾きなる土手の風

嘗て子を引きたる獺の祭りかな

土手に立ち見ゆるものあり獺祭

涅槃かなしも猫も杓子も山河大地も

僧が搗き漁師が捏ねる涅槃団子

死ぬる世の涅槃の雨に打たれをり

うすらひの岸を離るゝ日の粗さ

たらちねのふところ深く春の闇

鶯餅食らふに少し礼を欠く

春燈待たせ上手の女なり




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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
角川大歳時記「涅槃会」の傍題に「団子撒き」をみつけました。今まで知りませんでした。ただ、この歳時記では「団子撒き」については一行も解説がございません。「参詣者へ撒く」「約三千個」と記しておられるあたりから察しはつきますが、涅槃の日といえど奪い合いになるなど賑やかにものなのでしょうか(各地節分の豆撒きのやうに)。撒くと、やはり厳かにとは参らないだろうなと、地域の祭としての涅槃会を思ったりもしております。これを機に歳時記の「考証」欄をしっかり読んでみますと、「増山の井」に「雪のはて」が涅槃と併出しているよし。旧の二月半ばは確かに名残の雪が降る頃ですし、「はて」の音調はたしかに涅槃に通じる物がございます。次にどこかで作られる歳時記には、「涅槃団子」を立項したいものですね。合掌
島田牙城
2013/02/20 11:13
ああ、またこの季節が来ましたね。「犬の子」大好きです。
遠くの伺ったこともないお寺の「僧が搗き漁師が捏ねる涅槃団子」いつの間にか、私の心の中の大切な春の行事になりました。
きれいな分りやすい写真もありがとうございました。感謝申し上げます。

いらくさ
2013/02/21 03:38

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