再生への旅

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zoom RSS いのちの尊厳・欲望を越える先に見えるもの

<<   作成日時 : 2015/11/25 21:56   >>

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さざんかの花の輪廻やとめどなく  玉宗

眼前に展開する生老病死があります。それは私の外を向いた目に移った諸行無常の有り様でもあります。

ところで、目はなぜ外を向いているのでしょうか?内なるものが見るに値しないからでしょうか。目は外を向いて世界を見ようとしていますが、肉眼の見ることのできる領域など知れたものです。人間は科学や哲学など以って内外の見えざる宇宙を見えるようにしてきた歴史でもありましょうか。当に神様の如き目を持とうとしてきたといったところでしょうか。私と云う内なる無限大の宇宙を見ることと、外なる無限大の宇宙を見ることとは同じような困難さ、闇、不可能が横たわっています。閉ざされた系にして開けっぱなしの宇宙。

私の謂いたいことはそのようなことではなく、生老病死を目の当たりに生きている私どもが、人間の尊厳、いのちの尊さ、人生の意義といったものを何を拠りどころとして量っているのかということに思いが到るからです。

諸行無常にして限りあるということから導き出される条件だけでいのちの尊厳と云い得るものでしょうか。代替できないということだけでいのちの尊厳を誇り得るものでしょうか。思い通りにいかない人の世であるということだけで絶望に値するのでしょうか。人類はそのような条件を百も承知に上で殺戮や略奪を繰り返してきたように私には見えます。これはいったいどうしたことか。一体なにもののなれの果てなる所業なのでありましょうか。実に神に見放されたかのごとき独走にして迷走ぶりです。

人間と云う動物が社会的な存在者でもある側面からすれば、その社会的能力によって評価される価値の展開が確かにあります。人間模様があります。欲望のやりとりがあります。暴力の連鎖があります。愚かさの上積みがあります。宝の持ち腐れがあります。

然し、そのような相対的評価や価値観だけでは計り得ないいのちの尊さといったものがないのでしょうか。一人ひとりが如何ともし難く、誤魔化しのきかない、人生の展開がありましょう。もう少し視点を変えて云えば、社会的な意義づけを横軸とするならば、個のいのちひとつづつの深み、豊さを掘り下げることによって量り得るいのちの縦軸といったものがあるのではないでしょうか。次元があるのではないでしょうか。

そのような世界では当然のように、欲望界隈だけでは左右されない時空があります。座標があります。そこには欲望を越えることによって得ることができる、いのちの清浄さ、まっすぐな眼差し、ありのままを受け入れる感性といったようなものが育まれましょう。生老病死、四苦八苦、怨憎会苦、毀誉褒貶、なにがあってもなんともない、もの足りないながらも足りているいのちの安寧があります。清浄なるいのちの尽力があります。ひたすらなる、それそのものの光りがあります。覿面があります。施しがあります。寛容があります。尽力があります。なんともなさがあります。

仏道とは竟にこのような、自己を徹底深める、いのち掘り下げることに生きることにほかなりません。空の空なるかな畢竟空なり。信仰を持って生きるということ、仏の方を向いて生きて行こうすること。死者生者を供養し、弔うというようなこともわがいのちの尊厳の調度であるからにほかなりません。一体であるからこそ無私であることが可能なのです。そのような自己であることをまっすぐ戴く無心なる能力、感性。それそのものでありつづける。自己を清め、澄み渡る。無用の用といった大用が現前し、空なるままの去来、随流去なるいのちの展開、自己の自己たる安寧があるのではないでしょうか。ぶれず、行き詰らない生き方。それこそが欲望を越えた彼岸なのであり、「越える」ということの実際ではないでしょうか。いのち、大事に。合掌。



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「大ばか」

枯れ尽くし立小便もならぬなり

さざんかのつれなき空を咲きいそぎ

きぶくれて濡れ手に粟の夢をみて

冬空のいつも裏地を見て過ごす

木の葉髪卒塔婆小町のごとくにて

投げ出せし足の重さの大根かな

捨て難き大ばか柚子の香なりけり

暦売り勝手知りたる顔をして

十年は生きるつもりの日記買ひ

言はれたるまゝに股引穿きにけり

木々はみな裸となりてしづけさよ

熊汁を食らひし夜の荒びかな



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「ご無沙汰」

熱燗や父の座いまもこそばゆき

神渡る風とし思へば仰ぐなり

奥能登のお七夜荒れといふはこれ

波の花ひとたび舞うて駆け出しぬ

雪吊りの余れる縄をくれといふ

山深く水清くして紙を漉き

狂ほしき母の夜更けや葛湯溶く

すれ違ふ猟夫に皮の匂ひして

とりあへずこのくらいにして剥く蜜柑

ご無沙汰の顔して来る箒売





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市堀玉宗第三句集『安居抄六千句』

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