テーマ:俳句の風景

新到さん、いらっしゃ~い!/その3・挨拶を覚える

僧となる不思議な月日朧にも 玉宗  明日がない筈の旦過寮での生活も何日か続き、それにも慣れてきた頃、突然、古参和尚から次のような事を告げられる。 「明日、入堂するぞ」 「入堂」とは坐禅堂に入ることである。暫到の間は「外単」と呼ばれる堂の外側で坐禅をしていたのだが、入堂すると自分の坐る場所が畳一枚…
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新到さん、いらっしゃ~い!/その2・じっと我慢の子であるべし

少しづつ頭よくなる木の芽どき 玉宗  立ちッぱなしの苦行から開放されて「旦過寮」に通される「新到」さん。思わず心の中で「やれやれ」と安堵する。 然し、まだ正式に安居を許された訳ではないので、「暫到・ざんとう」さんとも呼ばれる立場であることを忘れてはいけない。お客さんでもなく、身うちでもない、変な感じ。「おい、…
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良寛という生き方

堅香子の影と寄り添ふ五合庵 玉宗  良寛さまの周りにはいつも子供たちがいたという。朝も夕方も懐くようにやってくる。それを一つも煩わしいと考えずに子供たちと一緒になって遊んでおられた。また、村人が畑を手伝ってくれと言えば、畑の中に入った。時には草引きもし、家の手伝いもした。月夜の泥棒に黙って蒲団を盗まれたり、墨が…
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涅槃会のこころ

涅槃図の月が最後に巻かれけり 玉宗 釈尊涅槃の日を慕ってお寺では涅槃会法要が営まれます。 僧堂では涅槃会接心を行っているところもあり、坐禅を以って報恩の誠を尽くします。一般のお寺では涅槃会法要を催し、涅槃団子を撒いたりして、お釈迦様の遺徳に思いを馳せ、お粗末な自己の生き方を新たにする機縁ともなりましょう。 仏教…
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出会いという宝 

春風やまだ調はぬ空ながら 玉宗 人を変え、人を育てるもの。それは出会いではないでしょうか。 出会いは人ばかりではありません。生老病死、天災人災、吉凶禍福、毀誉褒貶等々、様々な出会いがあり、そのいずれもが選ぶことができないものばかりです。 然し、本来、選ぶ必要もなく、全てがわたしの学びの糧、全てが私の鏡であること…
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托鉢の風景

托鉢の笠に窺ふ寒怒濤 玉宗  今日は輪島市の海岸沿いの光り浦地区を歩いた。 これが能登の冬の海の正体。こんな日に托鉢もどうかとおもうのだが、しやうがない。ふと、こんな風景の中で道元さんも瑩山さんも托鉢したことはないだろうなあといった感慨が湧いた。一方で、衣を汚したり濡らしたりするような場所や日に托鉢するものでない…
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「たかが俳句、されど俳句」再考

腸の一句もならず寒かりき 玉宗 俳句に手を染めて三十年以上になる。 この間、俳句を引き摺り、俳句に引き摺られてきたようなものだが、最短定型詩が自己表現の一手段であることを疑ったことはない。勿論、それは私の作ったものが作品としてすぐれているか月並みかということと別問題であるが。ご覧の通りの、殆どは凡百の類想の山であ…
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命の尊さ 

いのちほどの火の恋しさに寄り添ひぬ 玉宗 わたくしどもは、社会という謂わば横軸の世界に生きています。政治経済から災害からの復興、コロナ禍への対応といったこともそのような世界での支え合いとも言えましょう。 そして時にそのような地平座標軸でのいのちの価値、評価、相対的意義づけとでも言うべきものを与えられたりします…
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一歩一歩の人生

水っ洟ここにも一人ほとけの子 玉宗 寒行托鉢も中日となり折り返し。 今年は例年になく厳寒の寒中となって頗るやりがいがあるとも言えます。今のところ還暦を疾うに過ぎても歩けていられることに感謝ですな。お命様に合掌。負け惜しみではありません。雪の中、吹雪の中を一歩一歩を踏みしめていく托鉢。それがそのままわが人生であることを…
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仏の日

墓石の雪をのけてや仏の日 玉宗    大本山總持寺祖院管理の亀山墓地には、二祖峨山禅師並びに五院輪住大和尚、そして明治期以後の独住禅師卵塔が建ち並んでいる。 先日、興禅寺の朝の雪掻きを済ませてから、供花を買って亀山墓地に新基建立された本山独住二十三世板橋興宗禅師の卵塔をお参りした。墓地正面の山門を入って左側。禅師の…
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無心に遊ぶ

