テーマ:俳句の可能性

「たかが俳句、されど俳句」再考

腸の一句もならず寒かりき 玉宗 俳句に手を染めて三十年以上になる。 この間、俳句を引き摺り、俳句に引き摺られてきたようなものだが、最短定型詩が自己表現の一手段であることを疑ったことはない。勿論、それは私の作ったものが作品としてすぐれているか月並みかということと別問題であるが。ご覧の通りの、殆どは凡百の類想の山であ…
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『俳句大学・今日の一日一句鑑賞・最終回』

「腸の一句もならず着膨れて 玉宗」 一句鑑賞を引き受けて約束の一カ月となった。我儘な鑑賞にお付き合いいただいて恐縮でした。 さて、私事ではあるが、能登半島地震に被災してその復興途上で手を染めたSNS上での俳句更新。毎日十句を自らに課して十年以上が過ぎた。 五年前に『安居抄六千句』なる破天荒な句集を出して、一応の…
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俳句大学一日一句鑑賞

『11月25日の一句』 「木星に住ふ算段懐手 直美」 作者はたしか洋裁に通じている筈だが、「懐手」は本来「和服」を着ている折の仕草であることは承知であろう。洋服の場合はさしずめズボンのポケットに両手をつっこむ「ポケット手」ということになろうが、生憎これは季語として認められていない。「懐手」も着物を着る機会が少なくなっ…
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俳句大学一日一句鑑賞

「11月23日の一句」   「寒鴉熟女ふたりに及ばざる 夢彩」  俳句を評価することばに「面白い」というのがある。「俳句的おもしろさ」と「川柳的おもしろさ」と分けてみたいところだが、要するに最短定型詩の「面白さ」に帰着するんだろうとは察しが付く。いずれにしても「俳句は感性による認識」であるという写生俳句を唱導した…
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俳句大学一日一句鑑賞

「11月22日の一句」 「マシュマロの淡き食感雪催  泰與」 取り合わせの句である。 つかず離れずが理想とは分かっていても中々その離れ具合、つき具合の加減が難しい。 イメージがどのくらい広がるかがポイントなんだろうけど、取り合わせの句は作者より鑑賞する方の詩的世界の広さと共に距離間が試されているのかもしれない。離…
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「俳句大学・一日一句鑑賞余談」

 毎月私の妖しい俳句教室に通っている七十代の御仁が居られる。某結社の同人ではあるが、同人であることに自信がないらしく、頻りに添削を所望する。「俳句添削」を明示してあるだけに、それはそれでいいのだが、はっきり申し上げて、添削というより換骨奪胎した改作と言っていいようなことになってしまうことが多い。それには理由があって、箸にも棒…
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俳句大学一日一句鑑賞

『11月17日の一句』 「富士見ゆる軒に柿干す甲斐の国 正則」 「縄跳びに冬の落暉を入れて跳ぶ 昼顔」 「赤城より凩来たる厩橋  泰與」 写生句の醍醐味は作者の独自なる視線に出会う事であろうかと。それはそのまま作者の感性との出会いでもあろう。全面的に共感できればそれに越したことはないが、全面的とは言えなくても、あ…
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俳句大学「一日一句鑑賞」

『11月10日の一句』 「木枯らしに攫われていく薬指  素子」 「大蒜を叩きつぶして虎落笛   草民」  「句意明解」をよろしいとするのが大勢である。とくに写生俳句を唱導するにあたってよく目に耳にする。然し、どうだろう。「句意」が「明解」であるということはどういうことか考えてみたことがあるかな。俳句が定型詩…
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俳句大学「一日一句鑑賞」

『11月8日の一句』 「大鷲の風を呼び込み飛びたてり 満徳」  つらつらと何の脈絡もなく俳句の正体や可能性について思いを巡らしてみた。今更ではあるが「俳句とは何だろうか」とときどき我に返ったかのように自問自答したくなる。最短定型詩という定義に異議を唱えるものはいないであろう。「詩」「韻文」なのである。「叙述」「散文」…
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俳句大学「一日一句鑑賞」

· 『11月4日の一句』 「星飛んで漬物石の丸きかな 正則」  とぼけた感じがいい感じ。とぼけてはいるが小さな発見は小さいながらに確かにある。一直線な流れ星に対応する漬物石の丸さ加減。それは暗い夜空の底なしの丸さ加減、宇宙空間の手応えのなさに比べれば、手にもとれるほどの確かさであり、その不思議さ加減に作者は目を見張る…
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俳句大学「一日一句鑑賞」

