詩の領域
鯉のぼり銀河の海の風孕む 玉宗
正直なところ、時々余りに散文的な現実に私の脳髄はついてゆけなくなることがある。
そんなときなのだろう、詩を欲するのは。どんな詩でもいいという訳ではない。理屈を超えた世界へ誘う韻文であるに越したことはない。現実逃避?そうかもしれない。現実は余りに見るに忍びないから。理不尽極まりないということが人生には間々あるものだ。一歩引いて人生を俯瞰し、見つめ直すこともあってよかろう。
いのちが理屈ですべて割り切れるとは思わない。少なくとも割り切れないままで今日まで生きてきている。
詩という感性の領域に癒される魂・脳髄の声なき声、腸に染みて行くような潤いを欲している渇きが自分にはある。
てらやまへメールhttp://terayamahe.seesaa.net/でお馴染みのいらくさ氏の作品。福島に住む氏は原発被災以来「海」をテーマに詩を紡いでいる。
「海~k~」
真夜中の
ソファーに
目覚めると
ブルーブラックの
インクの
なかにいた
深海魚がきて
おまえは沈没船
でも大丈夫
鯨に伝える
と
鯨は
潮を
吹いて
初夏の雲に伝えて
清らかな
秋になると
鰯雲に伝える
鰯雲は
最期に
山々に
降りて
驚かないで
沈没船の
おんなは
小さな
真珠を宿したよ・・・・・
エメラルドと
ダイヤモンドと
バロックと
どれがいい?
5月の
夢のなかで
神様に聞かれて
真珠と
言った
気がする
大津波を起こしながらも原発被災した故郷の海への沈潜した愛情表現が感じられる。氏は故郷を離れる気は毛頭ないかのようである。海底の貝に宿るささやかな真珠のような希望を抱いて生きて行こうとしているらしい。
次は私の作品。以前のものを手直ししてみた。
「海」
流れ着いたもののように
海を見にゆく
生きてゆくために
何かを捨て
誰かを呼ばずにはいられない
なにもかもが無償の愛のようで
鴎も
雲も
私も
なんだかとても居たたまれない
もう取り返しがつかないほど
生きてしまった私の沖
海よ
おまえは
いのちの虚しさのように
不思議で美しい
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この記事へのコメント
私のブログの写真は
ありふれた小さい草花ばかりです。
海の詩を書いても海の写真が付けられません。
きれいな青い日本海の写真と一緒に
「海~k~」をご紹介下さいまして
ありがとうございます。
ご自分の作品も見せていただけて
嬉しいことです。
こんな風に言葉を交換し合うことが出来て
3・11以後は特にこれが大きな慰めだと感じて
感謝の気持ちが湧き出てきます・・・・・
大仕事が控えていますね
体調管理を万全に、ではおやすみなさい。
「母恋の風に乗りたる草矢かな 玉」
「海」シリーズには詩的にしてシリアスな実があります。叙事詩にして抒情詩でしょうか。
ご健筆を。
コメントありがとうございます。
いらくさワールドいいですよね。
たかが詩人と侮る世間ですが、花てぼ様には解っていただいて嬉しいです。
合掌