福笑ひ笑へぬ顔となりにけり 玉宗  М1とかいう漫才を競う催しで優勝したなんとかという二人組の演技が漫才であるのかないのかといったその後の社会の反応が取り沙汰されている。漫才の定義があるのかないか、あるようでないようなことを云う識者や当事者もいたりして、問題があるとしたら那辺にあるのかないのか。どうでもいいような話では…
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雪掻き作務

    雪を掻く朝飯前の顏をして 玉宗   昨夜からの吹雪で境内はアッという間に銀世界。本格的な雪作務の季節となった。昨夜、寝る前に二回雪を掻いて、朝の勤行を済ませての雪作務。思えばお寺の雪掻きは半端ない。小さいお寺ではあるが、参道、駐車場、階段、犬走り玄関先と、一般家庭よりは広い方だろう。そんなお寺を二つ管理しなければなら…
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「行」に生きる

鉄鉢の向かうに続く雪の山 玉宗 今年の寒の入りは五日。昭和六十二年に永福寺に入って以来続けている一人での寒行托鉢。先代住職は還暦を過ぎて辞めたということだが、私は還暦を五年過ぎても辞める気配がない。夫人には年金を貰うようになったら辞めようかなと言っていたのだが、貧しいお寺のお陰で托鉢も生涯現役でやり続けることになりそうだ。…
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 正月寺報

       新年あけましておめでとうございます。 一寸先は闇と言われます。諸行無常なる人生の歩みは、まさに闇を手探りして歩むようなもの。「闇」とは何か?わが思いを越えて展開する生死去来、時節因縁、諸法実相。それをしも人には「闇」と映るのではないでしょうか。  仏道は、そのような危うい人生の闇を歩む、一つ…
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人生の一大事

寺を抜け大根洗ふ水となる 玉宗  人生の一大事とはなんでしょうか。 生きていると次から次と様々な課題が生まれて来るものです。然し、それらの全てが「一大事、重要課題」と言い切るには大いにためらいがあります。一度きりの人生で、そんなことは採るに足りないと言いたくなるような「課題」が結構あるものです。人はただ「食べるために…
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季節のアルバム・結婚記念日

畳替へ終へたる妻が少し老い 玉宗  12月12日はわが夫婦の結婚記念日。 今から三十五年前、金沢大乗寺で板橋禅師式師のもと仏前結婚式を挙げた。これを機に禅師様には「あんたはいい奥さんを貰ったね」と生涯羨ましがられることになる。式が終って外へ出ると一転俄かに掻き曇り北陸名物「雪起し」が轟いたのを夫婦揃って今も忘れない。…
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今日の一大事因縁・成道会

手に享けし成道粥のすぐ冷えて 玉宗    釈尊成道の古を慕って十二月八日に行われる法要を釈尊成道会という。僧堂では一日から報恩接心が修行され坐禅一色の弁道となっていた。世の中は師走の繁忙期であるが、修行僧は腰が抜けるほど坐ることができる勿体なくも有難い時間ではある。言い方を換えれば、仏弟子の面目を施すことが出来る絶好の機…
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黒田杏子第一句集『木の椅子』

黒田杏子第一句集『木の椅子』増補新装版(コールサック社・定価二千円)を頂戴した。 知る人ぞ知る彼の第一句集である。ときに氏は43歳。その清新な俳句が飯田龍太、鈴木真砂女、森澄雄、野沢節子、細見綾子ら、時の重鎮たちの注目を浴び一躍俳句界の新星として躍り出て、だれも予想しなかった協会新人賞やら現代俳句女流賞を受賞したという句集…
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冬安居雑感

暮れてゆく鐘の音にも冬安居 玉宗 近頃は暮れるのも早いが、夜の明けるのも遅く、勤行を終えてもまだ外が暗い昨今である。いつも4時には起きるようにしているが、特にお坊さんが朝が早い訳ではない。町内では新聞配達、豆腐屋さんが朝早くから働いている。漁師さんも早い。というか、前の晩に出漁し、早朝に帰港することもあるようだ。夏場などは…
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俳句大学一日一句鑑賞

『11月25日の一句』 「木星に住ふ算段懐手 直美」 作者はたしか洋裁に通じている筈だが、「懐手」は本来「和服」を着ている折の仕草であることは承知であろう。洋服の場合はさしずめズボンのポケットに両手をつっこむ「ポケット手」ということになろうが、生憎これは季語として認められていない。「懐手」も着物を着る機会が少なくなっ…
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俳句大学一日一句鑑賞

