仏の日


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墓石の雪をのけてや仏の日 玉宗

 
 大本山總持寺祖院管理の亀山墓地には、二祖峨山禅師並びに五院輪住大和尚、そして明治期以後の独住禅師卵塔が建ち並んでいる。
先日、興禅寺の朝の雪掻きを済ませてから、供花を買って亀山墓地に新基建立された本山独住二十三世板橋興宗禅師の卵塔をお参りした。墓地正面の山門を入って左側。禅師の得度の師匠でもある独住十九世渡辺玄宗禅師、そして独住二十一世梅田信隆禅師の横に並んで建っている。

大雪も峠を越えたようで、雪も止んで冬空が大きく深呼吸をしたような朝だった。墓に積もった雪を素手で拭って献花し、大悲心陀羅尼一巻を読誦回向。昨年の七月五日に御逝去されて半年。昨年の今頃は体調を崩されていたことも知らず、寒行托鉢が終ったら御誕生寺へ年賀のご挨拶に行くつもりだった。まさかその後入院されて半年後に亡くなられるとは露にも思っていなかった。

お墓をお参りしてつくづく幽明境を異にされたことを実感する日々である。生前はご迷惑やご心配ばかりを掛けた自他ともに認める不肖の弟子ではあったが、これからは全てを受け入れてくれる明鏡止水の如き存在がいなくなってしまった。今更ではあるが、これからは掛け値なしで独り歩きをしなければならない。

ということで、墓参のついでに冥界の禅師様に一つ二つお願い事をして帰った。

「コロナが終息してもとのような社会に戻りますように。寒行托鉢が無事円成できますように。ちょっとはマシなお坊さんになれますように・・・・」

死して無の世界に帰した師匠にまだお願い事をする不肖の弟子ではある。合掌。





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「寄せて」
葬送の朝ゆ踏むべく霜柱
風花や思ひ出ときにほろ苦く
松納め風が素通りしてゆきぬ
獣めく父の鼻息白く太き
岩をうつ波も氷るや鴨が浦
道ならぬ傍に雪を掻き寄せて
冬渚瀕死の波の打ち寄せて
吹き寄せて千切れて舞うて波の花
どんど火の雪を焦がして果てにけり
左義長の果てたる宵の雪明り
蒲団敷くしがなき夢を凝りもせず


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「欠餅」
凍てし夜も漸く明くる竈神
冬晴の大空舞へる鳶の笛
不貞寝してをるに笹子の喧しき
欠餅の石となりゆく寒の内
菜を洗ふ水に手を切る寒九かな
山茶花の紅ぞ散り敷く雪の上
貂が来て屋根裏走る小正月
着膨れて不要不急の父帰る
空凍てゝ鵲巣くふ夜の森
乾鮭を酒の肴にしゃぶるなり

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