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zoom RSS 俳句鑑賞雑感

<<   作成日時 : 2016/04/28 14:20   >>

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蝮草まだあどけなきさみどりの 玉宗

俳句鑑賞の現場で感じていることを少し。

鑑賞とはつまり私の感性に響く作品を紐解き、謎解き、感応する作業なのであるが、それは一つの「出会い」である。作品との「出会い」それは「人柄との出会い」と言ってもよかろう。単に「人」ではなく「人柄」と言いたい。作者の「色」「彩」「息使い」「何気さ」「心根」「生きる姿勢」といったものが「作品」という「言葉の世界」に光るのである。五七五の最短定型詩には作者の「こころざし・俳句の誠」が紛れもなく顕れる。言葉一つ、助詞一つ、てにをは一の細部に至るまで、作品の面構え、出来栄え、雰囲気、匂いのようなものを醸し出している。

五七五の小さな構造物に作者の個性(人柄)があるとはどういうことか?

実は私にもよく解らないのである。解らないままに鑑賞という出会いを繰り返している。以前は目にも入らなかった作品の何気なさに痛く惹かれるようなこともある。作為や底意が見え透いて敬遠する事もある。理が過ぎたり、情が過ぎても、どうもいけない。言葉遊びも過ぎるのはついていけない。人柄との出会いと言いながらも私の感性に響いたり、投影されたり、光り輝く作品は、そこそこほどほどの人間らしさを備え、且つまた人間らしさを越えた領域であることに気付いたりする。

そのようなことも含めて、鑑賞とはどこまでも私の感性を免れない自己との出会いでもあることに気づくのである。一句を深く、豊かに鑑賞する力量があるかどうかは、ひとえに鑑賞する私自身の詩的世界の質量が試されていることにほかならない。

(まあ、あたり前なことではあるが・・)

そういうことからすれば、昨今はやりの俳句添削教室みたいなものも、それは作者の作品でありつつも、添削者の作品であり得る可能性が高いとみるべきである。ものには程度があるのは言うまでもない。助詞ひとつの添削であっても、良くも悪しくも作品の詩的世界の展開ががらりと変化することもある。

まあ、いずれにしても添削とか批評といったものも添削者当人の自己確認にほかならないことを肝に銘ずるべきである。文芸とは畢竟、私一人の詩的世界の充実を志すものであることを忘れてはならないだろう。先生に鑑賞や添削をされていつまでも喜んでいるようでは、俳句のおめでたさの域をでないのではなかろうかと。

(まあ、めくじら立てるようなことでもないが…)

人様のことを論うまでもなく、作品も鑑賞や批評も、自家薬籠中の楽屋裏のものであるのだろうね。




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「をとゝひ」

雉鳴いてふるさと老いてゆくばかり

能登富士へ吹き寄せらるゝ代田波

代田吹く風に向かへば寒かりき

をとゝひの方より来る田螺かな

父は今蜷の道より戻りけり

塗り終へし畦の中より蝦蟇の声

水口に沸き立つお玉杓子かな

蚯蚓鳴くもんどりうつてのたうちて

水音のゆたかに春も闌の

蔓引けばほろほろ落つる花あけび

寄居虫に後れを取りし馬糞雲丹

ばば栄螺拳骨ほどの大きさの

踊子草束にかかって咲いてける

梢吹く風ひるがへる光りつゝ




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「雑踏二十句」

正夢のごとくに落つる椿かな

たらの芽を摘むにはまたとなき日とも

山法師風に飛び立つかたちして

女学生春たけなはの声発し

堕落せし如くに牡丹見てをりぬ

雑踏の中のさびしさ鳥雲に

遠足の列がぞろぞろ出て来たる

交番は洞のかたち花水木

種案山子鼻水垂らし出来上がり

死に番の閊へてゐたる日永かな

目を借りに加賀も湯涌のあたりまで

千里浜の沖に夏潮控へをり

白山をそびらに春を耕しぬ

愛うすき桜蘂降る街に降り

片町に春を愁ひて以来なる

風光る香林坊に待ち合はせ

鶯や兼六園に坂がかり

夢追うてふりさけみれば陽炎へる

花に酔ひ人に酔うたる城下町

若葉吹く風かとおもふバス乗り場


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「余る」

菜種梅雨玉子を茹でてゐたる間も

そっぽ向く鶏四月尽きむとす

遠足やかたかた音を立てながら

手に余る竹の子くれてゆきにけり

儚むにほどよき花の雨となり

忘れずに思ひだせずに初蝶来

身に余り蜷の道へと消えにけり

蓮植ゑて篠突く雨となりにけり

寒さうな雨に溺るゝ早苗かな

淋しらのまなこ濯ぐや窓若葉

目に余る牡丹の艶に困るなり








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