再生への旅

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zoom RSS 今日の禅語・担雪塞井

<<   作成日時 : 2016/01/04 17:52   >>

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屠蘇酌むやその日暮らしの目出度さの 玉宗

さて、神社仏閣にはご多忙にして、てんてこ舞いといったところも多い年始年末であろう。わが自坊のような骨山であっても、小は小なりに準備万端で事に当たるように心掛けている次第。それは参詣者への配慮ということもあるし、私を含めた山内寺族の年始年末を送り迎える心構えであり、身心を調える威儀、かたちであることはいうまでもない。人並であるかどうかはしらないが、わが寺、わが身、わが器に叶った威儀作法をさせていただいている。

そんな自坊も三が日を過ぎて、4日には市内の信者を巡る「年頭詣り」がある。近所の子供たちを借りて「お札」と「お餅」を添えて配って廻るのである。まあ、謂わばお寺の仕事始めであろうか。それも、今日雨が降ったりやんだりの北国日和ではあったがなんとか無事に済ますことができた。

明後日からは寒の入りである。例年、一人で寒の明けである節分過ぎまで「寒行托鉢」をしている。もう、かれこれ、三十年は続けていることになる。死ぬまで托鉢からは離れられそうもない。数年前から托鉢のまっただ中で行き斃れても本望かな、と思うようになった。

禅語かどうかは知らんが、「担雪塞井」といったものがある。
雪を担って井戸を塞ぐとはどういうことか。塞ぐとはどういうことか。井戸とはだれのことか。直ぐに溶けて無くなる雪で井戸なんか塞げる訳がない。無駄なことを、というのが世間一般、世法の習い、常識であろう。然し、仏道ではそれが可能なんである。何故ならそれは事実だから。人人の分上は而今にあり。成仏とは雪を以って井戸が塞がっている而今の事ではないのかな。雪が井戸に満杯になるのを待つを成仏というのではなかろう。

私という存在は既に雪に塞がれて用を為している井戸であり、そしてまた一瞬にして底抜けの井戸である得るなにものかであり、なにものでもない。もの足りないながらも足りている命がそこにある。大体が塞がるとはどういうことだ。一センチでも積もればそれで井戸を塞ぐに用が足りるということもあるんではなかろうか。まるで忍者か妖術使いのようだが、そうではない。虚空が塞がることに窮りのない、餓えて已まぬ私がそこにいるんではないのか。欲望に切りなく、満たされない私。そんな私に拘るとは竟に井戸に映る幻影に身を捨てるようなもんではないかな。それもこれも、自己の真相に余りにも冥いから。今を蔑ろにしていると言わざるを得まい。

仏道人とは竟に、今を限りに力を尽くし、三世を貫く潔い志に生きているもののこと、いのちその日暮らしの典型を言うのではないのかなと、わたしなんかは思っている次第。そこには行き詰まりと云うものがあり得ない。雪に塞がれば、水も湛え、人を掬えば、呑み込みもする。人の顔も映れば馬の顔も映ろう。空も映れば虚も、実も映る。空っぽの井戸から湧く無尽蔵に智慧。実に頼りなく、そして軽やかで、やわらかく、あっけらかんとしたものである。

それを肯えず、実践できないようでは禅僧として使いもんにならんだろうね。



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「初」

九十の母へも少しお年玉

二日はや夜をさ迷ふ辻の風

買初や時化まだ続く浦の辺の

初夢を見むとて枕深うして

繭玉や泣く子をあやすごとくして

嫁がざる姉が二階に寝正月

初鏡わが身ながらもおぞましき

初夢の空翔けてゐるさびしさよ

宝船ずり落ちさうでならぬなり

夢にさへ遠きふるさと初枕



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「わらべ」

三が日空がこそこそ明け暮れて

初寝覚生きた心地がしてならぬ

初日受く光が浦の夫婦岩

敷島の沖の開けゆく鏡餅

初春のわらべ遣はす札配り

羽子板をつくには嘘を知り過ぎて

手鞠唄うしろの正面誰もゐず

使ひ切れざる一人の空やいかのぼり

寝積むもならぬ仏の恨めしき

三日はや餅を食ふのが厭になり

ふるさとの初松籟を聞くばかり

初火事に夜を焦がせりひめ始



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「その日暮らし」

四日はや生きてゆくのが厭になり

膨張の宇宙にねまり鏡餅

掃初の塵に混じれる小銭かな

泣くに泣けない赤き目をした猿を曳き

懸想文売るや手玉に取るやうに

先達が寺の回礼布令廻り

歳徳や龍の勢ひに火をつかひ

鷹匠の空に隈なき目なりけり

天晴れな空を蹴りあげ出初式

巫女といふだれのものでもない淑気

初富士の前を駅弁売り過ぎる

もう食へぬ母の雑煮と思へば泣け












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市堀玉宗第三句集『安居抄六千句』

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例年の行事のことを拝見し喜ばしいことでございます。「寒行托鉢」、そちらも例年よりは寒さもさほど厳しくはないのでしょうか。
今年もご無事な満托鉢?とご家族ご一同様のご健康、お幸せを心よりお祈りいたします。
花てぼ
2016/01/05 17:32

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