再生への旅

アクセスカウンタ

zoom RSS こころが通じ合う世界

<<   作成日時 : 2013/08/31 04:02   >>

トラックバック 0 / コメント 0

画像


  鶏頭の花といふには強情な 玉宗

昨日の記事で紹介した井伏鱒二訳の「さよならだけが人生」に関連して思うことがある。
それは同じ井伏の作品『山椒魚』の世界のことである。

『山椒魚』のあらすじは以下のようなものである。

<谷川の岩屋をねぐらにしていた山椒魚は、あるとき自分が岩屋の外に出られなくなっていることに気がつく。二年の間岩屋で過ごしているうちに体が大きくなり、頭が出入り口に「コロップの栓」のようにつかえるようになってしまったのである。ろくに動き回ることもできない狭い岩屋のなかで山椒魚は虚勢を張るが、外に出て行くための方途は何もない。彼は出入り口から外の谷川を眺め、目高の群れが先頭の動きにあわせてよろめいているのを見て嘲笑し、渦に巻き込まれて沈んでいく白い花弁をみて「目がくらみそうだ」とつぶやく。

ある夜、岩屋のなかに小蝦がまぎれこみ、山椒魚の横っ腹にしがみつく。山椒魚を岩石と勘違いして卵をうみつけているらしい。しきりに物思いにふけっているらしい小蝦の様子をみて山椒魚は、屈託したり物思いに耽ったりするやつは莫迦だと言う。しかし山椒魚がふたたび出入り口に突進し、栓のようにはまり込んだりといった騒ぎをはじめると、はじめは狼狽していた小蝦も失笑する。

その後、山椒魚は外へ出ることを再度試みるが徒労に終わり、涙を流して神にむかって窮状を訴える。彼は岩屋の外で自由に動き回っている水すましや蛙の姿を感動の目で眺めるが、そうしたものからはむしろ目をそむけたほうがよいと考え目蓋を閉じる。彼は自分が唯一自由にできる目蓋のなかの暗闇に没頭し、寒いほど独りぽっちだ、と言ってすすり泣く。

悲嘆にくれるあまり「悪党」となった山椒魚は、ある日、岩屋に飛び込んできた蛙を閉じ込め、外に出られないようにした。蛙は安全な窪みのなかに逃げ込んで虚勢を張り、二匹の生物は激しい口論を始める。二匹のどちらも外に出られず、互いに反目しあったまま1年が過ぎ、2年が過ぎた。蛙は岩屋内の杉苔が花粉を散らす光景を見て思わず深い嘆息を漏らし、それを聞きとめた山椒魚はもう降りてきてもいいと呼びかける。しかし蛙は空腹で動けず、もう死ぬばかりになっていた。お前は今何を考えているようなのだろうか、と聞く山椒魚に対して蛙は、今でも別にお前のことを怒ってはいないんだ、と答える。(wikipediaフリー百科事典より)>


画像


『山椒魚』に関しては幾つかの解釈があるようだし、あっていいのだが、私的には、今現在の同じ諸行無常の境涯にいて通じ合おうとしない人間の性、天の邪鬼性といった人限界の哀れさ、厄介さ、悲喜劇に思い至る寓意小説である。逆説的に言えば、私の見る限り確かに境を異にしてはじめて心が通じ合うという人間界の現実がある。これはどうしたことか?

そもそも解り合うとはどういうことか?こころで解り合うのか?理屈で解り合うのか?理屈を越えたところでわかりあうのか?或いはその反対に、こころで解り合えず、理屈で解り合えず、理屈を越えたところで解り合えないのか?解り合おうとしないのか?

誤解を怖れず言えば、神の世界には理解が先にあるのではないのか。通じ合っている世界に私は生まれてきたのである。私の理解、私の誤解。恐らくそれは永遠に棹さすような代物であろう。神の世界と和解し合うことこそ先決なのであると言いたい。

生死とは私の生死なのではない。永遠なるものが私として生れ、生き、死ぬのである。私は常に永遠なるものと一体なのである。全体である故の一部。死と共にある生。生と共にある死。そのような領域を生きている人間同士の理解とは如何なる筋合いのものなのかと問うことも無駄ではあるまい。

私を先立て、後付けすることが間違いのもとではないのか。諸行無常にして、私のない世界こそがこころ通じ合う契機を人間に与えているのだと思えて仕方がない。


画像



「案山子」

山寺の僧も招かれ鎌祝ひ

神さびの風吹きつのる刈田かな

禅堂の静寂を破る鳥威し

鳥のみちけふは雲ゆく案山子かな

能登富士の裾野の秋を耕せり

窓はみな明日へ向いて小鳥来る

鬼燈に一日暗き雨の降る

雨ながら狭庭を渡る秋の蝶

胸に抱き光り淋しき紫苑かな

夢に見る人みな寡黙露けしき








ランキング応援クリック
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 禅・坐禅へ

にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人間・いのちへ

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
こころが通じ合う世界 再生への旅/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる