寺報12月号

『寺報12月号』 法輪山興禅寺・鳳来山永福寺
令和二年も師走となりました。コロナ禍の中、檀信徒の皆様にはご清寧のことと存じます。今年も様々な出会い別れ、ご縁がありました。
七月には私の受業師(得度の本師)である總持寺独住二十三世御誕生寺中興二世雲海興宗大和尚が御遷化されました。コロナ感染拡大防止の措置を取らざるを得ない中で自粛を余儀なくされた荼毘式に特別に列席させて頂きました。禅師様には生まれ変わっても返せないほどの御恩を忝くして今の私があります。衷心から哀悼の意を表するものです。
九月の總持寺祖院御征忌では興禅寺にとってはその系譜に属する總持寺五院の一つ、普蔵院開基太源宗真大和尚六百五十回遠忌があり、焼香師を拝命しお勤めさせて頂く法縁に浴しました。これもコロナ感染を考慮して檀信徒の列席を組むことができず、数人の檀家がお参りしてくださいました。ここに改めて感謝申し上げます。
さて、来たる令和三年はご存知の様に、總持寺開創七百年を迎え、能登半島地震復興事業も今年中には終り、春ごろより祝賀行事が控えています。弟子であり永福寺住職ともなった孝宗和尚も祖院にあってすくなからずお役に立てれるようになりました。不肖の弟子ではなく、不肖の師匠である私が成し遂げることができなかった祖院での世紀の行持に居合わせることができるご縁に合掌するのみです。
永福寺檀信徒の皆様にはコロナ社会ではありますが、仏教徒である私共にはいつも目に見えない仏天のご加護があるものと信じて疑いません。そのためにも希望を捨てず、今をないがしろにせず、コロナ禍での基本的に守るべきことを守り、平常心でお過ごしくださいます様お願い申し上げます。
来たる年が皆様にとって幸いでありますように。いのち大事に。合掌。

「八翠湖」
冬晴の八翠湖畔村境
枯葉舞ふダム湖に眠る村いくつ
枯枝に鴉見下ろす山上湖
暮れてゆく風の行方や枯尾花
野晒しの稲架吹く風や冬さびて
過疎の地に零れんばかり実南天
鬼柚子や手毬ほどなる大きさの
身に纏ふ蔦も枯れたり烏瓜
枯歯朶や行者道とはけもの道
冬杣の谺す山の深さあり

「冬の色」
寒雀遊ぶ朝市本通り
鴛鴦の追ひつ追はれつ小伊勢川
鯛焼を抱いて渡りぬいろは橋
千両やむかし回船問屋町
海鼠採る舟を浮かべて鴨が浦
冬の色輪島塗師町漁師町
雪竿の招き入れたる十村墓地
山茶花や洗ひざらしの城下町
鱈捌く雨の冷たさ輪島崎
冬籠る木立の中や常田寺
万両や門前横町廓町
冴え渡る娑婆捨峠風岬
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