再生への旅

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zoom RSS ありのままという幻想

<<   作成日時 : 2017/05/19 05:55   >>

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鈴蘭やいつもどこかに風生まれ 玉宗

一般的に「ありのままに生きたい」と言った時、それは自由気まま、自分勝手にといった欲望の棹さすままに自己責任で生きる、といった開き直りの響きがある。

全ての欲望が叶えられる筈もないことは承知の上で、それでもなお欲望が自己の主人公であるとして顧みない。人生の意義もそのような「ありのまま」な生きざまにこそある。一度きりの人生を自己の欲望充足に宛がうことに勤しむことに余念がない。「生きているだけで丸儲け」と誰かが言っていたが、確かにそうではあるが、「いのち丸儲け」を「丸儲け」として「ありのまま」に受け取れているのかどうか。人は中々に「生きいるだけ」という訳にいかない厄介なところがある。

「ありのままの現実」と言うが、人は現実を「ありのままに」見たいと思っているのだろうか。人は自ら「迷いたがっている」のではなかろうかと思いたくなるときがある。ありのままなる「邪推」がまかり通っている現実がある。人間にとって「ありのまま」は余りにも「過酷で、受け入れ難い」ものだということなのだろうか。或いは「ありのまま」とは余りに「妙で、怖ろしく、つまらないもの」なのだろうか。自分の見たいように見、言いたいように言い、耳も目も心も貸さない。迷いたいように迷い、いのちを真っ直ぐ生きることをしない。自分持ちのありのままが横行する。現実に生きながらも、妙に現実離れしている。ありのまま過ぎて収拾がつかない現代社会。

然し、ありのままに生きるには余りにも思い通りに行かなさすぎる現実がついて回る。これはどうしたことか。

神話の定義を、「本来は人間の手の届かない神についての話を、あたかも人間の手中にあるかのように語ること」とするならば、「ありのまま」とは人間らしさに拘って生きようとするものにとって竟に神話のような代物である。

「神は己が姿に似せて人間を創り、世に送り出した」というが、人間も又、「己が姿に似せて神を創り出し」てきたのに違いない。それは「仏の姿」に於いても同様である。「神仏」が人の姿に擬えているのは、それらが人間の人知を超えており、想像力の範囲外であることの証左であろう。精神はその体積を入れるに足りる器を必要としているように見える。一体でなくなった現実を、自己を、他者を、ありのままに見、聞き、感じ、生きることの難しさ。

仏法とは「相対的意味づけ」つまり「神話」ではなく、「いのちの絶対性」に生きている事実を言っている。本来的に比べられず、限りあり、縦横無尽の条件下にある「いのちのありのままさ加減」「無分別加減」仏道とは竟にそのような「ありのままへ深まる」ということである。善悪や煩悩・欲望の彼岸にあるいのちそのものの輝き、闇、謎、豊饒さ、広やかさ、危うさ、なんともなさ、知足がある。ありのままがある。

その様な事からしても、成仏とはいのちに何かを付けたしたり、差し引いたり、特権を与えたりすることではない。生老病死を生老病死として、諸行無常を諸行無常として、今を今として、存在を存在として、自己を自己としてすべて引受ける。そのような柔軟にして、無心なる本来のいのちを生きている。侵し難く謎めいた、なんともない本来性を生きている。

自分持ちのありのままという幻想をうち破らなければならない。



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「所在」

茶箪笥の菓子より続く蟻の道

一見さんお断りどす京薄暑

タクシーの後部座席の団扇かな

蠅叩みたいに所在なき父で

不甲斐なき夢のさ中や籠枕

色々あつて父が金魚を飼ふことに

冷酒や父が荒野を垣間見せ

匕首のきらりと風の薫るなり

毎日が思ひ出づくり半ズボン

干河豚の茶づけ掻き込む社長かな

酸いも甘きも尼が手になる一夜酒

垂乳根のふところ甘き浴衣かな


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「小包」

飛ぶ鳥の腋の甘さよ更衣

何気なきことに泪す紫蘭かな

杜鵑山のあなたに遠く棲み

卯波寄す思ひの丈のありにけり

小包を花とひらきし菖蒲かな

梔子の花の終りや反古なして

野の末に置いてきぼりや夏薊

張り合ひのなき日始まる蜘蛛の糸

傷癒す鳥や獣や山清水

雨を呼び雲呼び卯木ほろほろと

踊子草継子鍵つ子みな淋し

風通し裏も表も嘘も隠しも

伽羅蕗を酒の肴に憂さを晴らすに

筍や包み隠さず肌身離さず


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「襟」

さびしさや麦の秋風吹くころの

涼しさへ襟落としゆく舞妓かな

石楠花や手に乗るほどの大きさの

住職に貰はれてゆく淡竹の子

ゆるやかに襟を解いたる花さうぶ

鉄線や雁字搦めの花と咲き

蝙蝠や空より暗き長良川

海光を孕みヨツトのひた走る

子を産みに姉の来てゐる薄暑かな

大いなる空に消えたる天道虫















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