再生への旅

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zoom RSS 今日の脚下照顧・人々の分上

<<   作成日時 : 2017/01/11 19:13   >>

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反古くべて安らふ冬の深みかも 玉宗



「正法眼蔵・大悟」巻の中に次のような一節がある。

「いはくの今時は、人人の而今なり。令我念過去未来現在、いく千萬なりとも今時なり。而今なり。人の分上はかならず今時なり。」

生きていると様々な不安に襲われることがある。離別・災難・生活の維持など、いわゆる人生に於やける不透明さや「生老病死」といった不可避なるものへの思い煩いである。当に思い余って居てもたってもいられず、意気消沈したり、オロオロ歩きまわったり、或いは茫然自失したり、或いは不貞寝したり、人様々、というよりそれは私の日常のあり様のことであり、思い余ってジタバタすることがなんと多いことか。じっとしていることが我慢ならないといった風でさえある。

思いは過去や未来を慮っているかの如くであるが、その実態は思いが過去や未来を作り出しているのではないか。なぜ思い煩うのか。それは良くも悪くも思いを引き摺るからであるろう。わが五体、六感なるいのちは私の思い悩みに関わらずそのものとして実物している。聞こうとしなくても聞こえているのであり、見ようとしなくても見えているのであり、欲望や妄想を超えて、ただ今、かくのごとくに反応すること只管なるのみである。因果同時であり、事はそこで済んでいる。跡方がない。そのような同時なる存在が「今」として引き継がれていく。そこは本来的にわが思いに左右されないし、わが都合に頓着もせず、時節因縁なる法の様子が相続されていく。

よくよく観察してみれば「わが世界」というものは、思ったり思わなかったりしても、或いは、思い通りになったりならなかったりしても、いつも「今、ここで、息をして吐いている」という「実物」をしているばかりではないか、ということに気付くのである。「そのもの」は何処にも、逃れ、隠れ、或いは足したり引いたりしてはいないのだということ。あるがまま。人は「今」をわがものがおに過ごす癖が抜け切れないのだが、本来貪る事も留まる事も出来ない「今の様子」を仮に「わたし」と呼んでいるに過ぎない。

「人人の分上は必ず而今なり」
ものやかたちばかりではない。生も死も、煩悩も妄想も、嘘も誠も、真心も発心も、仏性も成道も涅槃も「而今」を分上とした同時なるものであろう。諸行無常なる人生を、拘りに生きることの愚かさである所以もここにある。




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[父と子]

福寿草家族といふもひとときの

雨ながら海凪ゐたり松過ぎの

との曇る沖よあけよと鳴く千鳥

息白く夢を叶へむ気負ひあり

冬虹の彼方の国へ旅立ちぬ

子を旅に送りしよりの焚火かな

父といふ不在が一人冬景色

枯野にて沖のさびしさ味はへ

雪を踏む音にも辛き別れなる

氷柱ならだれにも負けぬ家に帰ろう

家族とは遺族なりけり寒卵



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「ぐつぐつ」

青竹を舳先に風よ船起

波の花塩田小屋に吹き荒び

水仙や呼べば応へる明るさの

雪に上に抛りし鱈に雪積り

軋みなく夜のあすなろ雪安居

恵比寿講怒涛逆巻く夜の海の

ぐつぐつともの煮て冬も闌に

纜に積りし雪の嵩五寸

降りしきる雪よ音なく海に消え

底無しの夜にかまくら灯点して


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「貸し借り」

貸し借りのなけれど今日の寒さかな

暁闇の海を清めし起舟かな

雪しづり南天の実を叩きけり

一つでは足りぬ今川焼ください

たびらこの日向を借りて蹲る

寒餅を晒す庇を貸せといふ

水餅の消えてなくなるさゝ濁り

朝市の路地に湯気吐く寒造り

日や月に忘れられたる枇杷の花

こんな夜は鯨が星を呼ぶ声す

甘からむ夢張りつめし冬芽かな




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