『11月2日の一句』   「放棄田の畦の数珠玉実りたり 貞子」  私は高卒で大学というものに興味もなかったし、家が貧しかったので進学という選択肢を端から持ち合わせて居なかった。だから「大学」という世界を傍から見て想像するしかないのだが、「学ぶことが好き」という人間が通うところなのだろうとは思っている。  「大学」に…
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塩田句碑

塩田に百日筋目つけ通し 澤木欣一 先日、所用で輪島市曽々木の海道を走った。 「窓岩ポケットパーク」となずけられた一画に、「風」主宰・故澤木欣一の「塩田句碑」がある。建立当初は同じ輪島市町野町内の一キロばかり離れた旧町野高校近くにあったものを、後に現在地に移したのである。塩田が海岸とは切っても切れない地場産業であったこ…
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仏教と俳句

白秋や草薙ぐ風の捌きにも 玉宗 「仏教」を「教養」「迷信」として済ますことになって顧みない輩がいる。俳句も又、「教養俳句」としてお目出度い世界の上塗りをする。お目出度いことを悪いとは言わない。それは善悪を越えている現象であり、本質的な問題ではないということだ。このような弁明は私個人の極めて独善的な領域の話で分かりにくい…
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俳句の可能性・ほとんど呟き的な覚書

朝な朝な槿散る散る反古なして 玉宗 わたしにとって俳句は道楽。徒なる遊びごとに命懸けになる輩も少なくないのが人の世でもある。つまり、人生そのものが遊びのやうにものなのかもしれないね。ホモルーデンス、っていうのかな。遊ぶにもそれなりの覚悟がいるだろう。子供は無心に遊ぶ。大人は遊びの醍醐味をさえ分別したがる。 そ…
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賞に権威はいらない?!

「ブックカバーチャレンジ九冊目」 同人誌『件』 井上康明、榎本好宏、櫂未知子、黒田杏子、高野ムツオ、西村和子、仁平勝、橋本榮治、星野高士、細谷喨々、山下知津子、横澤放川の錚々たる各氏が立ち上げた同人誌『件』№35が届いた。年二回発行であることからして、もう結構な年数が経っているんだね。編集長の橋本氏の誼からか、発行当初か…
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夢の力・喜夫第二句集『潜伏期』

「ブックカバーチャレンジ八冊目」 橋本喜夫第二句集『潜伏期』発行所株・書肆アルス 橋本喜夫(はしもと・よしお) 昭和32年北海道霧多布生まれ 平成10年「雪華」入会 平成11年「銀化」入会 平成28年「雪華」主宰継承 集中から感銘句をいくつか。 降る雪のたやすく過去となりにけり 喜夫 地…
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幻の第一句集『雪安居』のこと

FBで流行っている「7日間ブックカバーチャレンジ」を俳句友達の悦ちゃんからバトンタッチされて柄にもなく引き受けたのでブログにも転載する。彼女じゃなかったらお断りしていたことを白状する。こう見えて読書家でもないし、なんか「不幸の手紙」みたいなバイアスの連鎖が面白くない。本の紹介をするに吝かではないが、もっとゆるく好き勝手にさせて戴…
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俳句という出会い

野に下る都忘れの心あり 玉宗 秋口の原稿〆切で結社誌から「現代俳句鑑賞」なるものを依頼されていることもあって、余り気が進まないのだが、それでもこの際にわが俳句鑑賞の心持ちを確認しておくのも無駄ではないようにも思える。 以前にも書いたことだが、「鑑賞」とはつまり私の感性に響く作品を紐解き、謎解き、感応する作業なのである…
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俳誌「栴檀」主宰・辻恵美子

鳥雲に入るやなんとかなるだらう 玉宗 先日、久しぶりに「栴檀」主宰辻恵美子氏から電話があって、五月の大会が十一月まで延期となったと知らせを受けた。俳人協会の方からも自粛要請があったらしい。いずれにしても私は今回も欠席のつもりだった。来年は創刊二十周年ということで記念事業も大会も控えている。今年はその助走。結社の俳句手帳…
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彼岸入り雑感

春遅き風に破れし間垣村 玉宗 今日は春の彼岸入りである。 自坊では昔より特に彼岸の法要はしないのだが、本寺である總持寺祖院は二十日から二十二日までの三日間法要をする。コロナ対応ということで、お斎なし。法要のみとなった。末寺として法要随喜する予定である。このところ教区は勿論、金沢などのお寺さんも法要を中止するという話を耳に…
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「作品」とは?!

