テーマ:一句一首鑑賞

現代の教養俳句・有馬朗人の世界

こだわりはコスモス風に揺るゝほど 玉宗 現代の教養俳句・有馬朗人の世界 『一粒の麦を地に・100句から読み解く有馬朗人』を読んで 批判を覚悟で「現代教養俳句・有馬朗人の世界」と題してみた。 「天為」同人として長らく有馬氏に師事してきたであろう津久井氏の鑑賞文を読み終わっての結論として先ず上げて置きたい。 「…
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津久井紀代著『一粒の麦を地に・100句から読み解く有馬朗人』読後感想控え・その1

銀杏散る万巻の書の頁より 有馬朗人 所属している結社「枻」編集部からの依頼で、「枻」と共に「天為」同人である津久井紀代氏の著作『一粒の麦を地に・100句から読み解く有馬朗人』 (ふらんす堂発行)を読んでいる。その書評を頼まれたのであるが、有馬氏の俳句そのものではなく、あくまで津久井氏の書評である。「天衣」同人として長ら…
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現代俳句観賞「現代の月並・その2」

家といふ雁字搦めや鉄線花 玉宗 「現代俳句」六月号より  おおかみに螢が一つ付いていた  金子兜太 言葉の原型、或いは感性の原型みたいなものを投げ出してくる作者。写生というものをなぞるのではなく、感性そのものをなぞっているかのごときである。肉体の言葉、言葉の肉体化と云いたくなる。ここにある感性は童話的でさえある…
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「現代俳句観賞・その4「現代の月並」

お隣の躑躅が燃えて目に余る 玉宗 榮猿丸・句集『点滅』ふらんす堂より ローリング・ストーンズなる生身魂 榮猿丸 俳句は省略の妙ではあるが、それにしてもなんだかものたりない。余りに読み手に放り投げすぎていないか。写生不足というより表現不足ではなかろうかと。 黒板のふかみどりなる梅雨入かな わるくはない…
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現代俳句鑑賞・その3「俳句という自己更新」

鈴が鳴る花のかたちや夏めきぬ 玉宗 犬吠の海見て二月始まれり    和田耕三郎 冬の終わりと早春の気配に浸ろうとする作者の静かな気息が感じられる。二月という冬が終わり切らず春にもなりきっていない季節。人の世の二月が始まろうとしている。 梟のきのふの声と思ひけり    しなだしん 夜の番人、梟。その声が昨日の声…
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現代俳句鑑賞・その2「現代俳句の感性」

ひとつひとつ椿は紅を尽くしけり 玉宗 記憶谷追憶運河牡丹雪 黒田杏子「藍生」5月号より 花びらのくる月山の暁のいろ  同 蛇笏賞作家である。独自の人柄、感性が俳句にも色濃く出ていると以前から思っている。氏には名詞だけの作品がときに散見される。一見、その句風の潔さが男性的のようにも受け取れるが、私などには短歌を支…
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現代俳句鑑賞・その1「様々なる意匠」

かんばせに朝のひかりや五月来る 玉宗 支へ木も一つ年とる桜かな 辻恵美子 句集『帆翔』より 根尾谷薄墨桜の写生らしい。支え木、あれは桜のいのちを支えている姿にほかならない。そんな支え木も風雪に耐えて花見の季節をむかえた。いのちを継ぎ守ることのたくましさ、切なさ。それは薄墨桜を守る人間への思いでもあろう。 戸…
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たんぽぽ俳句管見

たんぽぽの臍のあたりが頑固なる 玉宗 こたつから見ている丸いだけの山 坪内稔典 「船団」第100号より 私の偏見ではあるが、現代俳句の実作評論に長けている作者は、言葉に過剰な負担を掛けない、作品は読み手が好きなようにうけとればいい、といったようなことを信条にしている作家だと捉えている。言葉遊びに徹する。本人も…
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辻恵美子自註句集

三十代終る幾つも螢見て 辻恵美子  「栴檀」主宰・辻恵美子自註句集(昭和46年から平成20年までの作品300句)には「実につく俳句の面白さ」に満ち溢れている。掲句は三十代が終らんとする感慨を螢の乱舞の中で捉えたもの。還暦を過ぎた氏の作品から敢えてこの句を取り上げたのには、好奇心旺盛な作者の面目が如実に窺えるからであるし、そ…
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「枻」8月号・作品鑑賞など

解夏の僧らしきが駅をうろつきぬ 玉宗 「枻」8月号 「ふるさと紀行」  市堀玉宗 妻寝かせ夏あけぼのへ舟を出す 夏空の鴎の腋のさびしさよ 呼ばれたる如くに青嶺振り返る いたどりの花高々とわが生地 泊めてもらふ本家の厚き夏蒲団 虹の向かうの故郷に何度生きたやら 陽炎の向かうに手…
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夢うつつ・二十句

