じんのび精進しまいか
じんのびと生きめや能登の山霞 玉宗
輪島市から門前町へは山越えと海岸沿いに行く二通りの道がある。天気が良かったので、門前町にある興禅寺まで、倅と一緒に車で日本海を望みながら海岸沿いを走った。海岸沿いと言っても、断崖を縫っての上り下りで、スリルがないことはない。
荒東風の吹き抜けてゆく間垣村 玉宗
大沢地区は「間垣」といって、日本海から吹きつける強風除けの竹垣で有名である。先頃、NHKでも放映されたところである。戸数にして二十戸もあるのだろうか。寒風吹き荒ぶ冬も過ぎ、春の日差しが間垣に注いでいた。夏場は日除けにもなるのだろう。過酷な環境に住み着いた先人達の智慧に感服する。
やうやうと夫婦滝にも春日陰 玉宗
上大沢から門前へは山越えとなる。途中、男滝・女滝と呼ばれる景勝地を通り過ぎる。雪解水の溢れるような勢い。春の滝は結構力強い。
最果ての雪割草に逢ひたくて 玉宗
雪割草の群生している皆月地区へは途中から道が分かれる。皆月の娑婆捨峠・猿山岬には「雪割草」の群生地として知られている。例年、三月下旬には満開となり、今年も門前町では24日、25日と「雪割草祭」が開催される。時間がなかったので今回は割愛して真っ直ぐ門前町へ向かった。写真は昨年のものである。
遠回りして興禅寺へ向かったのも、仏の道を歩き始めた倅と海が見たかったからである。
僧堂へ上山する前に、基本的な、そして細々とした礼儀作法、進退所作、心構えなどを習っている毎日。萎縮してしまうこともあろう。仏の世界は大らかな、広やかな、拘りのない世界であることを知ってほしい。海、山を見て、彼の道心がどうなるものでもないのかもしれないが、自然の中で生き、生かされている自己。仏道も又そうしたものであろうという信念のようなものが私にはある。
焦ってもしょうがない。怠けてもしょうがない。ときどき一休み、じんのびなどしながら真っ直ぐ生きる。精進とは誰かとの競争ではない。自己が自己の深さに切り込む。自己の命に親しく生き切る。それだけのことだ。
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この記事へのコメント
当に能登のじんのび風景の一句です~!