「11月23日の一句」   「寒鴉熟女ふたりに及ばざる 夢彩」  俳句を評価することばに「面白い」というのがある。「俳句的おもしろさ」と「川柳的おもしろさ」と分けてみたいところだが、要するに最短定型詩の「面白さ」に帰着するんだろうとは察しが付く。いずれにしても「俳句は感性による認識」であるという写生俳句を唱導した…
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俳句大学一日一句鑑賞

「11月22日の一句」 「マシュマロの淡き食感雪催  泰與」 取り合わせの句である。 つかず離れずが理想とは分かっていても中々その離れ具合、つき具合の加減が難しい。 イメージがどのくらい広がるかがポイントなんだろうけど、取り合わせの句は作者より鑑賞する方の詩的世界の広さと共に距離間が試されているのかもしれない。離…
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「俳句大学・一日一句鑑賞余談」

 毎月私の妖しい俳句教室に通っている七十代の御仁が居られる。某結社の同人ではあるが、同人であることに自信がないらしく、頻りに添削を所望する。「俳句添削」を明示してあるだけに、それはそれでいいのだが、はっきり申し上げて、添削というより換骨奪胎した改作と言っていいようなことになってしまうことが多い。それには理由があって、箸にも棒…
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俳句大学一日一句鑑賞

『11月17日の一句』 「富士見ゆる軒に柿干す甲斐の国 正則」 「縄跳びに冬の落暉を入れて跳ぶ 昼顔」 「赤城より凩来たる厩橋  泰與」 写生句の醍醐味は作者の独自なる視線に出会う事であろうかと。それはそのまま作者の感性との出会いでもあろう。全面的に共感できればそれに越したことはないが、全面的とは言えなくても、あ…
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誕生日雑感

生きながら命枯れゆくいぼむしり 玉宗 今日11月16日が私の誕生日である。 満65歳になった。年金が戴ける年になってほくそ笑んでいたのだが、早速「介護保険料」なるものの振込用紙が送られてきて、その結構な負担金に生きる気力が萎えていく思いがしたのにはわれながら予想外な心理だった。 介護の世話になる日のための担保と…
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不肖の弟子の弁明?!

僧となる不思議な月日干大根 玉宗 先日、大本山總持寺に於て閑月即眞禅師雲海興宗大和尚の荼毘式禮が厳粛に執行された。出席を誘われたのだが思うところがあってお断りした。その思うところの一端を書いてみよう。  私が縁あって板橋興宗禅師に得度して戴いたのは昭和56年である。当時は公職として大本山總持寺祖院の後堂職に就…
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俳句大学「一日一句鑑賞」

『11月10日の一句』 「木枯らしに攫われていく薬指  素子」 「大蒜を叩きつぶして虎落笛   草民」  「句意明解」をよろしいとするのが大勢である。とくに写生俳句を唱導するにあたってよく目に耳にする。然し、どうだろう。「句意」が「明解」であるということはどういうことか考えてみたことがあるかな。俳句が定型詩…
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俳句大学「一日一句鑑賞」

『11月8日の一句』 「大鷲の風を呼び込み飛びたてり 満徳」  つらつらと何の脈絡もなく俳句の正体や可能性について思いを巡らしてみた。今更ではあるが「俳句とは何だろうか」とときどき我に返ったかのように自問自答したくなる。最短定型詩という定義に異議を唱えるものはいないであろう。「詩」「韻文」なのである。「叙述」「散文」…
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俳句大学「一日一句鑑賞」

· 『11月4日の一句』 「星飛んで漬物石の丸きかな 正則」  とぼけた感じがいい感じ。とぼけてはいるが小さな発見は小さいながらに確かにある。一直線な流れ星に対応する漬物石の丸さ加減。それは暗い夜空の底なしの丸さ加減、宇宙空間の手応えのなさに比べれば、手にもとれるほどの確かさであり、その不思議さ加減に作者は目を見張る…
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俳句大学「一日一句鑑賞」

『11月2日の一句』   「放棄田の畦の数珠玉実りたり 貞子」  私は高卒で大学というものに興味もなかったし、家が貧しかったので進学という選択肢を端から持ち合わせて居なかった。だから「大学」という世界を傍から見て想像するしかないのだが、「学ぶことが好き」という人間が通うところなのだろうとは思っている。  「大学」に…
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