再生への旅

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zoom RSS ばあちゃんの回峰行

<<   作成日時 : 2017/01/26 19:32   >>

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幾山河超え来し日向ぼこりかな 玉宗

さて、薬が利いているのか風邪の症状も改善されたようである。お天気もよかったので托鉢を再開。寝込んでみると家族の有難味を改めて知らされる。まあ、普段から殿様扱いのお婿さんではあるが、偶に夫人のダメ出しを喰らうことはあっても基本的には大事にされて住職をしているのが現実である。感謝しても尽くせない寺族への恩の中で好き勝手に生きて。いる様な私ではある

ところで、兼務寺である永福寺には夫人の母と姉が留守を守っている。
今年95歳になる義母は、能登半島地震被災前に夫である先代住職を亡くした。長年住職と共に檀家のないお寺を苦労して護持してきた女性である。寺族として他所見をせず住職を補佐し、仏様の方を向いて専心生きてきたと言ってよい女の人生がある。

数年前から脚が弱くなり、杖を使わなくては危なくて歩けないようになった。日中はベットで横になることが多くなったが、今でも私の着物や衣の綻びを縫ってくれたりする。朝晩、毎日本堂をお参りすることを欠かしたことがない。今でも杖をつきながら、ときに喘ぎならが18間の道中を行ったり来たりしている。お寺はバリアフリーもしておらず、当に谷あり山ありの回峰行であろう。

毎月23日はお地蔵さんの逮夜縁日であり、永福寺では昔から夕刻から法要とご詠歌を奉納している。といってもお参りしているのは夫人と義姉と義母、そして義姉の友人の4人だけである。昔は多くの講員と共にお唱えしていたらしいが、時を経るにしたがい寺族だけのお参りごととなっている。
そのご詠歌の奉詠も義母には体力的に出来なくなり、欠詠することが多くなった。ある時、本堂に出て来ないので、体調が悪いのだろうと思い部屋を覗くとさめざめと泣いていたことがある。夫人の話ではご詠歌も唱えることが出来なくなったわが身が情けないのと仏様に申し訳ない、といった思いが義母を泣かせたらしかった。そういう女性なのである義母は。

連れ合いを亡くし、一層淋しい思いをしているであろうことは想像に難くないのであるが、娘二人と出来の悪い婿養子と共に、仏様に支えられているという信念に生きているといってよい。耳は遠くなったが記憶力は衰えていない。ボケることはないようである。私よりも余程精進して生きてきたと言ってよい。そこには、一期一会の、待ったなしの今日のいのちに手を合わせて暮らしている姿がある。生老病死がある。

末永くばあちゃんの回峰行が続いてほしいものと願って已まない。


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「病」

惜しみなく光りぶちまけ福寿草

病得てなんだか歪冬をふらつく

病院は氷湖の如し妙にあかるい

看護師はまるで野兎追へば逃げ

大枯野咽喉の奥まで続きをり

厳冬の血を引き抜かれゐたりけり

病院の日向ぼこりに半日を

迸る尿ありがたや寒くとも

氷柱なす我が家へ帰るばかりなり

随分と生きてきたよな布団かな

咳き込めば歩哨の夜空捲るめく

しんしんと雪ふる夜の生死かな



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「この家」

早梅や日向恋しき日なりけり

冬百日能登の海鳴り地聲して

寒念仏軒寄せ合へる蜑が家の

この家の主風邪ひく烏なりけり

消え易き夢ばかりみて鳴く笹子

一つながらたつぷり坐る朱欒かな

三度目の正直仏手柑もらふ

羊歯枯れて鳥も眠らぬ家の裏

風邪ひかぬ馬鹿の自慢をしてをりぬ

散らばりてひと固まりの寒雀

黒といふうらさびしさよ寒鴉

手の届くところに一つ木守柚子

氷柱折る星空に手をさし伸べて



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「枕」

侘助や光陰淡くありにけり

生贄にとられ夢みる冬牡丹

水仙のみひらいてゐてうつむきぬ

暇さうな鴉の止まる冬木かな

帰り花夢もうつゝも幻の

冴えわたる星見えてゐる枕かな

縄文の顔映りけり龍の玉

蹲に浮かぶ氷の空一枚

寝返りの背を越ゑてゆく狐火よ

咳き込めば銀河押し寄す一人の夜

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