三尺寝うつつを少しはみ出しぬ 玉宗 「夢うつつ・二十句」 水打つや唐紅の下駄履いて 三尺寝うつつを少しはみ出しぬ 血塗られし指もて梅を干しにけり 羅やうつつを夢と着こなして 海へ向く先祖の墓を洗ひけり 西瓜食むざぶざぶざぶと母の家 気が触れる音のしてゐる旱かな まづ妻の名…
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「俳諧の誠」と「俳句における文学性」

気になつてせうがない向日葵の高さ 玉宗 昭和21年5月1日に創刊した俳誌「風」創刊の言葉に次のような一節がある。 「前略・われわれは何よりも第一に俳句における文芸性の確立を念願しております。生きた人間性の回復、新しい抒情の解放、直面する時代生活感情のいつはらぬ表現。この三つがわれわれの発足するものの作句上の道標で…
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「枻」7月号・作品評など

海山のこゑにそば立つ花うつぎ 玉宗 「枻」(代表・雨宮きぬよ・橋本栄治)7月号が届いた。期間限定で作品評を書いたので自作と併せて掲載分を紹介する。 「空に鍵」   市堀玉宗 鶯や空にも鍵があるらしき 虚子の忌や寄らば大樹の腐臭あり はこべらや斃れし土のやはらかさ つばめつばめ空の扉の開くる…
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俳人協会新人賞・三者三様の世界管見

かざらないことばよかりし桃の花 玉宗 俳人協会の本年度の新人賞大賞句集が発表された。選考対象句集14編から以下の3氏の句集が選出された。選者は5人。野中亮介、小澤實、今井聖、島谷征良、山本洋子の各氏である。新人賞は句集としての完成度、充実度もさることながら、作品・作者に将来性を探るといった視点も見逃されないのだろう。佳句は…
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坊城俊樹の俳句・句集『日月星辰』

如月のこころもとなき星ばかり 玉宗 「花鳥」主宰・坊城俊樹の第三句集『日月星辰』(飯塚書店発行)を読ませて戴いた。 ほぼ同年代である氏とは能登の俳句大会などで選者として席を同じくしたことが何度かある。永福寺にある虚子の句碑がご縁で叔母さんにあたる稲畑汀子氏と来寺された以来の知己でもある。 知っての通り、氏は高浜虚子を曾…
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俳句の肉体・伝統と新しみ

臍の緒に似たる牡丹の芽が怖い 玉宗 コンビニのおでんが好きで星きれい 神野紗希 インターネット上で知る限りであるが、田舎にいる私の目にも、この句がちょっとした話題になっているように見受けられる。 ここには口語俳句の面目が躍如とは言わないまでも、いくらかは実現されているようにみえる。「口語俳句の面目」とは何か?それは…
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高野ムツオ著『時代を生きた名句』

けふよりは秋の簾ぞなり下がる 玉宗 高野ムツオ氏より『時代を生きた名句』を送呈して頂いた。本書は、高野氏が「NHK俳句」2009年4月号から2012年3月号までの3年間、「時代を生きた俳句」「歳月を映した俳句」として連載したものを加筆、再構成したものである。「大人のための俳句鑑賞読本」というサブタイトルが付いている。その中…
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「詩人の良心」 関悦史句集『六十億本の回転する曲がった棒』

    夕顔のごろりと二十一世紀 玉宗 関悦史第一句集『六十億本の回転する曲がった棒』(邑書林発行)を読んでいる。八百句近くに及ぶ第一句集である。本句集で才能ある新人発掘に寄与している今年度の田中裕明賞を受賞した。 ブログやツイッターをし始めて知った俳人が結構いる。能登の田舎で井の中の蛙のごとき俳句を呟いている私にとっ…
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「豈」53号読後感想・その3「解る句・解らない句ー高山れおなの場合」

無い知恵を絞りてをるや蝉しぐれ 玉宗 「豈」53号から今回は高山れおな氏の作品にアタックしてみたい。高山れおなと云えば、ウィキペディアで以下のような紹介がされている人物。 高山れおな(たかやま れおな、男性、1968年7月7日 - )は、俳人。茨城県日立市生まれ。本名同じ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業[1]…
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「豈」53号読後感想・その2「震災俳句」

歳時記を枕に眠る大暑かな 玉宗 「豈」誌上でも作品を発表している第三回田中裕明賞を受賞した現代俳句の旗手・関悦史。彼が批判の矛先を掲げている朝日俳壇選者長谷川櫂の「震災句集」とは以下のような作品が並んでいるらしい。 生き残る人々長き夜を如何に あかつきの余震もしらず朝寝かな 風鈴や呻くがごとく鳴りはじむ …
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「豈」53号読後感想・その1「見える句、見えない句」

