再生への旅

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zoom RSS 究極の終活「韜晦の系譜に学ぶ」

<<   作成日時 : 2017/11/15 05:26   >>

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たまゆらの日ざし惜しめと笹子鳴く 玉宗


先日、興禅寺に拝登して頂いた新潟県村上市の普済寺老師は漢詩の大家でもあり、宗門の師家養成所に於いて講師を勤められている。今回も總持寺祖院を会場に養成所が開設され来輪された。その折に戴いた老師の資料の中に大智禅師の偈頌がいくつか載っており、懐かしく拝読したことである。

心ある宗門人には大智禅師偈頌と言えばその初学の頃より親しまれたテキストである。



方袍圓頂倣僧形
何用波波競利名
山上有柴渓有水
林間最好養残生



幸作福田衣下身
乾坤嬴得一閑人
有縁即住無縁去
一任清風送白雲



一抹軽煙遠近山
展成淡墨画図看
目前分外清幽意
不是道人倶話難



截断人間是与非
白雲深處掩柴扉
當軒裁竹別無意
祇待鳳凰来宿時



艸屋単丁二十年
未持一鉢望人煙
千林果熟携藍拾
食履渓辺枕石眠



人の命は生まれたときから終活が始まっているとも言えよう。
現代は「余生」といった言葉に余り好感度がないようであるが、生涯現役と言えば聞こえいいが、その実際のところは後から来るものの居場所を無くしている可能性もなきにしはあらずだろう。人の一生は働き盛りといったものが確かにあるだろう。そのような「現役」を引退して「余生」を気楽に過ごし、「死」という終点への下り坂を気楽に生きていく。それはある意味、贅沢なことでもあり、そして自然なことでもあるように思える。

仏弟子は諸行無常を宗旨として生きる。それはつまり、いつも「今が誕生」であり、「今が現役」であり、「今が臨終」であり、「今が余生」であるといった生き方をすることでもあろうかと思う訳である。いわば「生涯終活」である。生れて以来の終活である。世間の欲望に見切りをつけた人間の「韜晦術」の根底にある「究極の終活」。

禅師の偈頌には「残生」という言葉も見える。人間を遠く離れるとは物理的なことだけを言っているのではなかろう。それは欲望を遠く離れるということと同意義なのだ。立身出世も名誉も名声も求めないその生き様。京から越前の山中へ逃れ名聞利養、権力から遠ざかった道元禅師。大智禅師、良寛さま、その韜晦の系譜。

それは徒ならぬ捨て身の実践であろう。世間的な毀誉褒貶も、仏法の名声さえも捨て去り、その時、その場にとけこむ「只の人」「道の人」に徹する。世情、人情を超越した「そのもの」になり切る。ほんものの解脱の人間の姿。成仏の実物、釈尊へ繋がる韜晦の系譜がここにある。今の世には到底叶わざる生き様と一笑に伏されるであろう韜晦の系譜。なればこそ尚更のこと、私のような末法の比丘が慕う所以でもある。






鎌倉時代後期から南北朝・室町時代の日本曹洞宗の学僧。名は大智。

生没年:正応3年(1290)〜正平21年(1366)
出身地:肥後宇土郡長崎(現在の熊本県不知火町)

肥後に生まれた大智禅師は、同国内にいた大慈寺の寒巌義尹禅師の下で出家し、小智と名付けられたが、自ら大智と改めた。寒巌禅師が示寂した後は、建長寺の南浦や、釈運などに参じたが、加賀大乗寺の瑩山禅師の門を叩き、その下で7年ほど学び、大悟した。

その後、延慶4年(1311)には、鎌倉円覚寺に住していた東明慧日に参じ、さらに、正和3年(1314)には、中国に渡って、古林清茂・雲外雲岫・中峰明本・無見先覩などを歴参した。なお、帰国する際に、元の英宗は詔を発して、中国の船で大智を送った。それを受けて大智は以下の偈頌を詠んでこれに感謝した。

万里北朝詔を宣べ玉う、三山東海帰船を送る。皇恩至厚何を将って報いん、一炷の心香万年を祝す。 『大智禅師偈頌』「謝太元天子詔許還本国」

ただ、帰国する際に、その船は難破し、高麗に流れ着くことになったが、ここでも大智は、偈をもって王に呈し、帰船を得て、加賀国宮腰津に到った。直ちに瑩山禅師に謁し、後に明峰素哲禅師の法嗣となった。これ以降、大智禅師は、加賀国河内庄吉田郷に庵を編んで居していたが、後に堂宇が調って、獅子山祇陀寺になった。

晩年には、肥後に帰って、鳳儀山聖護寺を開いて居していた。なお、地元の菊池氏(菊池武時)は、玉名郡に広福寺を作って請し、その開山として入った。最晩年には水月庵に退去した。正平21年12月10日に示寂、世寿77。すぐれた偈頌や仮名法語などが残り、また諸本を書写しており、今でも貴重な写本が残る。法嗣には禅古がいる。

・『大智禅師偈頌』1巻
・『大智禅師仮名法語・十二時法語』
・面山瑞方師編『大智禅師逸偈行録』1巻     つらつら日暮らしWiki〈曹洞宗関連用語集〉









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「どこもかしこも」

冬めきぬ猫も杓子も山河大地も

朝銀杏夕べ山茶花掃く男

冬帝に侍るか黒き烏なりけり

吹き消されたるやうにも一つ帰り花

鋤焼を囲む子を見て心足り

綿虫の綿運びゆくあちらこちらに

男になれと飲ませてもらふ熱燗を

枝枯れて奈落の空を掻き毟る

騙されて食はせてもらふ河豚汁

雪来るとピリカメノコの深まなざし

嫁に入る狐も寒き時雨かな

人混みやどこもかしこも冬の暮



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