再生への旅

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zoom RSS 今日の衆善奉行・人生というわが山河

<<   作成日時 : 2016/01/10 18:09   >>

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ゆきづまるとは如何にも陳腐冬木の芽 玉宗


人生を山河に喩えることがある。
山あり、谷あり、順風、逆風、運不運、紆余曲折、四苦八苦、生老病死、出会い別れ。それらは「縁」ということばでひっくるめることもできよう。人生とは「縁」を生きることに他ならない。わが山河とは、わが縁ということだ。だれも代わって生きてはくれない、各々の、私かぎりのいのち、人生。限りあるいのち、人生。いのち限りあるからこそ人生は意義あるものとなろう。死なないいのち、永遠のいのちといったようなものはついに妄想の域を出はしまい。それはすでに命とも、生とも云えない代物である。

人はなんのために限りあるいのちとして生まれてきたのか。そのような限りあるものの存在意義といったものがあるのかないのか。人は人として生まれて来たのではない。人となるために、自己となるために生まれて来たのだと思いたい。人生の山河といったようなことも私のいのちの世界の様子であろう。各々が各々の人生山河を持ち合わせて今を生きている。仏道に於いて客観的事実といったようなものはありえない。

夫婦と云えども、支え支えられる事実をも含めて、それぞれのいのちの世界の様子である。夫は夫の脚力で自己の山河を現出し、歩んでいる。妻は妻の眼力に応じた山河を見出し歩んでいる。限りあるいのちであるお互い同士である今生の縁。それは宝と言ってよいものである。人生とはそれをどう活かすかが試されていることにほかならない。すべて自己となるための生老病死であり縁である。自己を見捨ててはならない。死して尚、学ぶ姿勢こそが生を意義あらしめるのではなかろうか。

信仰を持って生きるとは、仏道とは世界と一体である自己のいのちに目覚め、なり切ること。わたくしに拘る必要もない広やかな、ありのままなる世界への飛躍。脚下に広がる今という永遠への架け橋。身も心もすべて投げ出し、跡形を残さない。只管なる、一体の、ありのままなる、わたくしのない世界。だからこそ、誤魔化しの利かない、真に自由なる世界。

人生の山河を歩むとは自己の人生を創り出すということでもあろう。そういうことであってみれば、他者とは自己の鏡であるにちがいない。他者ばかりではない。世界とともにある自己であってみれば、すべては自己の反映である。人生とは自己の世界と共に始まり、終るのである。生老病死、愛別離苦、それぞれの今のわが山河がある。

仏弟子とは自己が本来の無私なる自己に落ち着くことを目指すもののこと。自己への全幅なる信仰。信仰とは半分の信仰といったようなことはありえない。あるかないか。自己を半分だけ信じるとはありそうでないことだ。今もわがいのちへの全幅の信頼のもとで命している真っ最中である。それが根本であり、依って立つ理念なのである。わが山河を担い、歩む志の卑しからざるものであることを疑ってはいない。




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「同胞」

寒木瓜の花の一日麗しく

寒鴉如何にも朝の声発す

連れ立ちて風の町ゆく春着かな

鯛焼はかなしきお菓子尻尾まで

目に入れてやつぱり痛いちゃんちゃんこ

負けてばかりの父に毛布を被せ置く

もんぺ穿く母を群衆の中に見し

今は亡き兄のマフラー風に靡き

北風に攫はれしごと姉嫁ぐ

妹は最後の形見手毬唄

同胞や星見えてゐて寒かりき

それどころではない音して落つる霰かな

寒さうなわれを侮る鴉かな

背景に燻ぶるごとく着膨れて

生きてゐる限り死ねない海鼠かな


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「雨垂れ」

雨垂れの弾けて八つ手花けぶる

捧げ持つ鉄鉢遥かなる冬嶺

蕪鮓加賀はみぞれの味がして

初金比羅沖に白波走る日の

初場所の力士に餅のしなやかさ

棺に入る父の枯野を覗き込む

寒菊を手向けに死者を埋めけり

亡骸や剥き出しの夜の星寒く

火を埋め近くて遠き骸かな

消えてゆく音して雪の降りしきり

星となる旅へ夜伽の大焚火

死ぬる世に霜降る音やあさぼらけ



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「海のもの」

海のもの冬たけなはの貌をして

海豚には下着を着せた方がいい

雪の上に助惣鱈を放り投げ

生きてゐる牡蠣を殊更食ひたがり

海鼠さへ外へ出たがる無聊かな

弾丸を飲み込んでゐる鮪かな

われもまた絶滅危惧種柳葉魚焼く

寒蜆丑三つ時のしづけさの

箱舟に乗り遅れたる鯨かな

舟底へ回りこみたる鮫の影

河豚といふ遊び心が食へぬなり

鮟鱇の以下省略の姿なる

寒鰤や氷見は沖より明け暮れて

間違へた貌の平目でありにけり

鱈場蟹食へるものなら食うてみろと





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市堀玉宗第三句集『安居抄六千句』

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