再生への旅

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zoom RSS 諸行無常の宗旨に生きる

<<   作成日時 : 2016/11/18 19:04   >>

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赤き実を零し冬鳥去りにけり 玉宗

今年もあとひと月半ほどとなった。
永福寺の晋山式も終え、正式に倅が後継者としてその任を担っていくことになった。住職としての学びがこれから始まる訳であるが、世代交代を実感せざるを得ないというのが正直なところ。わが誕生日も先日過ぎて、多くの方からお祝いの言葉を頂戴したが、加齢を祝う人間の心理といったことを改めて思い至る。そこには永らえて見えてくるものがあり、豊かになり深みを増す人間性が期待されているのだろう。人間一生が無駄であってはならない。あるはずがないといった期待がそこにはあるようだ。実際のところは永らえて恥多く、罪を重ね、輪廻を重ね、業を重ねているような有様に見えなくもない。

それにしても、光陰矢の如しとはよく言ったもので、それは実感として申し分ないが、もっと言えば、過去も未来もあってなきがごとき有様ではある。「今」があるばかりと言って澄ましていたいところだが、「今、今」と言いながら何かが忘れられ、或いは抜け落ち、或いはずり落ちている如き「今」の有様ではないのかな、と我ながら忸怩たる思いがないことはない。

まっさらな汚れのない、清浄なる「今、ここ」の事実をまっすぐに受け入れているのかどうか。私なく「今」を生きているのかどうか。先を当てにし、侮り、恐れ、過ぎたことを引き摺り、悔やみ、驕り、自己偶像化の限りを尽くしているのではないのかどうか。まあ、そんな私の煩悩、妄想まみれのままに諸行無常の「今」を更新している。

我々がそのような無私にして容赦のない諸行無常の人生に対処するにはそれなりの心構え、姿勢といったものが欠かせないのではないだろうか。それはどのようなものかと言えば、やはり命戴き、生きることに謙虚となり、真心を尽くし、学ぶ姿勢を失くさないこと。ありのままの世界に生きるとは真摯なる生きざまが求められよう。自由勝手というようなものではない。無私なる世界とはそういうものだろう。だからこそ救いではなかろうか。あきらめることもいらず、侮ることもいらず、貪ることもいらない。無私なれば当然そういうことになろう。

我々はみな諸行無常を宗旨として生きている。いかねばならない。仏道、仏の方を向いて生きていくとはそういおうことであろう。ありもしないご利益や無理難題を期待するような筋合いのものではなかろう。眼前にあきらかなる生死から目を背けない。そこにこそ学びの本質があり、救いの入口があり、出口があろう。地に足を降ろして、空を望む。今を生き切る潔さだけが永遠を手に入れることができよう。それを肝に銘じて生きていきたいものではあるね。限りある命、一期一会の命なればこその救いがある。道がある。生き方がある。死に方がある。そのような自己もと道中の様子が「今」として現成している。よそ見をせず、私の物足りなさを超えて、いのち足りている「今」を頂く姿勢が求め、試されていると知らねばならないね。


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「十一月十六日」

十一月十六日母に感謝の日

母といふかはたれどきや霜の声

吾を産みし母の力や大根引

同胞の暗さ牛蒡を引く暗さ

添ひ寝せし母のにほひや隙間風

垂乳根のふところ深し虎落笛

菜を吊るす納戸に母を置き去りに

出稼ぎの父帰る日や藪柑子

父といふたそがれどきが焚火せり

皸は母馬鹿正直は父に似て

親を捨て故郷を捨てひとり寒き

星を見て生れ変らう寒くとも

父母のあの世気になる霜夜かな



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「そっぽ」

山深く夜深くして冬安居

夜を吹く風の行方や御取越

侘しさに願ってもなきおでん鍋

湯豆腐を好みほとけのやうな人

裸木となりてそっぽを向いてをり

時間まで鴨の潜るを見てゐたる

その中の銀杏落葉を栞とす

夕暮れはどこか投げ遣り山茶花散る

駅を出て冬の日暮れにぶち当る

湯殿から知らぬ男と仰ぐ三つ星



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「うつうつ」

冬芽うつうつ銀河の果てを夢に見て

空よりも昏き顔して蓮根掘り

マッチ擦る霜夜に捨てし故国あり

男来て枯野に井戸を掘り始む

一本で足りる根深を抜きにゆく

月に破れし炭焼小屋のあるばかり

大根はかうして齧りつくのだと

まぐはひて泥の眠りや狸罠

暮れてゆく跫ばかり蝶凍つる

人参の嫌ひな嫁でありにしか

冬眠や星のおしゃべり始まりぬ

添ひ遂げるつもりの夫へ毛糸編む




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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは!

・十一月十六日母に感謝の日

遅ればせながら、
お誕生日おめでとうございます。
たか子
2016/11/20 22:32

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