蓮池を廻る頭の悪き日で 玉宗 邑書林から発売されることになった「-俳句空間ー豈 (53号)」を読んでいる。「豈」52号読後評で夏木久氏が文章の最後に引かれたパウル・クレーの言葉を私も挙げてみよう。 <芸術とは見えるものを複製することではない。というよりむしろ、見えるようにするのだ> 所謂「写生俳句」は見えるもの…
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俳句実作の現場・「栴檀」の場合

不如帰遠音に山の深さあり 玉宗 俳句結社「栴檀」7月号が届いた。辻恵美子主宰の巻頭言と同氏による句会での講評などを紹介しよう。 <樹下随感 112 助動詞「けり」について  辻 恵美子 会員投句の「栴檀集」の選をしていると、時々文法的誤りが目につくのだが、その一つに助動詞「けり」がある。 「けり」は動詞…
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俳句指導の実際・俳句結社「栴檀」の場合

水無月の綺麗な風を写生せよ  玉宗 俳句結社『栴檀』六月号・第116号が送られてきた。辻恵美子主宰になる同人句会の講評を紹介しよう。 「辻恵美子選と講評」 凍星や貨車連結の重き音   大平勝子  よく詠まれる句材だが「凍星」が良い。 枯山や女の声の尾を引いて  藤田佑美子  「尾を引い…
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写真俳句ブログ<青の句会>70句鑑賞

世を拗ねて青きつむりの涼しさよ 玉宗 いつも楽しませて戴いている写真俳句ブログのみなさん。今回は「青の句会」ということで一句の中に「青」の一字を入れての作品です。全70句の市堀の短評を載せてみました。忌憚なく云いたいことを言っていますので、その辺は市堀の偏見に満ちた鑑賞ということでご海容のほどを。 総じての感想ですが…
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飯田龍太の夕暮れ

蒼ざめて雪の夕べは来たりけり 玉宗 飯田龍太の句で忘れられない作品がある。 雪の日暮れはいくたびも読む文のごとし 龍太 雪の夕べはまさに龍太の作品世界そのものだったことに気付かされ、その感性に驚かされもしたものだった。いろんな解釈で受け取られるだろうが、雪降る日暮れ、或いは雪の積っている夕べの雰囲気というものが…
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寺山修司という生き方・「私性」へのこだわり

雪婆うしろの正面誰もゐず 玉宗 死はあたかも一つの季節をひらいたようだった   堀 辰雄 寺山 修司といえば、詩人、劇作家にして演劇実験室「天井桟敷」主宰、歌人、演出家、映画監督、小説家、作詞家、脚本家、随筆家、俳人、評論家、俳優、写真家などとしても活動、膨大な量の文芸作品を発表し「言葉の錬金術師」の異名があった。上…
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初時雨

ひつじ田に菜屑捨てゆく初時雨 玉宗 俳句誌『栴檀』今月の課題は「コスモス・秋桜」であった。  季語のコスモスは和名が「秋桜」であるが、コスモスの方がしっくりしていい。メキシコ原産だという。花の色は多彩である。飯田龍太が歳時記で次のような解説をしている。「垣根のすみ、路傍や小川のほとり、空地の雑草の中でも咲く。秋にはなくて…
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林翔の100句を読む「自選100句 俳句と生涯」

昨日より明日は遠き唐辛子 玉宗 平成21年11月9日九十五歳で亡くなった林翔氏。林氏といえば、俳誌「沖」主宰・故能村登四郎のもとで創刊当時からの同志的存在であり、編集に携わるなどして「沖」を支えていた俳人であり、その俳風は年齢や教師であるという生真面目さを感じさせない若々しい表現をされるお方というイメージを抱いていた。 …
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山本洋子句集『夏木』・俳句という身ほとりにあるもの

露けしや躓きやすきわたくしに 玉宗 俳句同人誌「晨」編集長である山本洋子氏より第六句集『夏木』ふらんす堂刊を贈呈して戴いた。氏とは今年の「栴檀」創刊10周年記念俳句大会で岐阜でお会いしている。桂信子や大峯あきら氏に師事された女流俳人として既に名を馳せておられるベテランである。慎ましく穏やかな人柄が滲み出ている作品群であり、…
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青山茂根 句集『Babylon』 俳句という可能性

外に出れば誰も旅人秋の暮 玉宗 「銀化」同人の青山茂根氏より句集『Babylon バビロン』を寄贈して戴いた。青山氏とは短い期間ではあったが「銀化」でご一緒したことがある。田舎者の私には、才気活発、好奇心旺盛と言わんばかりの煌めいた大きな瞳が印象的であった。俳句界の若手として新しい俳句の地平を開拓し、活躍しているのが頼もし…
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