再生への旅

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zoom RSS 拝啓、良寛さま「掃き作務佳境」

<<   作成日時 : 2015/11/11 20:34   >>

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落葉掃きならばだれにも負けはせぬ 玉宗

拝啓、良寛さま。
十一月も旬日を過ぎ、暦の上では冬に入りました。
境内の落葉も今が佳境です。朝夕、時間を割いて永福寺と興禅寺の掃き掃除をしている毎日。散り敷かれたままの落葉の風情も悪くはありませんが、ものには限度があります。余りにも乱雑過ぎては私自身の身の置き所、心の置きどころがなくなります。落葉を掃くこと。そこには毎朝起きて顔を洗うここと同様の仏道の意義でしたね。

仏道的には今を限りの落葉掃き作務であり、今を限りの身心脱落であり、成仏です。そのようにして身を施し、心を施し、拘りを捨て、今を限りの精進があるばかり。ぶれない人生の歩みをするに当たって、ひたすらなる今の事実があるばかり。そのように心得て、人を支え、人に支えられ、自己を支え、自己に支えられ、自己を習い、自己を忘れて生きてゆく。諸行無常に浚われながらも、諸行無常に救われている事実があります。生老病死ながらも人生はいつも今という佳境の連続です。今という本番の連続です。諸行無常に棹さして、生死の彼岸を渡る。「生死の彼岸へ」という死んでからの話しではありません。「生死の彼岸を」という今を生きる話ででした。

落葉掃きなどに精を出しても社会問題が解決するとも思えないと言われそうですが、社会問題を解決する糸口というものは個人がどのように日常を生きているかにかかっているには違いありません。仏弟子とはこのような実用的ではない生き方で以ってひとりひとりが一人一人の自己変革、自己確立を目指している先に花開き、達成されるものではなかろうかと思っている次第です。というより、問題を社会化しないための究極の自己責任のあり方を志向していると言ってもいいでしょうか。

良寛さまの生きざまには名聞利養を度外視した「ひろさ」があります。人生の肩の荷を降ろして生きている人間の「かるさ」があります。ものたりないままで足りているいのちの「実存・非思量」があります。侵すことのできない命の絶対性という「無分別の尊厳」があります。本来無一物という「究極の豊かさ」があります。「自由自在な貧しさ」があります。犀の角のように、一人でも生きていける信念の強さ。末法の比丘が慕い憧れる所以です。合掌。



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「ひとり」

神無月郷社に雨のそぼ降れる

冬籠りひとりの音を立てながら

鬼の子に夜の木枯し月もゆれ

綿虫にうつゝ抜かせり迂闊にも

生きて来た二人の障子貼りにけり

早寝せし蛙鳴きだす初時雨

行処なく冬木をけふも仰ぐなり

鷺ひとり冬大空を鳴き交はし

雨ながら冬立つ日とはなりにけり

木を抱いてみてもひとりや冬初め

雨降れば雨にかがよひ石蕗の花

昼灯し里やけぶれる初時雨

狐火や星へ使ひにゆくごとし

後朝の雪見障子や何かはじまる

焚火せりさながら臨時停車して

山茶花にひとりの空がひろがれる



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「足音」

冬に入るこゝにも石の仏菩薩

てのひらにぽんぽん咲いて花八つ手

けふもまた綿虫ひとつ追ひしのみ

足音は疾うに暮れたる冬着かな

別嬪は少し退屈冬薔薇

冬鳥来飴玉舐めてゐたるとき

あきらめし夢の数ほど雪婆

樵いま山を眠らせ降りて来し

七五三明日ある空の美しき

大根煮る厨に灯り溢れしめ

落葉踏む縄文人の足音で

神渡るころより父のふさぎ込み

風呂吹や味はひ深き人とゐて



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「まなこ」

この道をゆけばお終ひ散紅葉

朴落葉だれも見上げぬ空があり

山茶花や終の棲家のしづけさの

鷹といふ驕り昂ぶる深空あり

暮早き川瀬に鼠溺れをり

生きながらまなこ枯れゆくいぼむしり

うつろなるまなこに影す雪婆

兎抱く咎められたるやうにして

鯨旅するついて来るなといふ風に

狼の咆吼いまも星退り

熊眠る月の刃を胸に抱き

焚火せし顔がとっくに暮れてをり








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市堀玉宗第三句集『安居抄六千句』

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