再生への旅

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zoom RSS 今日の直指人心・布施は人の為ならず

<<   作成日時 : 2015/10/06 16:02   >>

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つはぶきの花のまわりが暮れてをり 玉宗


世に言う「情けは人の為ならず」は、人のためにならないから情けをかけるべきではないとか、結局は自分のためなのだから情けは大切なものだとか、世間では二通りの解釈があるらしい。

「情をかける」という行為も一つの「布施」であることは相違ないだろう。身と口と心の三業を以って貪りの世界に生きることもできるし、同じく三業を「布施」の世界に生きることもできる。人間は本来どのようにでも生きることが出来る可能性そのものである。可能性は陽ともなれば陰ともなる。黒ともなれば白ともなる。手が為すところの業も、信心の実践として合掌することもできれば、自他を傷つける妄想の因ともなる。

金銭は言うに及ばず、言葉一つ、眼差しひとつ、微笑み一つ、こころ一つでさえ惜しみ、貪る人間。心という目に見えないものに人間は結構誤魔化され、迷わされ、引きづられる。そして、一方では「もの」という目に見えるものに執着し、迷わされることも又多い。本来、ものもこころも、目に見えたり見えなかったりする世界も、ただなんともなくそうあるというだけのことである。人間はなぜか、ただそうある事実をありのまま受け入れることができないかの如くである。偏らず、貪らず、諂わず、身と心をまっすぐ生きることは容易ではない。

「布施」もまた人の為ではなく、自己のまっさらな世界を更に清浄にするための行為として捉えたい。
「布施」は一見「一方通行」のように見えるが、実際のところは円相の世界の様子である。自他一体であるがゆえに、全ては自己の世界の様子であるがゆえに、本来貪る理由がないのである。認識以前にいのち足りている事実がある。「布施といふは貪らざる也」とは高祖道元禅師のお諭しである。身を捨てなければ浮かばれないこの世の瀬がある。溺れているからこそ悟りだ迷いだ損だ得だといった妄想という藁にしがみつくのである。

「布施」の実践とは内外放寛ということである。拘るものがなにもないからこそ施すことができる。無一物だからこそ捨てることができる。死を孕んでいる生であるからこそいのち輝くのである。貪らず従容として命ありのままに受け入れ生きる。自他無窮。なにを以って自となし、なにを以って他となすのか。施すとは広く豊かで深くやわらかい一体一如の世界へ誘う行為である。それはお坊さんである私の生き方の本質であり、いのちの尊厳性の実践であり、自己の清浄な世界の表現である。布施は人の為ではない。布施の彼岸にある自在の境地。私にとって仏弟子として生きることの意義はそれで十分でなければならない。



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市堀玉宗第三句集『安居抄六千句』

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「旅人」

妻もまたこの世の旅人露しぐれ

山々に裏表ある芒かな

稲扱くや山里に日をぶちまけて

吾輩をなきものにしてゆく銀河

死にたれば月より淡く化粧ひして

北国に雪の便りぞ小豆稲架

寝そびれし灯に下りてくる蚊の名残

朝に夕に風もそぞろや萩は実に

夜や更けて月影しるき枕上

泣けるだけ泣いた林檎の甘さかな



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「その日暮らしの」

土に生き土に死しては芋の露

迸る花の血潮や杜鵑草

暮れてゆくうすら寒さよ人の世の

秋風やみんな誰かの背中見て

萩は実にだれも褒めてはくれぬ日の

影法師その日暮らしの秋の日の

どうしても思ひ出せない螻蛄の貌

冬眠に向かはむとしてゐるらしく

新蕎麦やその日暮らしの味がして

安曇野の雲より高き捨て案山子

遠ざかる星の速さや地虫鳴く


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「これ以上」

柿もらふ未だ幼きてのひらに

秋海堂乙女さびたる花垂れて

これ以上背伸びはできぬ柿の空

唐辛子明日が見えてしまひけり

死ぬことのもつての外で実山椒

三界に忘れ去られて秋簾

便りせぬ妹ひとり梅擬

なんともなくてなにやら不安秋桜

蓑虫や恋も出世もまぼろしの

螻蛄鳴くと言ひしばかりに侮られ

穴惑ひ以外のなにものでもなく












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