再生への旅

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zoom RSS 坐禅の知恵と徳相

<<   作成日時 : 2017/12/01 04:15   >>

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臘月の山気迫りし結跏趺坐 玉宗


僧堂では、お釈迦様の成道を慕い、12月(臘月)1日から8日暁までの接心が行われる。

安居とは在り難いものである。坐禅や作務や勤行や、僧としてのあるべき行住坐臥の日常も、一人では思うようにいかない仏の真似ごとであるが、仲間がいると自律他律の力が知らず知らずのうちに働くものである。そのような年季を重ねて、仏弟子としての自立が果たされるのだろう。道に極まりはないが、自分の足で歩いてゆく覚悟と自信を育てるのが僧堂の使命ではなかろうかと思っている。

祖院の仏殿にある襖には山岡鉄舟居士の揮毫になる次のような言葉が書かれている。

「鉄樹抽枝・石樹開花」

鉄の木が枝を張り、石の木が花を咲かせるというのである。鉄樹・石樹ともに煩悩に輪廻しない坐禅人の様子であろう。坐禅人、禅僧は傍目には感情を没した、木で鼻を括ったような、冷徹な、ぶっきらぼうな存在である。その内実は伽藍堂というに相応しい。それは人情や煩悩にぶれない人間の名誉ある蔑称である。その不動心は、当に、鉄樹、石樹、木人、石女として喩えるに値する。

しかし見過ごしてならないのは、枝を抽んじ、花を開くという自在心、柔軟心の世界へ手を垂れて出て行かなければならないという現実があるということだろう。それは、石の上にも三年、十年、一生をかけて身心に備わる知恵徳相でもあろう。接心というものも僧堂ならではの行持である。腰の抜けるほど坐って自己のお粗末さと共に、こだわるもののない自己の真相に出会う。

「発心正しからざれば万行虚し」という先言がある。
これは一般の在家参禅者だけに言挙げされたものでは勿論ない。凡そ、仏道を志さんとする者の陥りがちな過ちを言わんとしている。凡そ、初心の弁道といったものは指導者へ白紙委任をしなければならない。自己の知見を持ち合わせて初心の弁道と云うこと自体が間違いであるし、もっと云えばおこがましい。

「わたしが生きている」のではない。「わたしのいのち」なのではない。執着すべき「わたし」といったものが雲散霧消してしまう。敢えて言えばそれを「悟り」と云ってもいいが、一体であるからこその不自由さ、であるからこその自在さ。迷いを忌避し、悟りを追い求めては元も子もない。


「みづからを求めんと欲するは生きるものの定まれるならひなり」とも云う。
迷っていたのは誰だったのか。何に迷っていたのか。迷うとはどういうことなのか。それでいいのか、よくないのか。もの足りないのは何なのか。物足りなくて何の不都合があるのか、ないのか。禅といえば「悟り」という構図を切り離せないでいる方がまだ社会にいるというのも不思議なくらいである。「私が悟る」「私の悟り」といったものを絵に描くが如き妄想を持ち合わせてはいけない。敢えて持ちあわすべき心術というのならば、「己をむなしくする」ということの一点に尽きよう。

仏道とは自己が自己に落着しぶれない生き方を身にも、心にも決着して行くことである。人の毀誉褒貶や世の喧騒や名聞利養や人生の有為転変の中にいながらにして埒外に逍遥として生き切る自己の人生の芯といったものを育み、捧げて行くいく。如何にいわんや煩悩や輪廻転生なるものに於いてをや。そのようなこころざし、誓願、信念といったものを抱きながら生きて行く。それこそが仏弟子というものであり、仏の方を向いて生きているといったことなのである。社会的に生産的な人間であるかどうか、それは二の次の問題であると言ってよい。あれもこれも、ではない。それぞれがそれぞれであってなんともない。成道というも、そういう次第ではないのか。禅はそういうかたちで社会貢献し、その文化へ還元している


坐禅に象徴されている知恵と徳相を具現して生まれ、生きて、死んでいく我らであろう。何かを付け足すことではない。何かを差し引くことではない。あるがまま。ひたすらなるものの尊厳、光りがある。



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「と」

雪が来る空のくらさとしづけさと

石蕗咲くや海鳴り已まぬ間垣村

めぐりくる空の低さよ能登杜氏

黄昏へ傾く卒塔婆十二月

北窓を塞ぎ一人の夜を灯す

玄冬へ侍る烏の夕日影

師走なる風のつよさとうつろさと

鯛焼を抱へ小僧が来つゝあらむ

籠りゐる肉の軋みや風邪心地

宿題は今川焼を食べてから

蒸饅頭湯気の向かうに母がゐて

枯れてゆく地のあかるさとつれなさと





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