再生への旅

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zoom RSS 同行二人・桜のころ

<<   作成日時 : 2017/03/29 14:03   >>

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初桜紆余曲折のありにけり 玉宗

学年や年度代わりという時節でもあり、桜のころとなると離別や旅立ち、新旧交代いった別世界、別次元への旅立ちの心細さと共に新展開への心の昂りといったものがいくつになっても漂いはじめる。現役を引退したに等しい隠者の如き私のような者でも、いやが上にも、そしてそれなりに未だ人生という旅の途上であることに思いを馳せる。いくつになっても振り返ればあっという間の人生。来るが如く、去るが如く。そのような取りとめのない今を限りの思いがあるばかり。否、思いではなく今という事実があるばかり。

思いは竟に陽炎のようなものである。思いで自己はつかまらない。決着はできない。思いを超えた「今」という「神の手」だけが自己を鷲掴みにするだろう。桜は只、時節因縁の様子を呈しているに過ぎない。美しい桜というものは存在しない。桜を美しいとこころゆらめく哀れな人間がそこに居るということらしい。


先日、「同行二人」という言葉を知らない若者がいることに目を開かれた。「遍路」とパッケージの言葉だと認識していたので意外でもあった。まあ、それはいいとしても。古人が「同行二人」と白装束に記してお遍路をしたのには仏教的にも深い意味合いがあっての事。有為転変、紆余曲折、諸行無常の流れ。そのような寄る辺なき人生に於いて、真実なところ、自己に寄り添うべきものはなんであるのか。

誰も私に代って生きてはくれない。老いてはくれない。病んではくれない。死んではくれない。徹底なる自己の命。その絶対的孤独。家族の中にありながらも、隣人として支えられながらも、被災者としてありながらも、富める者としてありながらも、貧しきものとしてありながらも、勝者としてありながらも、敗者としてありながらも、だれも自己の命を咎めたり、蔑ろにしたりする理由はない。神様だってそれはオコガマシイと云うものであろう。徹底むなしい存在であるからこそ赦されて、解放されている孤独な存在。

それはまさに真の自己に巡り合うための人生「お遍路」と言って差し支えない本質を備えていよう。一寸先は闇の人生。掲げるべきは「自灯明」として歴然たる「自己の光明」であるとお釈迦さまは仰る。生まれてからこの方、私共は自己の光明に脚下照顧しながらの歩みを続けているのである。他に慢ぜられず、自に絆されず、ぶれない即今自己の端的に目覚め、担い、寄り添い続ける。この他のどこにも自己現成、直心道場はないのだということ。これこそが初心にして究極の浄土なのであるということ。

生死一如。自他一如。去来一如。二にして一なる仏と寸分違わないもう一人の自己。そのような「同行二人」なる「今」を余念なく、無心に、まっすぐ生きぬく。なり切る。自己に決着できないものがどうして他に寄り添うことができようか。自己のすべてを受け入れることができないものが、どうして他を恕すことができるだろうか。私にはわからないのである。


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「変な子」

変な子に鳴いてみせたる初蛙

星の夜に生れ風の子雪解の子

泣く子には勝てぬと回る風車

酒臭き息足してゴム風船渡す

親のなき顔映りけり石鹸玉

万作や山里ここにひらき初め

馬酔木咲き千の漣音もなく

パンジーや頭よき子も悪き子も

三椏や雪洞なして弾け咲き

海棠や弾けるやうに朝が来て

田起しの里に出でばや土佐水木

チューリップ素直に咲いてみせにけり






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「石川動物園逍遥」

あたたかやふぐり露はに獣らは

春愁や孔雀の羽根を開くさへ

梟の昼は眠れる遅日かな

朱鷺といふ絶滅危惧種交せをり

時間まで猿の交るを見てゐたる

はこべらを抛り込んだる莵小屋

ものの芽をキリンの舌が絡め捕り

白鷺の肩窄めをる余寒かな

ゲップとも聞こえし亀の声ならむ

蝶々のかろがろしさを愛づるなり

堕落せし春のライオン柵越しに

驢馬の耳欹てゐたる遠雪崩

一日を孫と遊べる老いの春



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「逸れ雲」

北国の春にうぶ声名は弥生

にほひ立つ弥生の雲の白さにも

生き死にのまぬがれ難く春の霜

蝋梅のためらひつゝもひらき初め

鳥の巣が汚点の如く残りけり

すぐそこに鳴く鶯の遠さかな

風の道けふは雁行くかはたれの

潮の香の風に干されし磯若布

ものの芽や明日あることの痛ましく

西行忌身はたそがれの逸れ雲










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