再生への旅

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zoom RSS 今日の以心伝心・見えないものを見る?!

<<   作成日時 : 2013/06/21 02:47   >>

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天地の水の匂へる青田かな 玉宗

お寺を毎朝のようにお参りしている男性がいる。
いつも決まった金額のお賽銭を式台に並べていく。賽銭箱に入れないには何かしらの拘りがあるのだろう。本堂だけではなく、外にある地蔵堂の前にも実に整然と賽銭を並べていく。そんなお参りをもうかれこれ三年以上も続けているのだ。朝の掃き掃除をしている折に出会うことが偶にあるのだが、先方はどうも寺の者に隠れるようにお参りをしたがっている風でもあったからいつも挨拶程度で済ましていた。

ところが先日、立ち話をする機会があり、世の中には様々な人がいるもんだと改めて思わされたのである。

ひとことで云えば、この男性は「人には見えないものが見える」のだという。相手の「腹の内」も「落ち行く先の運命」も見えるらしい。見える事で困惑している風にも見えたが、自分の能力を自慢している風にも見えない事はなかった。話を聞けば、見えたことを相手に告げたことで様々な反応があったらしい。喜ばれたのか憤慨されたのか、よく解らなかったが、知る人ぞ知る人物なのだろう。いずれにしても、お寺をお参りするのは人知を越えた世界への畏れからのようであった。

ところでこの男性の見える世界はどちらかと云えば「負の世界」であった。人の「不幸」や「闇」が見えてしまうのだという。その気になれば相手を「落す」こともできるなどと物騒なことも言い出す。話を聞いている私の「腹の内」も見えているのだろう。こちらは見られても一向に構わないので、痛くもかゆくもないのだが、ふと疑問が湧いたので聞いてみた。

「おじさん、すごい能力だね。ところで見えているのは不幸や闇の世界ばかりなの?明るい世界は見えてこないの?」

男性は口を濁して見えるとも見えないとも答えなかった。最初から最後まで自分の言いたいことを滔々と語り、多少満足した顔で帰って行ったことである。

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さて、私たちの目は「見えるものを見ている」のだろうか?「見たいように見ている」のだろうか?「見えるものしか見ていないのだろうか?といった疑問が湧く。

件の男性のような「人の見えないものが見える」能力の持ち主がときに存在していることを否定はしない。「見えてしまった」負の世界を相手に告げずにはいられないという心理も解らないではないが、告げずに済ますこともできそうなものである。見えたという本人が自足しているように見えないのはどうしたことか。見える見えない、見た見なかったの真偽より、そちらの方が余程男性の人間性が問われるように思われてならない。

目にものが映るとき、そこには先ず対照がありのままに移っている事実がある筈である。「先ず」と断ったのには、人間というものには「認識」という頭の経路があるからである。それは良くも悪しくも人間の存在条件といっていいものであろう。認識とはときに妄想となる。妄想とは「見えないものを見る」ようになったことの謂いである。また、妄想とは「癖のある見方」ということだ。

「見えないものを見る」とは宗教界でもよく使われるフレーズである。「こころという見えない世界を見る」とか。
しかし、これは大きく誤る要素を孕んだ物言いではある。見えないものは見えない。見えないものは見えていない。という仏法の事実もあるのだ。「まっすぐ見ること」の尊さを仏法は教えている。「見えないものをみる」とは「見えない世界を感じる」想像力を働かせろと言っているのではないか。想像力、情緒力、共感力、共鳴力が試されている。それはまっすぐものを見ることから育まれる能力でもあろう。

眼耳鼻舌身意の六根は常にそれぞれの位にあって清浄に六境に反応している筈だ。仏道とは人の見えない、人の聞こえない、人の感じない世界を感じて「我見」を満足させ、人を惑わす筋合いのものではなかろう。件の男性に感じた違和感は、人間性への想像力の欠如からくるものであることに気付くのである。

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「こもりくの」

こもりくの雨にけぶれる栗の花

さぶらへる風のかたちに栗の花

群れ咲いて炎むらなしたるあふひかな

立葵空のきざはし咲き継げる

ひとつづつ掃き寄す柿の落花かな

青丹よし奈良の闇より藪蚊来る

ががんぼの脚を忘れて逃げ去りぬ

ががんぼのあはてふためく脚が邪魔

閑古鳥まだ見ぬ夢の彼方より

蝙蝠の空また仰ぐ傷ついて

こととひのおしぼり置いて去りにけり

加齢臭つけてお絞り返しけり






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