風の渚を歩くばかりぞ雁供養 玉宗 覚醒剤や違法薬物を使用して逮捕された歌手や不倫騒動で世間を騒がせた俳優らがマスコミに取りざたされて賑わしい昨今。新型コロナウイルスの大変さも影を潜めてしまいそうな世間の風潮。そのような話題の中で件の歌手や俳優らが関わった「作品」に対して社会はどのような付き合い方をするべきかみたいなプチ論争…
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俳句に埋もれる?!

これ以上背伸びはできぬ梅の花 玉宗 さて、俳句を更新し続けている訳だが、先日第三句集以後の作句数を数えてみたら、21900句を越えていた。 第四句集『安居抄二万句』を出したいなどと嘯いたりしているんだが、数的には十分となっている。この類句類想の山の中から二千句近くを削る作業が残っているのだが、さすがに数が多すぎて聊か腰が…
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俳句鑑賞・その12(最終回)

托鉢の銭も手足も冷えにけり 玉宗 〇12月17日の投句より (承前)偶像を排除した、ありのままの世界。そのあっけらかんとしたあかるさ、ひろやかさ、こだわりのなさ、のびやかさ、厳しさ、というようなものがある。そのようなものから、表現と云う一定の距離を保つこと。なぜかそれがこころを癒し、生きる姿勢を正す。それが詩…
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俳句鑑賞・その11

埋火やいつかは忘れらるゝ身の 玉宗 〇12月13日の投句より 「往きて還る俳諧の心」  生きていることのどうしようもなさ、不思議さ、あやうさ、こだわりのなさ、有難さというようなものがある。生かされて生きているわたしのいのち。それは覆すことのできないほどに目の当りしている事実である。そのような私の地平から望む…
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俳句鑑賞・その10

煤竹をくべて焚火を太らする 玉宗 〇12月9日の投句より (承前) 林間を人ごうごうと過ぎゆけり 谷に鯉もみ合う夜の歓喜かな 海とどまりわれら流れてゆきしかな 暗黒や関東平野に火事一つ 私が初めて金子先生にお会いした昭和50年初頭は、熊谷に棲むようになって年月もそう経っていないころだった…
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俳句鑑賞・その9

煤払ふさ中の雪となりにけり 玉宗 〇12月5日の投句より (承前)五七五、短詩形故に似たり寄ったりの味わいではあるが、似て非なるものであることも確かである。「言葉ひとつ」「助詞ひとつ」も疎かにならない所以でもある。俳句に於ける「切れ」の問題も「間・余情・余白」といった「言葉の掛け橋」へのセンス・感性が試されている…
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俳句鑑賞・その8

近道はなんだか怖ひ雪婆 玉宗 〇一句鑑賞・12月1日の投句より (承前)感性による認識、つまり、言葉という感性がいのちのという感性に影なし、光りなす表現の楽屋裏。そのような離れ業は「無心」でなければできるものではなかろうと思う。「無心になること」私にとってそこが唯一、仏弟子にして俳人であることの証明ともいえるのか…
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俳句鑑賞・その7

暮れてゆく跫ばかり十二月  玉宗 〇一句鑑賞・11月26日の投句より (承前)私にとって俳句を作り続けることは、確かに日常を生きている私の縦軸と横軸の交差の軌跡である。そしてそのような「表現するという作業」が生きる愉しみになっていることを否定することはできない。金にはならないが、欲を越えたところで私を支えている事…
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俳句鑑賞・その6

冬籠り雲の腸見て暮らす 玉宗  〇11月23日の投句より ところで「不易流行」という言葉がある。 「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず・去来抄」「蕉門に、千歳不易(せんざいふえき)の句、一時流行の句といふあり。是を二つに分けて教え給へる、其の元は一つなり。・去来抄」「師の風雅に万代不易あり。…
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俳句鑑賞・その5

山眠るやうに死にたいだけのこと 玉宗 〇11月19日の投句より 子規の跡を継いだとされる虚子は「客観写生・花鳥諷詠」というお題目を掲げて時代の俳句界を牽引していったが、私には子規の「写生」と虚子の「写生」が似て非なるものに思えて久しい。写生と雖も表現であるから当然作者の主観の色合いが出る。人柄というか、匂いという…
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