再生への旅

アクセスカウンタ

zoom RSS 美しい人生・花を担ぐお坊さん

<<   作成日時 : 2013/03/10 03:41   >>

トラックバック 0 / コメント 1

画像


春愁のほぐるゝ花舗のあかるさに 玉宗

13日に控えた興禅寺の涅槃会。その準備の一環として供花を買い求めに昨日、金沢の近江町市場まで出掛けた。石川にも黄砂が降っていたようである。花粉症でもある夫人はマスクしっぱなし。なにもそこまでして出掛けることもないと思うのだが、私と違ったポリシーか哲学か、言い出したら聞かないところもある。

画像


まあ、それはいいのだが、市場の花屋さんは大いに賑わっていたのには驚いた。思えば、冬場は花の彩りの少ない季節。春は一斉に様々な彩りの花に出会えるときでもあることを再認識させられた。安売りをしていたということもあるのだろうが、次から次へと、ひっきりなしに花を買い求めるお客さんには身の置き所に窮したものである。夫人が選んで渡す花を抱えてオロオロするばかりであった。

画像


買い求めた花屋さんは、その作業の阿吽の呼吸や言動で親子4代でしているように見受けられた。おばあちゃん、息子夫婦、その娘、そして孫。男手は息子ひとりで、あとは女ばかり。一番若い孫と思われる女の子は小学校2、3年生でもあろうか。店に出てかいがいしく手伝っている様子が微笑ましかった。「大きくなったら花屋さんになりたい」と夢を語る女の子は今でもいるのだろうか、とふと思ったりした。

花と云う美しく儚い「いのち」を買い求める心優しき人々。

画像



嘗て、小林秀雄は言った。「美しい花がある。花の美しさというものはない」

それは花を美しいと感じる人間がいるのだといっているだけではない。小林流の人間主義、ヒューマニティーはもう少し捻くれている。「花の美しさ」といった理念が先行する事が間違いのもとではないのかと彼は言っていたのではないのか。「美しい花がある」といったとき、それは小林秀雄と云う人間のこころが花と一体になった、切り結んだ、契りを交したという自負の表出であったに違いない。美に生きる潔さが彼には漂っている。彼にとって「美とは無私なるもの」であった筈である。「美しい花がある」とは「無私なる花がある」と云うことだった。この世は「無私ならざるもの」に溢れているといった絶望が小林にはなかったか。

愚かな人間がいる。人間の愚かさといったものはない。美しいこころはある。こころの美しさといったものはない。美しい人生がある。人生の美しさといったものはない。「様々なる意匠」とは、小林がこの世界へ眼差しを向けたときの偽らざる「無私なるもののいのちの輝き」であっただろう。彼はそのような「美の世界」「実相」に魅了されたのに違いないと私は思っている。

敢えて小林の「美」を仏道的に「夢」と言い換えてみれば、「夢」という「実相」を一歩も出ることのできない「無私なる世界」「美の世界」「夢の世界」がある。私の理に汚されない世界がある。「夢のまた夢」「夢中説夢」こそが宗門の行持綿密の宗旨に叶うとも云えぬこともなかろう。

画像


そんな小難しいことを思っていたわけではないが、店を出るときは必要以上に買い求めてしまったのか、両手に抱えきれないほどの花束になってしまった。混雑する近江町市場の中を大きな花束を担いだり、抱いたりしながら歩いていたのである。気が引けながらも、いつのまにか仄々とした気分に包まれている自分がいた。花を愛でることはどこかで人を愛でることに繋がっているのかもしれないと思いながら市場を後にした。

画像


「花舗」

春ひとり花束担ぎゆく男

ものの芽のもの言ひたげな眠たげな

ものの芽やきのふとちがふ風の色

花売り女シネラリアとぞ応えけり

不器用な味はひもあり葱坊主

ご先祖の墓の野蒜を摘みゐたり

菜の花や嘘がつけずに泣きだしぬ

ものの芽や血脈つひに仄暗き

肩越しに春の筍奪ひ合ひ

アスパラガスどこか痛々しげに剥かれ

花を抱く妻の春愁知らざりき

逆しまに空を鏤めいぬふぐり

日のあたる古草ここに坐れよと

春愁が大福餅を平らぐる





ランキング応援クリック
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 禅・坐禅へ

にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人間・いのちへ

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時

弱気わば蔑む如く蝌蚪のあり    よし

yoshiyoshi
2013/03/10 09:30

コメントする help

ニックネーム
本 文
美しい人生・花を担ぐお坊さん 再生への旅/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる