再生への旅

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<<   作成日時 : 2014/05/06 20:53   >>

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いく度も海へ出てみる夏燕 玉宗

庫裡と本堂の窓を開け放って朝の掃除をしていたときのこと。
境内を飛んでいた燕が庫裡の中へ入りそうになった。慌てて窓を閉めたが既に中に入った後だった。窓に体当たりして死んでしまうことがあるので、もう一度裏と表に通じるように窓を開けて出ていくのをひやひやしながら待った。そのうち壁や窓にぶつかることもなく外へ飛び出して行った。部屋に小さな糞か泥のようなものをお土産に落して。後片付けをしながらも、今年も燕がやって来た嬉しさを味わっていた。

能登半島地震に被災した折も、燕はやって来て、倒壊したお寺の上空を旋回していた。

「お寺がなくなったので戸惑っているんでしょうね」

夫人がぽつりと言ったものだった。再建へ向けて歩きだした次の年も更地になった上空を舞っていた。

再生の日々。それは、私にとって被災によって知らされた構えることのない人生の歩みであり、予想外の「新鮮」ないのちの歩みといってもよいものだった。燕はそれを知って私を励ましてくれているようだった。
お寺という伽藍は失くしたが、仏弟子として生きる全ての条件を失くした訳ではなかった。自らを励ましつつ、全ての世界に励まされていた日々。謙虚に、そしてあきらめないで生きることを学んだ震災。

今でも、燕が飛来する喜びと共に被災した当時や再生の日々の情景や心模様が甦る。燕に恥ずかしくない生き方をしているだろうか。そんなことを気にしている私がいる。



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「立夏」

けものめく立夏の雨に打たれけり

笹舟を浮かべて雨の代田かな

葉桜や母ゐぬ家のつめたさの

幟して空の扉を開くる日ぞ

牡丹園入るに恥じ入る思ひあり

咲き切つて牡丹崩れてゆくところ

うぶすなの杜に若葉の闇生まれ

疑へば切りなし薔薇の匂ふさへ

色に出て揺れはじめたる繍毬花

芍薬の固き蕾や蟻擽る


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「美谷村二十句」

美谷てふ風湧く村の早苗かな

通草咲く村に一つの伝言板

峡わたる雲うつくしや山法師

もののふの裔の里なる余り苗

子を沢山生みたる尻が田植せり

落ちのびて深山鶯朝を鳴く

手すさびの風吹き抜ける植田かな

若葉して風の渚となりにけり

梢吹く風のさざなみ夏兆す

まうだれの手にも負へざる落椿

幟立て風の匂へる谷に棲む

樗咲く谷底に母寝かせ置く

群れ咲きし踊子草に蝶迷ひ

抜きん出て骨より白き著莪の花

山肌の日差しを借りて蕨干す

たらの芽の伸び放題や村境

夏座敷昔語りの切りもなく

風の音水の音にも夏めきぬ

谷底の泉に影し顔寄する

渓川の音を枕に昼寝かな





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