生と死と

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飛び立つか舞ひ降りたるか山法師 玉宗


コロナウイルスで社会が少なからず混迷している。世界全体で三十万人を超える死者が出ており、その圧倒的な数量に驚きを越えて感覚がついていけない。顧みれば、コロナだけではない。毎日、毎月、毎年、そして人類発生以来どれだけの生と死が繰り返され、いのち受け継がれてきたことだろうか。それはそのままいのち生き延びるための困難を克服する試練でもあっただろうか。

世界には現在、約72億の人がいるとされ、1秒に4.5人が生まれ、1.8人が亡くなる。1秒ごとに2.7人、年間で8600万人増えているとされる。かつてないほど大勢の人々が地上で暮らしているとされているが、一方に5秒に1人の子どもが飢えに関連する病気で命を落とし、飢えと貧困によって、毎日2万5000人の人々がなくなっているという現実がある。「飢え」が原因となって死んでいく人は毎年2000万人との指摘もある。第二次世界大戦全体では5,000万人~8,000万人の人が犠牲になっている。自然死という全うないのちの終焉が僥倖であることに今更ながら思いが到ると共に、生が紛れもない奇跡であることを知らされる。

死んでいった者たちの血肉を食らい、土塊となった屍の上に足を踏ん張って生きている私たち人類。當に生死一如。志のある生き方が問われているのが人類の宿命ではなかろうかと思う次第。合掌。




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「ふらり」

ふらり来てふらり立ち去る天道虫

野に下る都忘れの心あり

山法師まだ飛び立てぬさみどりの

小手毬やご飯を零すやうにして

ただ青き空おそろしや花槐

金魚とはやつていけさうそれなりに

蝶の来てセンダイハギにぶら下がる

ふと我に返りし蟻か立ち止まり

菖蒲湯の一番風呂を婿殿に

狐の提灯森の奥へと誘へる

魔が差してふらりと蚯蚓鳴く方へ



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「生きて」

生きてあればなんとかなるさ天道虫

わが家よかれ庭石菖も群れ咲いて

出世とは縁なき暮らし古簾

戒律に生きる素足や扁平な

今日からは嘘も隠しも網戸越し

太公望鯵を捌いて食はせけり

ぼうたんの淋しき花の驕りにて

これがその見たこともなき蛇の皮

生きてゆく力懐かし雲の峰

花は葉にそれでも生きてゆくといふ

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