再生への旅

アクセスカウンタ

zoom RSS 角川俳句賞の思い出

<<   作成日時 : 2010/10/27 05:22   >>

トラックバック 0 / コメント 5

画像


淋しさに又灯を点す源義忌 玉宗

私が「雪安居・五十句」で第41回角川俳句賞を受賞したのは平成7年である。阪神大震災、地下鉄サリン事件があった年なので忘れることはない。同年に野中亮介氏が「風の木・50句」で第10回俳句研究賞を受賞している。その後俳句研究賞は平成18年第21回で中止となった。野中氏は私と同年代の控えめで大人しい感じの歯医者さんで、馬醉木同人。今も活躍されている実力派の俳人である。

選考委員は稲畑汀子氏、福田甲子雄氏、川崎展宏氏、三橋敏雄氏の四氏。「雪安居50句」は作品の絶対的評価というより、総応募作品の中での相対的評価を頂いたらしい。その辺が貰った本人にしてみれば、面映ゆかった訳である。その恥じらいと戸惑いは今でもある。誰でもない、市堀玉宗らしい俳句、絶対的な作品をつくりたいというトラウマのようなものができた所以であると思っているが、現実は尻すぼみの俳人モドキ。人様の注目の的になる授賞式には出たくない思いもあったのだが、戴けるものはなんでも貰っちゃえ、と意を決して駆け付けたわけである。

画像


授賞式では先ず角川書店の現社長が挨拶した。続いて各受賞者が前に出て挨拶をしなければならない。何を話したのかよく覚えていないのだが、祖院の夏安居を抜け出して東京に来たこと、梅雨時ではあるか東京は湿っぽくないこと、自分がオーム真理教ではないこと、東京は修学旅行で通り過ぎて以来だということなどを話した。ついでに調子に乗って即興の一句を披露したり、その田舎者の図々しさが大いに会場を盛り上げてしまったらしい。まあ、顰蹙を買っていたのも事実であろうが・・

「角川賞」は前年の平成6年には阿部静雄氏、早野和子氏が受賞している。今でもマスコミで活躍している 黛まどか氏は「B面の夏・50句」で奨励賞を受賞し、正賞受賞者より注目されるという現象があった。 父は俳人の黛執氏。同年、女性のみの俳句結社「東京ヘップバーン」を立ち上げたり、女性会員による俳誌『月刊ヘップバーン』を創刊、代表となる。句集『京都の恋』で第2回山本健吉文学賞を受賞。『月刊ヘップバーン』を通算100号で終刊したが、その後も現代俳句を代表する女流俳人の一人として活躍している。

画像


そのまどか女史と平成7年の授賞式で同席し写真に納まったりしている。実はその年まで授賞式は「蛇笏賞」「角川俳句賞」「俳句研究賞」各賞の受賞者が一堂に会して行われていた。三賞合同の授賞式は私のような者が受賞したことで賞の品格を下げたのかどうか、翌年からは「蛇笏賞」を別格として切り離されたようだ。その年の「蛇笏賞」受賞者は鈴木六林男氏「雨の時代」であった。前年が中村苑子氏、翌年が沢木欣一氏である。授賞式会場である東京会館のホールは多くの有名無名有象無象の俳人諸氏でごった返していた。

そんなどさくさに紛れて、黛まどか氏と記念のスナップ写真を撮ったり話しを交わしたりした。後日、それを夫人に言いふらし、写真を見せたが軽蔑されてしまった。余りにも浮ついた振る舞いに見えたのであろう。確かに鼻の下が伸びたスナップが今も手元にある。

画像


当時、私は俳壇など知る由もなく、「風」の主宰である沢木先生ともそこで初めてお会いしたし、個人的ご縁があった金子兜太先生とは秩父の寺を逃げ出して以来の再会というものであった。世間知らずと言うものは恐ろしい。何の実力もないのに大きな顔をして俳人先生達と乾杯していたのだから、思い出すたびに赤面の至り、いやな汗が出てくる。

然し、あの体験で未だに印象に残っている著名俳人が何人かいる。それは、無名で、田舎者で、お坊さんである私にごく自然体で声を掛けてくださった方であることに気づく。黒田杏子氏、鈴木真砂女氏、能村登四郎氏、中村苑子氏、倉橋羊村氏等。既に亡くなられたお方もいるが、私が言うまでもなく、どなたも自己の俳句世界を築かれた方々ばかりである。文芸の世界でも、実力者とは、相手が有名無名の分け隔てなく心を開き言葉を掛けてくださるものだということを知った体験でもあった。

あれから既に十五年が経つ。受賞して数年は『俳句』誌などから作品依頼があったが今では殆どなくなり、過去の人となってしまった。元来、俳壇には興味もなかったので、俳人とのお付き合いも限られている。現代俳句界も世代交代は勿論、俳句そのものの様子、その流行も様変わりしているもののようだが、本来、流行と不易は俳諧の宿命である。俳句も俳人も大いに新陳代謝してほしいものだ。





よい記事と思われましたらポチっとお願い致します。合掌
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 禅・坐禅へ

にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人間・いのちへ


テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
おはようございます
 実力派の玉宗さんをお手本にしたいです。

湘次
2010/10/27 09:19
キラ星のような方々の中で、のびのび楽しまれた玉宗さまが見えるようです。
でも、ツーショットならば、他のどなたよりも黛まどか様がベストですよね!
まのじ
2010/10/27 10:59
初雪も溶けて僅かな水の珠   よし
yoshiyoshi
2010/10/27 11:14
こんにちは。
南瓜の写真好きです。
玉蜀黍の色が面白いです。

昨日はほんとに寒かったです。
歩道が黄色いので
近づいたら銀杏でした
葉っぱは
まだ青々としていました。

実を5つ
葉を5つ
拾ってきました。

私はお正月なぜか森まさこさんと
写真を撮りましたが
昨日は結構怖い顔で
テレビに映っていました・・・・

その点黛まどかさんはいいですねぇ
何時見ても綺麗です。
いらくさ
2010/10/27 12:07
みなさま、コメントありがとうございます。合掌

 湘次さま。
お手本にもいろいろありますから、どうぞ、事故責任ということで。(笑)

 まのじさま。
実は、その写真、あるとばかり思っていたのですが、なくなっていました。恐らく、夫人が焼却したのではないかと・・(笑)

 よしさま。
「綿虫の手に透けてゆく虚空かな 玉宗」

 いらくささま。
森昌子さんですか・・ん〜、やっぱりまどかさんの方がいいかな。(笑)森さんも色々苦労されているようですね。方の力を抜いて頑張ってほしい、みたいな感じですね。
市堀
2010/10/28 21:51

コメントする help

ニックネーム
本 文
角川俳句賞の思い出 再生への旅/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる