再生への旅

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zoom RSS わが憧れの不離叢林?!

<<   作成日時 : 2017/11/12 04:54   >>

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目瞑れば風音ばかり冬安居 玉宗




禅門には「一生不離叢林 」という言葉がある。
禅宗の修行道場に安居して、師家に随身するなどして、一生涯を仏道修行に専念すること。元々、中国の趙州従諗の言葉であったとされる。

道元禅師はこの故事を、特に『正法眼蔵』「道得」巻などで採り上げ、自らの修行を継続し、仏道を歩み続けることを「一生不離叢林」となした。それは、言葉にするかどうかではなく、あくまでも自らの行いに依存することだとされたのである。

趙州真際大師、示衆して云く、你若し、一生叢林を離れず、兀坐して不道なること十年五載すとも、人の汝を唖漢と喚作することなからん。已後には諸仏も也た你に及ばざらん哉。 『正法眼蔵』「道得」巻

しかあればすなはち、仏祖の道得底は、一生不離叢林なり。 「道得」巻


我がことながら、「出家したからには一生、娑婆に足を踏み込まないで、仙人のように修行道場で生きて行こう」といった思いが出家当初にはあった。それが僧堂に出入りしていつの頃からか「お寺に入りたい」ということに変化していった。いってみれば自分で修行に見切りを付けたのである。自己免許更新。それが危うい選択であったことをその後痛感したことである。

お寺の住職になると云うことは「住職」という職業に就くことであるが、それは「社会の中へ入って行く」ということでもある。理想的なものの言い方をすれば、檀信徒と共に仏道を歩み、歩哨のごとく先導して生きていくことを選択したということだ。しかし、正直なところ、当初は娑婆が恋しくなったというより、人間らしさが恋しくなったという思いが私にはあった。それと共にお寺の住職として檀信徒を導いて行きたいといった身の丈も知らない野望をまぎれもなく抱いていた。

然し、一人になって自分の力量があからさまになった。住職になっても仏弟子が生き方であることを免れる訳でもなかったし、僧堂を離れても自己が仏道の中にあることから逃れようもないのである。そのようなことはお寺に入って間もなく判明した。有難いことに興禅寺の住職のままで祖院僧堂に出仕させて戴くことができ、曲がりなりにも名実ともに「不離叢林」を実践する事が出来ていたのだが、僧堂という機関は能力もない者をいつまでも無駄飯を食わせておくほど甘い世界でもない。無念のうちに僧堂を下りて自坊に専念せざるを得なくなった。

そして現在、自坊に専念して十五年。僧堂で生きることとお寺の住職になること。どちらも縁に随っての話であることに気付いた。「行」の真偽はどこに住んでいるかではない。仏道であるかどうかだけだ。一生不離叢林とは私にとって一生不離自己、一生不離仏道でなければならない。大学病院で立派な先生になるのも一つの生き方である。町医者で一隅を照らして生きるのも一つの生き方である。「一つの生き方」であるということは「縁である」ということだ。私にとって私を生きる以外に選択の余地はなかった。僧堂で仏道を歩むか、住職として仏道を歩むか。どちらも諸行無常に命を懸けていることには変わりない。

それにしても今でも僧堂生活への憧れが私にはある。私が叶えられなかった「一生不離叢林」の夢を、弟子に叶えてほしいと思ってはいるのだが、夢を託された弟子にしてみれば大きなお世話ではあろうことは容易に察しが付く。そうではありながら、いまだにその夢を捨てきれずにいる自分がいることをごまかせない。好きなんだな、僧堂が。



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「夫婦二十句」

生きて来し二人の日向ぼこりかな

無理するな風邪を引くなといつになく

落葉掃くくらいのことはせよといふ

寄り添うて風の百日冬籠り

菊根分けほどには妻に手を掛けず

妻のゐる障子明かりとおもふなり

冬立ちて水に仕へし妻の音

冬薔薇かなしび分ち合ふほどに

庵さす山も眠りに入りにけり

賜りし洗濯日和花八つ手

焚火して来し方行方暖むる

なにごともなかりし如く干す蒲団

しぐるゝや夫婦茶碗も古りにけり

われよりも妻にすり寄るかじけ猫

いつしかに呼ばぬ妻の名帰り花

湯浴みせし妻に柚子の香たまゆらの

湯冷めして妻の小言を聞いてをり

三界をふりさけみるや木の葉髪

梟も鳴かずと言へり坊が妻

われ知らぬ妻のたそがれ綿虫来






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