電子書籍 『ふくしまの海』by いらくさ

画像


われなくて色なき風の軽さかな 玉宗



  • ふくしまの海

    by いらくさ
    forkN



  • 福島は今、新たな神話が始まっていると言っていいだろう。
    ここに一つの被災者の声がある。詩人でもある被災者は言葉を紡ぐことを以って再生の道を歩んでいる。作品は「海」と題された連作である。そのうちの一編を紹介させていただく。詩、それは鎮魂でもあり、慟哭でもあり、呪詛でもあり、諦念でもあり、愛であり、夢であり、そして、生きる力である。作者は神話の語り部となれるだろうか。


    海~b~ 

    本物の
    海に出会う前
    地球儀に出会った

    それも
    地球儀キットで
    自分で作ったから
    北半球に皺があった

    だから私は
    太陽が海から出て
    海に沈んで

    そのたび海が真っ赤になって
    海はどんなに
    あっついだろうと
    心配したりしなかった

    だけど
    浜の子はどうだろう
    四歳の小さな子供の瞳に
    そこは聖地だ

    いつか
    確かめたい
    海と太陽の
    くっついているところ

    だから
    舟に乗って
    海にいくのだと

    浜の子が
    消えたのだ

    泥の中で
    瞳を開けて
    横たわって
    いるのだ

    まだ海を
    球形に出来なかった

    鯨色に
    光る
    瞳なのだ





    でで虫よ汚れた雨を浴びるのか

    蚯蚓等の見えない目まで泣かすのか

    ほうたる来廃墟の水にほうたる来


    詩篇と違い、俳句は被災地の瓦礫の一片のように存在している。定型はそれを潔しとしているところがある。被災者として、人間として、詩人として見るべきものを見ている。それは決して従来の俳句的ものの見方、感じ方に収まるのをよしとしない。俳句は作者にとって予定調和ではないようだ。感性豊かにして裸の批評眼がなければ出来る事ではない。現代俳句の可能性のひとつがここにもあろう。詩が言葉の再生であることを思い出させてくれる。




    よい記事と思われましたらポチっとお願い致します。合掌
    にほんブログ村 哲学・思想ブログ 禅・坐禅へ

    にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ

    にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人間・いのちへ


    この記事へのコメント

    てるてる小僧 
    2011年10月09日 06:54
    おはようございます。
    このようにご紹介いただいてとても嬉しいのですが
    ブログの格調が下がってしまわないですか?
    早速花てぼさんからご喜捨賜りました。

    菜の花プロジェクト
    県内のあちこちで取り組みがなされ
    事故以前からバイオディーゼル油で町内の
    車を走らせている町もあります。

    バイオディーゼル油をつくる施設までは
    すでにありますからその先
    バイオガスをつくる施設
    さらにそれを使って発電をする小規模の発電所
    最後は水のなかに残るにセシウムを処理する施設
    是非そこまでつくるべきだと思うのです。

    ついこちらのことばかり書いてしまいました。
    ブログ再生への旅との間に違和感が生じてしまう
    かも知れません・・・・・
    その時はどうぞマル秘扱いにて
    宜しくお取り計らい下さいますよう
    お願い申し上げます。

    貴重な時間を私どものために割くいてくださいましたこと感謝・・・・・NHK俳句を見ながら、失礼致します。

    いらくさ
    2011年10月10日 05:41
    おはようございます。
    てるてる小僧は
    私の織物をするときの名前でした。
    混乱させてしまいましたね。
    今は肩の故障で織物の方は休止中です。

    夕べもお月様綺麗でした。
    もう月には行かないでそっとして
    おきたいものです。

    川の向こうの神社でお祭りが始まりました。
    素朴でのんびりしていて
    町内の方が道端におすわりをして
    おはらいを待っていたので驚きました。
    今日も良い一日でありますように。
    市堀
    2011年10月11日 07:00
    いらくさ様。
    秋も深まりつつありますね。
    知らぬ間に十三夜も過ぎていました。
    食欲の秋、
    文学の秋、
    哲学の秋、
    旅の秋、
    もの思う秋、
    そして、
    もの思わない秋もあろうかと。(^^;

    合掌

    この記事へのトラックバック