再生への旅

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zoom RSS 沖に出て見えて来るもの

<<   作成日時 : 2016/11/24 18:09   >>

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山茶花や日暮れは家が恋しうて 玉宗

生きながらえて見えるものがあろう。
また、見えなくなったものがあるだろう。沖に進めば見えて来るものがある。見えなくなってしまった陸もあるだろう。それもこれ、人生という旅の途中の話である。引き返すことも、中断することも叶わない人生の歩み。大凡の見当はつくと雖も、いつ果てるとも知れない人生の歩み。然し、今、ここに展開している空がある。雲がある。風がある。息吹がある。出会いがある。別れがある。諸行無常の今がある。それをしも「わたし」とは言う。
 
人生の山河とは本人が乗り越えられるものを神は与えたのだと云う。それはつまり人生とは私の世界の様子以外のなにものでもないという極めて当たり前の事実を言っているのではないだろうか。そこは本来比べることのできない領域であろう。人の世は比べてなんぼのものだ、という現実も確かにあるが、それがいのちの価値の全てだと誰が強制しているというのか。人生の山河の途上で、ときに絶望し、再生し、希望に生きる。人は人として生まれて来たのではない。人になるために生れ、人になるために生き、人になるために死ななければならん。

そして、その山河の道程と風景は、まさに人それぞれの脚力と視力と想像力の賜なのである。そのような自己が自己に落ち着くことの以外の、どこに限りあるいのちを生きる人間の安心立命があるのだろうか。絶望と希望のはざ間で、揺れ動きながらも、今を精一杯いきる。諸行無常の現実に足を踏ん張りながらも、欲望の彼岸という人生の沖へ眼差しを向けて生きる。
 
そのような掛け値なしの、絶対的な世界があろう。現実を尊重して生きるとは、そのような事実を受け入れて生きる柔軟さのことを言うようである。柔軟でなければ生きて行けないのが生きるものの定め。本来の自己を見据えていきるとは実にそのような命の然らしむるところでなければならない。自己を知り、自己を生きるとまでは誰もが口にするが、正確には自己を忘れることこそが仏弟子の面目でもあろう。それこそが人生を逞しく生き抜いてゆく公然の秘訣なのである。倦まず弛まずまっすぐ人生を生きる。沖に出て見えて来るものが確かにある。



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「死」

冬曙死やさり気なく来て去りぬ

林檎ほど遠く冷たき別れあり

龍の玉死後の様子が垣間見ゆ

死にたれば冬の灯しを溢れしめ

亡骸の隣りの部屋に炬燵して

底冷えの帷に眠る仏かな

狐火や腹の上に子の深眠り

順番に生まれて死んで冬の夜

棺桶の中の枯野を覗きこむ

人を焼く煙り枯草焼く煙り

永訣の朝を目覚めし寒さかな

生き死にの眼冷えゆく山河あり



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「あめつち」

あめつちにその日暮らしや手足荒れ

空重く海暗くして寒波来ぬ

冬帝に侍る烏の無聊かな

み仏に仕へし僧の水っ洟

留守がちの社に禰宜の咳払

鯛焼の恋とはちがふ胸の熱さ

風神の口を窄めし凩ぞ

能登沖に走る白波恵比寿講

蝋燭のゆらぎもあらぬ寒さかな

涙よりつめたき林檎かとおもふ

明日も又生きるつもりの火を埋め


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「ポケット」

寒さうな男が通る烏かな

綿虫こいこい鼻垂れ小僧ここにあり

帰り花うつらうつらと日が移り

ふり返るやうに枯野の続きをり

外に出れば眼鏡の曇る寒さかな

遠くまでも見えても枯野近くても

寒空に泡と咲きたる八つ手かな

百歳を間近にしたるひなたぼこ

小春日の賽銭箱に眠る猫

ポケットの中はエロいね冬ざれて

山なみのいよいよ低く眠るなり

ゐたたまれず烏がああと鳴く寒暮

冬を迎へにポケットに手を差し入れて

寄り道をしたがる冬の柳かな

頻尿や丑三つ時の月冴えて






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