再生への旅

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zoom RSS 再生への旅・再考その2「山河破れて人あり」

<<   作成日時 : 2017/02/28 05:49   >>

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花冷や被災食とは味けなき 玉宗

能登半島地震から10年。
被災者として生きてきた再生の日々は新鮮なものであったと言ってよい。それは震災に遭ったこと自体と共に、それ以後の展開に於いても私自身に構えるところが無かったからだろう。吾ながら運命に身を任せたといった観がある。天の采配としか言えない私という存在に拘ることの無意味さに打ちのめされていたのかもしれない。震災によって気付かされた「今、ここに」生きている何気なさ、掛け替えのなさ、尊さ、奇跡。わたくし空しく生きれば人生は予想外の連続であり、まっさらなものであるに違いない。今という事実はいつも清浄であるばかり。

運命を受け容れ難いと足掻くのではなく、流れに身を任せ、私心を捨てる。そのような再生へ向かっての歩み、そのこと自体に、生きていることの喜び、苦しみ、悲しみがあり、それがそのまま人生の醍醐味であり、人として生きる事の意義なのだと実感するようになった。失敗や苦労や災いがそのまま人生の意義を否定するものではなく、人生をして人生たらしめる価値とし光るような、そのような軌跡。儚く、危うい存在として生きる事が、そのまま自己再生、命創造の日々であるということ。

運命とは切り開くものだとも云われる。震災に遭った自己の人生を切り開くとはどういうことか。死んでいった者たちには切り開く人生の機会もないのである。切り開くとは生きている者達の言い草であるには違いない。破れた山河を我が肉とし、わが血とし、わが心とし、わが彼岸とし、わが命とする。それこそが命生き継いだもの等の宿命なのかもしれない。生き残った者も何れは誰ひとりの例外もなく黄泉に赴く。生死の運命に翻弄され、嗟嘆し、格闘し、恩讐の彼方に至ることができるのも諸行無常の現実なればこそである。真実の生き方があるのではない。生き続けること。それこそが真実である所以。

私たちは普段、何気なく、日常を当たり前のように過ごしている。そして、一端、災害という非日常に巡り合い、私が囲まれている世界の事情をいやがうえにも再認識させられる。当たり前のように過ごしている日常が、縦横無尽の、危うい関係性の中にあるということを。慣れるとか、忘れるという操作がなければ、いのちが奇跡的な存在であることに私の脳は堪えられないだろう。

自然は穏やかだったり荒れ狂ったり、それはただそのような因果関係の様相、あるがままの姿を呈しているだけなのである。自然の表現には悪意も善意もない。人間はそのような自然の中であるかないかのごときもののように存在している。いのちは儚い。その儚いいのちをどのように生き切ることができるか。いのち十全な生き方とはどのような在り方なのか。

この世に人間が出現したことを神は悔やんでいるだろうか?なるべくして人間として地球上に出現したとしても、この世に人間に与えられた特等席、優先席があるとは言い切れない。そうではあるが、生を受け入れ、死を受け入れ、世界を受け入れ、自己を受け入れる。すべてを受け入れて生きること。そのような神業を人間が出来ないという保証もまたどこにもない。国破れて山河あり。山河破れて人あり。共にこの娑婆国土大千世界の実相であろうと思っている。



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「とんとん」

貌鳥のとんとん渡る梢かな

寝てばかりゐては初音も聞こえまい

梅の咲くころの寒さを出て歩く

切株に帆を掛け休む胡蝶かな

春寒く口も手足も拱きぬ

しがらみを解き放されて残る鴨

冷えまさる身を雁風呂に沈めけり

欲もなく生きて蕗味噌好みけり

皸の口また開く余寒かな

人生に先立たれたる朝寝かな


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「臍」

蓬摘む母が遠くてならぬなり

茎立菜放蕩息子帰る日の

白梅や空蒼ざめてゐたりけり

大の字に眠れば春の雲が来て

そよ風に光りあまねき日なりけり

山里のこれよりひらけ花辛夷

臍曲がる日なた日かげや木の芽どき

土手を吹く風あらけなき犬ふぐり

朧夜の影は後から憑いてくる

堰を切り春の川べりぺちゃくちゃと

先生に恋せしむかしたんぽぽ黄



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「ほのぼの」

かたかごの花りんりんと日照雨過ぎ

まんさくの花といふには仄々と

麦踏や頬につめたき風吹いて

肩凝りの上の空にて囀りぬ

ぶらんこを漕ぎ出す遺書を読むごとく

たびら雪積もるともなく濡れそぼち

春愁や日あたりてゐて仄暗き

忘れずに思ひ出せずに鳥雲に

茎立や百点満点とはいかず

日を浴びて木瓜の花咲くほのぼのと

蒲公英や風が光りとなるころの













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