俳句つれづれ

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神業と思ふ大根の拗ね具合 玉宗


近々、珠洲市の俳句大会で講演を依頼されている。主催は石川県俳文学協会珠洲支部である。結社や協会を超えた団体である。タイトルを決めかねていたのだが、「俳句徒然」ということでお茶を濁すことにした。俳人協会では珠洲には「風」時代の仲間が多い。今は「風港」「万象」などの結社で研鑽している方々だ。その他、現代俳句協会、伝統俳句協会の所属の皆さんが参加されるのだろう。事務局の中川雅雪さんは、「風」の先輩でもある。今年の「室生犀星俳文学賞」を受賞されている。七尾市の俳句大会で選者としてご一緒した折に、地元での講演を依頼された。私の俳句縁を軸に私の俳句観みたいなものを伝えることができればいいと思っている。

拙ブログでも私の俳句遍歴を披露しているので重複するところもあるが、まだ記事にしていない遍歴もあるので、紹介しておこう。私は「あらうみ」という「ホトトギス」系の結社と沢木欣一主宰の「風」の他に、「銀化」と「古志」の会員だったことがある。

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「銀化http://ginkahaiku.web.fc2.com/」は平成10年10月に中原道夫氏によって創刊された。平成10年と言えば、私が「風」賞を戴いた年であり、調子に乗って沢木先生に他の結社でも勉強したい、と直訴した経緯がある。先生は快く他の結社に入ることを認めてくださった。中原氏の俳句は古色蒼然、旧態依然の俳句界に於いては、現代感覚に溢れていた。「沖」同人として俳人協会賞も受賞され、俳句界の寵児といった感があった。石川県にも仲間がいて、来輪の折に面識を得た。その後「銀化」を立ち上げ、創刊に稍遅れて入会した。東京で開かれた「銀化」創刊記念式典に出席したら、現代俳句界の中堅を担う俳人諸氏に混じって永六輔さん、小沢昭二さんも列席していた。田舎者の私には垢ぬけた、都会風な、洒落た雰囲気の中での祝賀会であった。グラスを手にしながら、「ああ、これは私向きではないな」と直感し、そして後悔していた。俳句以前のようなところで挫折したのである。中原さんには多少気にかけて戴いていたようなのだが、一年足らずで「銀化」を退会した。


中原道夫10句(銀化10月号より)

小尋常と申しあげたり鱧落し
最後まで割つてはならぬ西瓜置く
寄るつもりある台風にして遅々と
風鈴の一芸つまらなくなりぬ
死んだ真似にんげんもせり金亀虫
甚平の内紐解けてささ閨へ
昼寝覚め畳一目は千里とふ
あまがみの乳房離せ銀河へ往く
すずかぜのかならずおとなひくるあした
甜酒を持たせ寄こせし萩すすき



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長谷川櫂主宰の「古志http://www5d.biglobe.ne.jp/~koshi/」には「風」終刊間もなく、浪人の無聊に堪えず入会した。朝日俳壇の選者でもある長谷川櫂氏の存在は以前から注目していた。同人会長が知っているお坊さんでもあり、「古志」でやってみたい思いを捨てることが出来なかった。作品本位を貫いている「古志」の志し、「古典によく学び、現代の空気をたっぷり吸って、俳句の大道をゆく」に気後れもあったが、小気味よさもあった。「古志」は半年ほどで退会した。身辺に不如意もあり、俳句に専念出来ず、不本意なことではあった。

長谷川櫂の俳句

いつぽんの冬木に待たれゐると思へ
はくれんの花に打ち身のありしあと
暗闇に水の湧きゐる椿かな
夏の闇鶴を抱へてゆくごとく
灰の上の灰は木の葉の形して
妻子いま夕餉のころか初蛙
春の水とは濡れてゐるみづのこと
初なすび水の中より跳ね上がる
吹雪く夜の橋思はれてしばし寝ねず
冬深し柱の中の濤の音
日がさして熟柿の中の種みゆる
朴若葉子規の無念の畳かな
(現代俳句データベースより)


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「銀化」も「古志」も私にとっては冒険ではあった。「風」だけでは満足できず、新しい地平を望みたかったのである。私にはどうも一つのところで落ち付けない癖があるらしい。結社という組織性が性に合わないとも云えるが、俳句には元来、衆を恃む芸事としての本質があることに思慮が足りないのであろう。俳句の文学性とはそういうものであることに正直、我慢ならないところがある。

どちらにしても、俳句もまた作品本位である。と言いたいところだが、人の数を超える俳句が日々生まれ、消えてゆく。俳句の評価も鑑賞も、句会や結社誌などの「場」での一期一会の出合いである。当たり前のことであるが、「場」を離れて「作品」はない。俳句と言う「定型詩」が作者にとって「文学」であり「芸事」であることも、「共感の場」があっての鬩ぎ合いなのであろうと思っている。




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この記事へのコメント

yoshiyoshi
2010年12月01日 04:34
冬柏空の高さに辟易と    よし
市堀
2010年12月02日 11:24
 よしさま。
一句ありがとうございます。
「手が届きさうで届かぬ冬の月 玉宗」
合掌
2012年09月13日 22:34
一羽でも飛ぶ 群れてでも飛ぶ

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