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zoom RSS 結社賞選評

<<   作成日時 : 2017/08/11 05:11   >>

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暮れてゆく風にゆらめく芙蓉かな  玉宗



「栴檀賞選評」
 市堀玉宗

今回の応募は二十編ということで先ずその少なさに驚く。結社賞といえば結社に属するものにとっては栄誉のある挑戦しがいのあるものだという思いが私などにはある。「風」賞に初めて応募した時、私は会員であった。連続三回挑戦して三回目にして受賞した。未発表三十句の記念賞なるものにも挑戦したが受賞できなかった。

 さて、栴檀賞であるが、応募作品を見るに数もさることながら同人の応募が少なかったのではなかろうか。ここからは私の勘繰りではあるが、栴檀に於いては数年前から栴檀賞のほかに「万朶賞」なるものが創設されている。主宰の「自選力をつけてほしい」という希望は分からないではないが毎月の誌上に載った段階で自選ではなく既に主宰の選を受けている発表句である。その主宰の選を受けた年間作品の中から二十句を「自選」するのであるが、それが果たして同人の「自選力」につながるかどうか、正直なところ私には賛同できない。今は「万朶賞」の賛否を論じる場合ではないので止めておくが、栴檀賞への挑戦の意義が減殺されているのではないかといった危惧や、同人賞なる権威への安易な傾斜が結社賞の価値を低めているのではないかという老婆心があることを告白しておきたい。

今回の応募作品であるが、前述の問題と関連して当然のようにその不調ぶりには少なからず落胆、目を覆いたくなる思いである。予選で六作品を選んでくださいとのことだったが、私には二作品を選ぶ良心しか持ち合わせていなかった。いずれも二十句すべてに○がついた訳ではないが、破たんが比較的少なかったという相対的評価である。今回は受賞作なしでも構わない。作品的には独自性、意外性、新鮮味に欠けている。選外のものは推して知るべしである。
 
結社賞とはどの結社に於いてもその条件は同様で、未発表が常識である。選をする私個人としては二十句においてテーマがあること、題名にセンスが窺われること、新鮮であること、季語がダブらないこと、四季を通じて作品化されていること、月並みを脱していること、目を洗われること、流通言語に堕していないこと、感動の主体、感動の本体は可能な限り明確であることなどを期待して選別している。
 
俳句に於いては「リアリテイ」こそが貫かれていなければと思っているのだが、その「リアリテイ」なるものは内に於いても外に於いても、そう容易く手に入るものではない。リアリテイとま向かうことからどこかで逃げてはいなか。言葉、主観、形骸、常識に惑わされてはいないか。それこそがまさに写生不足なのではないのかなと思うことが選をしていて屡々思うこと。言うまでもなく、選をすることによって私自身が学んでいる。

そういった点検作業は応募する者にとっても当然ようにクリアーしなければならない関門であろう。そのような試練の現場、つまり結社賞への挑戦は会員同人の別なく十二分に価値のあるものではなかろうか。賞を欲しがるなというつもりはないが、本末転倒に陥らず、自立することへの挑戦によって自分の表現力が試され、豊かになっていくことを信じてほしい。
そのような表現の現場に於ける全うな作業の彼岸を信じることができなくて、文芸に携わるなど笑止なことであると共に、見当違いなことではないのかといった思いが私にはある。

俳句に関わる苦楽がある。屋根裏がある。砦がある。秘密がある。地平がある。救いがある。子供はいつも本気で遊んでいるものだ。賞など論外である。無心に、謙虚に、誠を尽くして、正確に、言葉という感性の窓から新鮮な自己の世界へ躍り出ること。それがそのまま短詩形に関わること意義ではなかろうかと思っている次第。妄言多謝を以って今回の選評とする。



「手探り」

稲の香や母に抱かれてゐる如し

ありがたき雨が降るなり稲の花

雀の子稲穂に溺れ浮き沈み

ふるさとの水の美味さやあきつ舞ふ

タンポポの絮吹き消すや秋の風

橡の実やふぐりほどなる大きさの

蜩をふりかぶりつゝ墓域過ぐ

夢覚めぬ怖さつくつくつく法師

暮れてゆく風にゆらめく芙蓉かな

向日葵や空に影して焼け爛れ

手探りの冥土に白き花茗荷

鳥の道けふは雲ゆく案山子かな











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