再生への旅

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<<   作成日時 : 2016/11/12 18:18   >>

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火の色の木の実となりて冬に入る 玉宗


先日、久しぶりに面と向かって「おなたは非常識な人だね」と窘められた。
正確には電話だったけど。それもお坊さん。それも名のある老僧からのもの。それも実に重箱の隅をつつくようなもの。晋山式の祝い返しに送った内容についての指摘だった。老僧でなければ逆切れするところだったが、そこはそれ、弟子の将来のことも頭を過ぎり、平身低頭、平謝りの低姿勢でやり過ごした私。

なんのことはない。言葉使い一つの間違いだった訳だが、その人には許せないんだね。常識を逸脱していることを見過ごせない人であることは以前から噂に聞き及んではいたが、その人にとっての常識が万人の常識と思い込んでいる節があるのが救いがたい。常識に生きることを笑うつもりはないが、現実は鵺のごとこ代物。割り切れないのが相場である。常識もいろいろ。非常識にもいろいろある。ことば使い一つの非常識に黙っていれない人の好さがあるのかもしれんが、如何にも料簡が狭いとも言えるのではないかなと思ったりもする。

いずれにしても、私の誤りを指摘してくれることに感謝はするし、誤りを正すことにことに吝かではない。人はなかなか非常識を指摘してくれるものではない。陰で笑っているのがほとんどである。そういう意味では有り難いことだし、純粋な人なのであろう。

ところで、常識とはひとつの社会で難無く生きていく通行手形のようなものだろうか。
そういう意味では私の半生など、非常識極まりなかったとも言えないことはない。今更、非常識だねと言われるまでもない。全き常識人であったなら出家していなかった可能性さえある。だいたいが社会の常識を疑っているようなところが無きにしも非ずで、肩書や権威を嵩に着ているような人物は根っから相手にしたくないと決め入ている。まあ、わたしのような落ちこぼれはだれも相手にしはしないだろうが。

常識や非常識もなんだが、仏道とは実物だけがものをいう世界。私などはそれだけが出家の本懐だと思っている。「それそのもの」という実物を引っ提げて社会を往還する。人に対する。自己に決着できないものがどうして他者を受け入れることができるものだろうか。枝葉末節に拘り大道を見失うことになりはしないか。
枝葉末節あっての大道。大道あっての枝葉末節。言葉は月を差す指。方便。方便あっての実物。実物あっての方便。どちらかに偏りがちになるのが愚かな人間の性なんだろうかね。


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「こころ」

こころ此処にあらずと焚火してをりぬ

まなざしの愈々深く藪柑子

暮れてゆく貌映りけり龍の玉

灯の下に生きた心地やなめこ汁

売れぬ詩を携へてゆく枯野かな

人生を棒に振ったる枯尾花

風邪薬飲めと言はれて飲みにけり

心ならずも海鼠となりて憂かりけり

武蔵野の木の葉時雨に別れたる

蟷螂の眼枯れゆく山河あり

金色の森の木漏れ日冬安居

帰り花こころ変はりのしてゐたる

為すことのなくて小春を満喫す



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「単純」

耳垢のそれは大きな小春かな

難問はときに単純落葉掃く

吹き溜まる落葉に埋もれ世捨て人

先立ちし仏を守り冬籠

伏せ葱の首を擡ぐる月夜かな

冬紅葉家も疎らな山里の

風はもうわがもの顔に冬ざれて

白雲のここに幸あれ干布団

帰り花うつろな空のあるばかり

冬菊を抱けば仄かに日のにほひ

白菜の重ね着したるかろさとも

夢追ふや夢破れしか枯野ゆく



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「来る」

貸しのある縁者のごとく冬来る

来た道を帰るばかりぞ冬木立

垂乳根の疼き狐火来るころの

帰り花約束違へ来たりけり

浮かんだり沈んだりして綿虫来

冬鳥来力仕事をしてをれば

冬蝶のいのち薄々来たりけり

神の留守嫁を貰へと叔母が来る

奥能登のお七夜荒れぞ鬼が来る

富山より藁買ひに来る能登小春

茶箪笥へ十一月の日差しかな

冬芽には大きな声は聞こえざる

裸木となりて百日風を呼ぶ





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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 ある程度の常識を受け入れて暮らしています。
されど、玉宗さまのご指摘通り、他人様が常識云々するのは如何なものか?という問いかけには同感致しました。自分が持つ物差しや秤が全能だと勘違いして人を判断するような人には反発を禁じ得ません。権威と肩書きをひけらかす人も嫌いです。貧しさを認め、なるべく身に合った生き方をしたいと願っております。
みどり
2016/11/14 11:35
なにか寂しいものを感じます。
御祖師がたは頭上におられないのでしょうか。
Jigme Yonten
2016/11/17 16:36

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