再生への旅

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zoom RSS 今、ここという踏ん張りどころ

<<   作成日時 : 2017/02/01 18:07   >>

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葉表に雪少しのせ寒椿  玉宗


私は毎月一日朝のお勤めに、大般若理趣分経という長いお経を誦んでいる。そこには「空」の真理が様々な角度から何度も繰り返し説き示されて、あたかも、それは逆に私の煩悩の根深さというものを教えているもののようでもある。

私がいてもいなくてもなんともないあるがままの世界は、自己へのこだわりや観念への執着を捨てた彼岸にある。私がいくら絶望しても、或いはいくら切望しても、世界はなるようにしかならないし、なってもならなくってもそれは世界にとって些細とも言えないほど大したことではない。大した事でないことは私にとってそんなに不都合なことではない。私という小さな存在は世界と一体であるからこそ思い通りにならないのだろう。少しくらい思い通りにならないことは生きて行く必要条件なのだと腹を決めて行くしかない。

「空」とは「縁起の真相」と言い換えてもよろしい。人は真相を知りたがったり、知りたくなかったり、面倒なものだが、それがまた人の愚かさたる所以であるか。しかし毎月理趣分を誦んでいると、真相を受け入れるまっさらなものの見方が求められていることに気づかされる。

煩悩の向こうにある拘りのない世界、生き方、ものの見方感じ方が私の本当の姿、生きる力なのかもしれないと諭される。人は行き詰まったとところからしか引き返すことはでいないし、転んだり躓いたとこからしか立ち上がり歩き出すことは出来ない。「今、ここ」にしか踏ん張りどころがないのだ。それこそが、生かされている存在である私の、本当の自己回帰の在りどころかもしれないね。

正岡子規が言っている。

「どんな時でも死ねる、それが悟りだと思っていたが、そうではなかった。どんな時でも生きていける、それが本当の悟りなのだ。」

宿痾に臥して短い生涯を送った快男子・正岡子規の言葉である。どのような境涯にあっても生きて行ける柔軟で強かな身心を持っていたいものだ。



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「上の空」

疑へばきりなし春の近きにも

貉来る訛りのやうに泥臭く

生まれながらに見捨てられたる狐かな

むささびや産土の夜は恐ろしく

あなぐまの引き摺る闇のにほひかな

莵罠月に鎮もる雪の上の

春来ると入歯設へゐたりけり

お朝事の障子明かりも春隣

先生の上の空なる風花よ

垂乳根のだらりと春も遠からず

何気ない男が梅探りをり

負け癖のつきし蒲団の湿りとも




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「雲水二十句」

行きて帰らぬ雲の心や冬安居

韜晦の水の心や山眠る

髪を剃る鏡曇れり霜の朝

雪安居雪降る音に起き臥して

僧となる蛹の眠り冬籠り

雲水の月に嵩なき蒲団かな

禅堂の三和土に沈む冷えありぬ

寒き世に鈴降るばかり僧なれば

墨染の袖長々と風寒く

冬萌や紅き手のひら足の裏

雲水が寄つて集つて雪下し

面壁の背なに来て鳴く笹子かな

しはぶきのほかは音なき坐禅堂

息白く尿湯気立つ東司かな

風花や顎を撫づればざらざらと

底冷えの朝粥に眉濡らしけり

水洟や人も仏となる日々の

典座より一歩出づれば冬景色

がらんだうの空あり冬を籠るなり

托鉢のしんがりにして梅探る



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「奥」

すが洩りの庇の奥や火宅の灯

死にたれば逆さ屏風に横たへて

宵越しの胃の腑は苦き炭火かな

亡骸に夜を灯して冴ゑにけり

息の根の火を獲りにくる狐かな

うつろなる空の奥より風花す

その奥に仏壇暗き氷柱かな

焚火せし汚れを雪に拭ひけり

酢海鼠を味はふ辛酸舐め尽くし

春近き沖に高舞ふ鳶の笛

がらんだうの空を残して冬終る

雪竿のやがて埋もれし墓域かな



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