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zoom RSS 出家とは何か?「こころざしと共に生きる」

<<   作成日時 : 2013/11/29 04:38   >>

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裸木となりて百日風を呼ぶ 玉宗


四ケ寺ある輪島の宗門寺院の住職の中で在家から出家しお坊さんになったのは私一人である。他の三ケ寺の住職はお寺に生まれ育ち跡を継がれた方々であり、彼らに言わせると、私は「志」を持ってお坊さんをしている本物であるという。自分たちは嫌々とまでは言わなくとも、生まれたときから選択の余地が限られており、その中で副業をしながらも今日までなんとか住職を勤めてきた。あなたのように「出家」し、自ら選んで来たような使命感のようなものがない。だから恥ずかしい限りである、とまでは言わなかったし、出家者を羨ましがっている風でもなかった。実は志云々の真意は何であったのか図りかねている。穿ったものの言い方になるかもしれないが、彼らの潜在意識には、僧侶が聖職であり、ある意味でタブー視された領域であることを逆説的に認めているものがあるのかもしれない。

恥ずかしといえば、私のような者が「志ある」と言われることの方が余程恥ずかしい。「志」とは何だろう?「出家」とは何だろうと自問しない訳にはいかない。

お坊さんになりたい。お坊さんとして生きて行きたい。そのような決意を志というのならば、お寺に生れ跡を継ぐことを選択した人にもそれなりの志があるに違いない。要はその内実であり、それは親の引いたレールを歩くこととは別な問題であろう。どの社会でも、親や師匠の後を継ぐことを選択したからといって継いだ者の自己責任と自己創造の可能性を免れることはできない。結論を先に言えば「出家のこころざし」とは「欲望を越えた世界で生きる」ことに尽きよう。

そのような「生き方」の「典型」であるお坊さんには、それなりの道の深さがあり、それらは歩いている者が自得しなければならないものだろうし、その困難さはそのまま選んだ者の生き甲斐ともなろうし軛ともなるかもしれない。どの道も自分の足で歩み、学ばなければならないのが人生の条件である。親とて子に代わって歩くことはできない。なんと言おうが選択したのは誰でもない自分である。選択の余地がないといえば、諸行無常の人生には何処にも、誰にも選択の余地はないのが真相ではないか。いのち生きるとは誤魔化しの利かない世界のことである。

出家だから本物だとか、お寺に生まれた後継ぎだからレベルが違うということは妄想であり、思考停止である。出家が本物なのではない。ときに本物の出家者がいるのである。ときに碌でもない出家者がいるように。お寺に生まれたからいい加減なのではない。ときにいい加減なお坊さんがいるのだ。ときに「生き方としてのこころざし」を受け継いだ立派な後継ぎがいるように。そのような賑やかさ、厄介さはお坊さんもまた人間であることの紛れもない証左であろう。誰もがやりたいことをやっている。やれることをやっている。「志」とは一度持っただけでは足りない。いつもその真偽が問われ、且つ、「志」を育て、「志」と共に道を歩いているかどうかをこそ問題としなければならない。

「発心正しからざれば万行虚し」とは、そのような道の通塞を語っているものと思っている。後継者を育てるに当たって深慮しなければならない点もその辺にあるだろう。私が愚息に願うことは、発心を自ら起すことと共に、志というものがどの道、どの社会でも欠くべからざる必要条件であること、それは道と共に育ち、自己を支え、自己が支えて行かなければならないものであることに気づいて欲しいのである。人間とは「こころざしを持って生きる動物でる」といって過言ではなかろう。

親が勧めた道、親が引いたレールだからというだけで自己責任を免れるとするのは如何にも短慮である。どの道を選ぶも選ばないのも自己責任であることを肝に銘じてほしい。世間も、出世間も、どちらも甘くはないし、辛くもない。あるがままである。そのような現実に耐え得る眼差しや柔軟心を持ってほしい。「志と共に生きる力」を養って欲しいし、そのような機縁に巡り合ってほしい。これは一人の親とし、師匠として陰ながら切に願っているところではある。子供や弟子の自立こそが何物にも代えられない孝行である報恩なのである。それが又、出家、在家を問わず後継者と巡り合い、育てる意義でもあろうかと思っている。


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「冬木」

かたはらをゆくたび仰ぐ冬木あり

流れゆく雲の迅さよ冬木立

裸木となりて風呼ぶことをせり

冬木みな風の墓標となりにけり

あらけなき風にあらがふ木守柿

冬めくや金に纏はるどんづまり

竜田姫裾を巻き上げ神渡

海暮れて風逆巻けり鰤起し

海渡る夜の木枯し蜑が家

淋しらの霙がちなる能登の旅




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