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zoom RSS 今日の諸法実相・私は実用的ではありません!

<<   作成日時 : 2015/03/04 14:33   >>

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桃の日の妻がいさゝか胡乱なる 玉宗

毎日、句集編纂に余念のないわたしであるが、気がつけば二月も過ぎて、桃の節句。夫人は相変わらず、かいがいしくも坊守の役目をこなしている。ときどきお稽古事にうつつを抜かしていることもあるけど、まあ、よくやっている方だと思う。お寺の護持は勿論のこと、私が俳句に専念できるのも夫人の陰に陽に支え、助太刀、ダメ出しがあってのこと。言われなくてもその辺は痛感しているのであるが、それにしてもこのような実用的でない夫に付き添っている夫人とは如何にも逞しく、現実的である。女三界に家なしどころではない、三界をわがものとしているが如き采配ぶり、適応ぶりである。神様は男より余程女をそのような代物として想像したんだろうね。

という訳で、いきなりなんであるが、「お坊さんと俳人、どちらが実用向きでないか?」といったことが頭をよぎった。「実用」とは「実際に用いること。日常生活などの場で実際に役に立つこと。「―に供する」「―品」」というようなことらしい。

世間を概観するに、人の生活にどちらもなくてはならないものである、のようにも見えるし、なくても一向に差し支えない、ようにも見えなくもない。実体生活での家計簿的な面からいえば必要経費とは言えないが、交際費としてどちらもそれなりに社会の需要と供給に応えているだろう。生産的な面から言えば、何も作りだしではいないが、どちらも文化的・宗教的といった目に見えにくい領域に貢献していよう。敢えて「私は実用的ではありません」というのもなんだか厭味に聞こえなくもない。

お坊さんは日常ではなく非日常に実用化されるものだろうといった見解もあるかもしれない。しかし、人生とは日常、非日常合わせてなんぼのいのちを生きている。御用の時だけお声掛けくださいといった関係も解らないではないが、如何にもケチくさい話ではある。中には頭から必要としていない人もいる世の中である。必要としていないものとってそれはないに等しく、実用以前の問題である。
俳句もまた嗜まない者には屁でもない存在である。嗜むものがどんなに偉ぶっても、押し売りしようとしても、実になんともない柳の風である。つまり、実用でありつつ実用でない。用も無用もなにかの裏表のようなものである。敢えて言えば、用を足したがるものにとってこその実用としての意義であろうか。

それにしても、お坊さんであり、俳句にも手を染めている私などは無用の魔力に魅せられたがごとき有様である。これはいったいどうしたことか。この用無し願望は何の反動であるか。解らないままに、齢還暦になろうとしている。四の五の言ってはいられない実体生活も佳境である。他人事のように「無用の用」を託っている場合ではない。しかし、それにしても、こんな男に付き添っている夫人と云う人間も余程実用的でないように見えて来る。そういえば確かに抜けているところもあるし、私より三倍は呑気だし、石橋を叩いて渡らないようなところもある。実に、夫婦とはおかしなものですな。このようなことをつらつら考えていると気づくのだが、要するに我々夫婦は割れ鍋に綴蓋なのだろうね。

という訳で、如何にも実用的でない考察に終始してしまった。



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「捩子」

水取りの灯を司る童子かな

青丹よし奈良の闇焼くお松明

水取りの火の粉滴る二月堂

雪掻きの結が間垣を繕へり

遅き日を堪りかねては捩子を巻き

初燕見たといふては自慢気に

雛の前過る琴線ありにけり

音もなく雨降る桃の節句かな

霾やだれも褒めてはくれぬ日の

遍路ゆく花のあしたの面影に




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「身籠る」

俯いて光り吐き出す黄水仙

日を受けて影を身籠る猫柳

流れゆく水の音にも春めきぬ

剪定す空をまなこに溢れしめ

春風の意外と腹に据へかねて

茎立ちてものみな遠くなりにけり

うらゝかや擽るやうに水流れ

曲水の杯迫り来る遅参かな

盃の流れにまかせ詠ふなり

地の底へ見送るやうに芋植うる



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「雛祭」

貧しさをこれみよがしに雛飾り

方々はその日暮らしの雛祭

可惜夜の契りを今に古雛

菱餅を食べたがる子を叱りけり

五人囃子中の一人が上の空

着せられて悪い気はせぬ女雛かな

桃の日やをみな謎めく月のもの

雛の夜の妻がいさゝか胡乱なる

われ知らぬ妻の遍歴雛祭

猫の手を借りて雛を流しけり







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