再生への旅

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zoom RSS 今日の井の中の蛙・世界は広いのか狭いのか?!

<<   作成日時 : 2015/02/26 20:24   >>

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春潮に半ば溺るゝ礁あり 玉宗


さて先日帰省していた倅がぼそっと言うには、

「狭い世界だなあ・・・」

それを聞いて師匠は「いよいよ来たかな・・」と、修行を模索している弟子の現状を感じた訳である。石の上にも三年の安居を続けている弟子であるが、この後も黙って10年、更に30年の安居修行に耐えれるものかどうか。今が一つの正念場ではあろう。

実は「狭い世界だ!」といった実感は私自身が長らく抱いていたものである。

お坊さんになろうとした動機がまず、自分の生きている世界の狭さ、暗黒さに嫌気がさしたからにほかならない。そして飛び込んだお坊さんの世界も又狭い世界だなあと感じるようになるにはそう時が経ってはいなかった。理想と現実はこの世界にもついて廻る人間社会の真相である。

それにしてもだ。
世界が狭いのか広いのか?狭い世界とはどういう世界か。広い世界とはどのような塩梅の広さの世界なのか?狭いとは何か?広いとは何か?世界が私の外にあるのかないのか?本来、世界に広い狭いもないのではないか?世界は、ただ事実としてそうあるだけではないのか?といった自問自答が自ずから湧いてくるのである。

本当のところは、私が世界を狭く生きているのではないのか。狭いとはつまり執着や捉われに身動きがとれない今のあり様のことだろう。
その逆に私が世界を広く生きることができるのではないか。広いとは今、ここに充実して生きている知足の命をまっすぐ戴いている様子のことではないのか。そこには比べたり、比べられたりする用もない事実があるばかりである。今、ここがあるばかりである。逃げることも、追いかけることもいらない今の、いのちの充足に目覚める。自己の迷妄をこそ打ち破らなければならないことに気付く。冷暖自知できるからこそのわがいのち。その何気なさ。その尊さ。


そうではあるが、そのような自己もと道中にある現成公案をわがものとするに、人は一度は井の中を飛び出さなければならないのだろうか。一度生れただけでは満足できない厄介さが人間にはある。具体的に、現実的に、社会的に、広い世界を夢見るといった本能的な人間の性がある。若いころの私がまさにそうであった。そして、どこまで行っても、いつまでたっても、自己からは逃れられないことを知るのに、どれほど手間が掛ったことか。世界とは自己のことだったと気づくのになんと紆余曲折を経たことか。じたばたしたことか。

そんな私が弟子に対して、今、ここでいいのだよと諭しても、なんの説得力もないだろうし、私自身、親子、師弟と雖も、そんなオコガマシイことができそうもないのである。安居修行を徹底してほしいのは、先のことを顧慮しての親の願いではあるが、然し、できることなら、人生という広い地平に出て生きてほしい、自己を狭い世界に閉じ込めないでほしい、というのも又正直なところではある。それを思えば親もまた悩ましいのである。

仏道は確かに狭い広いを越えている。遠い、近いを越えている。大きい小さいを越えている。損得を越えている。生死を越えている。今を越えている。欲を越えている。自他を越えている。越えなければならない。思えば修行とはそのような自己を越える脚力を付ける道程、年季なのかもしれない。




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「風船売」

同胞の別れ雁瘡癒ゆるころ

魚は氷に朝刊濡れて届きけり

流氷の沖に蠢く戸波かな

風船を売るには忝き顔で

風車売られてすぐに廻りけり

うすらひや別れてすぐに会ひたがり

新しき手帳を買ひぬ獺の祭

先をゆく踵が見ゆるかすみかな

海と契りし手をかざしをり磯竃

山はみなねまるかたちや春夕焼


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「北前の湊」

岬なる金毘羅さまの蕗の薹

沖見ゆる弁天池の水温み

北前の湊を今に鰆東風

もののふの遊びせむとや春の泥

雛の間に寝たがる文殊菩薩かな

春の水真逆の顔が覗き込む

如何ともし難く梅を見てをりぬ

春眠や身のほど知らぬ夢をみて

水温みふるさとゆるむ母も又

春の猫妻に手出しをしてをりぬ

鳥帰る寝た子を起すことをして

龍天に先を競うて遊ぶ日ぞ

古草に眠る人形目開いて


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「不本意」

茎立やあれほど云うてきかせたに

ついてゆけない女出てくるヒヤシンス

クロツカス目を見開くといふ風に

パンジーやてのひらほどのあかるさの

気まずさの漂うてゐる桜餅

もの芽吹く置いてきぼりを食はぬやう

春の水母が尿する音させて

その日暮しをこれみよがしに雛飾る

後悔をせぬやうに踏む春落葉

たらの芽摘む妻がよろこぶ数ほどの

初音せり如何にも不本意ではあるが
























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