遠くへ行きたいなあ~症候群

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風に萎え光りに細み懸大根  玉宗


昨日から輪島市外へ托鉢の脚をのばしている。
遠鉢(えんぱつ)である。托鉢行もマンネリ化して地に足が着かなくなることがある。かといって、全く知らない町というのも浮ついてしまうものだ。能登半島一円は震災再建勧進托鉢で歩いているので一通りは知っているつもりである。宇出津はそれ以前から寒行で年に一度足を運んでいた所。漂泊の旅なら「知らない町へ」もいいだろうが、「行」となればそうもいかない。 (ああ、われながら面倒くさいな)

正直に言うと「ちょっこし遠くへ行って、違う風景の中で托鉢したい」ということなのである。もっと正直に言えば、「休みたい」というのが深層の本音かもしれない。


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今日は車で約40分程離れた宇出津(うしつ)という港町だった。
北朝鮮工作員による拉致事件発覚の端緒になった「宇出津事件」をご存知の方もおられるだろう。
<宇出津事件・http://www.npa.go.jp/keibi/gaiji1/abd_j/ushitsu.html
能登半島内海の宇出津湾岸に開けた古くからの港町で、奥能登の物資の集散地として賑わいがあったという。舟運で富山県と物資交流が盛んであったが、現在は漁港で商工業も盛んである。地元の新聞に定置網に鰤や鮪の大漁記事が載ることがある。また、全国的に有名な「あばれ祭り・http://www.h2.dion.ne.jp/~you-kid/」の行われる町でもある。

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路地を歩いていると玄関にのような貼り紙があった。「押し売りお断りします」とか「猛犬注意」より余程心が和む。大寒も過ぎて三寒四温の日々へと移ってゆく。町中を流れる川もすでに雪解川のような色と勢いがあった。


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やはり、とある玄関先。のような置き物が取り付けてあった。お不動さんかな。シーサーに負けない眼差し力がある。家人のウイットが面白い。托鉢は言うまでもなく玄関先に立つのだが、玄関は家人の顔であるとつくづく思わせられる。十中八九、玄関を見れば家人の心根が察せられるものだ。「玄」なるものへ通じる「第一関門」を疎かにしてはならない。

空模様は雪時雨という感じであった。予報では又、寒気が日本海側へ降りてくるらしい。

で、移動時間を考慮すると休憩する訳にもいかず、結局六時間近く歩きっぱなしの托鉢になってしまった。

物見遊山などとんでもない話しで、いったん歩きはじめると「私の都合」などお構いなしで、「托鉢という行そのもの」に引っ張られてしまうのがいつものことである。
遠くへ行きたいだなんて、住職をしている限り叶わぬ夢なのかもしれない。

お寺に帰る頃は既に真っ暗になっていた。若いころと違って流石に体力的にしんどくなっていることを実感する。遠くへ行くにも体力がいるということか・・・やばいな。若いころに世界一周托鉢でもしておけばよかった。

道は遠近に非ず。こころざしが青雲を呼ぶのであろう。





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この記事へのコメント

yoshiyoshi
2010年01月21日 20:58
上ばっかり見て歩いてたら
人生を転げ落ちてしまいました、(笑)
落ちてよいのは話しだけですなぁ

一月もはやずるずると転げ行く   よし
遊子
2010年01月21日 23:35
風に萎え光りに細み懸大根  玉宗

おいしそうな大根ですね。
風情のあるぶらぶらです。

遠くに行きたい・・のうたが好きでした。
現実化するとは・・・
陽だまり
2010年01月22日 06:54
市堀玉宗さん おはようございます

風に萎え光りに細み懸大根  玉宗さん


輪島市外へ遠鉢とは、元気が良いですね~・・。
遠鉢、初めて聞きました。
輪島は見るものが多いのでしょうね・・。(笑い)
私も一度訪ねてみたい町です。
足も大根のように細ったのでは・・・お疲れさまです。

湘次
2010年01月22日 08:49
おはようございます
 吟行もいっていないところに行きたいです。
 遠吟ですね。
ルプママ(ひらり)
2010年01月22日 11:04
コンデジ片手のお茶目な托鉢に思わず笑いが!~(^^♪

人間にとって新しい発見は実に楽しい作業ですね。
同じ処にだって在るはずなんだけれどそこはそれ、自分の引き出しにないことほど魅力的なことはありませんね。私も今年はどこまで行けることやら(密かに能登をターゲットに!笑!)・・・。
柏樹窯
2010年01月22日 14:58
こんにちは。

寒さが戻っても、日差しが段々明るくなって心強いですね。

当方いま花器の試作しています。

それにしても、托鉢姿がよく似合うお坊さんですね。玉宗和尚さんは。合掌。

市堀
2010年01月22日 20:06
皆様、コメントありがとうございました。寒行托鉢も十日余りとなりました。今のところ例年のように歩くことが出来ています。足の具合もなんとかやっていけそうです。合掌
花てぼ
2010年01月22日 21:21
いつもながらの示唆に富むお説教に感動しています。
「托鉢はもうやめた-い。」と訴えるような、甘えんぼのような。「かわいそうに、止めてもいいんだよ。」などととんでもない母性愛が・・・。いえいえ、玉宗和尚さまには、つまらん母性愛よりも、仏様の有難いお慈悲「何を弱音を吐いておる、出るのじゃ、明日もあさっても托鉢じゃ。」というお声が聞こえてきます。

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