再生への旅

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zoom RSS わが青春の大乗寺

<<   作成日時 : 2012/06/25 04:16   >>

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青蛙遥かなものに応へけり 玉宗

東香山大乗寺は金沢市長坂町を裾野とした大乗寺山中に歴史の重みを湛えてひっそりと控えている。僧堂の托鉢は通用門である黒門を出て、山裾に広がる長坂町界隈を目指して降りて行く。文字通り、山を出て行くのである。私が雲水であった三十年前も現在もその風景は変わらない。

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大乘寺には、山号の他に古くは椙樹林、金獅峯といった号がある。御開山は、福井県の曹洞宗大本山永平寺の第三代・徹通義介禅師。徹通義介禅師のお弟子が瑩山紹瑾禅師。瑩山禅師は、大乘寺第二代となり、やがて羽咋永光寺、ついで大本山總持寺を開き、日本で最多寺院を擁する曹洞宗の基盤を盤石なものとする。道元禅師が高祖と尊称され瑩山禅師は太祖と仰がれている所以である。

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このように大乘寺は、永平寺、總持寺の両大本山とも特別の由緒をもつ寺院。江戸時代には二十六世中興月舟宗胡禅師、二十七世復古卍山道白禅師が登場し、道元禅師の古風を尊重し、清規をととのえ、「規矩大乗」の名を天下に知らしめ、禅の厳格な修行道場として世にその名を高めてきた。現在も、大乗寺専門僧堂として仏弟子の出世道場であることは勿論、参禅道場として一般の志ある多くの居士大姉を受け入れている。

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大乘寺の伽藍は、わが国禅宗建築なかんずく曹洞宗寺院建築の典型的な七堂伽藍の配置を示しており、仏殿は国の重文指定、その他の建物は、県、市の指定有形文化財となっている。城下町金沢を眼下の森の中に聳え立ち控えている。

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毎週日曜日は参禅会が開かれている。この日も午後から坐禅二拄。そして法話。私も途中から参加し、久しぶりに坐禅堂の内単でじっくりと坐らせて戴いた。森の静寂の真っ只中にいると三十年前と何も変わらない雰囲気に胸が締め付けられる。それは過ぎ去ったわが青春の雲水時代の光りと影が木漏れ日のように交差するからなのかもしれない。

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あの伽藍もこの石仏も、燈籠も露柱も、草木も、往時の面影のままであるのが切ない。思えば、そのような伽藍や自然の中で何百年に亘っても変わらない行持を繰り返している生き方、十年一日、千年一日の生き方。それは奇蹟であるとともに、有為転変極まりない諸行無常の社会の中で特異な、そして極めて得難い尊いものであることを実感する。

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私がいてもいなくてもなんともない世界がある。
私という些細な、取るに足らない存在は、その様な世界と一体であるが故の一部である、というような揺るぎなさ、自在さというものがあってもいいのではなかろうか。梅雨曇りの湿った山気を感じながら苔むした境内を歩きながらそんなことを思ったりしていた。

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第一句集『雪安居』より・夏の句抄

メーデーに托鉢の道ゆづりけり
折からの卯の花腐し眠るべし
忘れ去るための半生更衣
くちなはと仏の森に隠れ棲む
麦秋や僧となる子に海見する
甘え鳴く声もおのづと鴉の子 
なにはさて昼寝してからのちのこと 
筍飯食ふて世に出ることもなし
諦めて降りて来るらし天道虫
托鉢の脚なげだして雲の峰
ふるさとを遠くはなれてゐる素足
父母のあの世気になる暑さかな
三尺寝觀音堂をはみ出しぬ 
先立ちて厠へ急ぐ蛍かな
梵鐘の中にただよふ蛍かな
蟻の列七堂伽藍巡りをり
叱られて僧となる日々百日紅
蚰蜒が先にきてゐる寝床かな
仏弟子のさびしさに淵およぐなり
子燕のゐなくなりたる庇かな
叱られに来て風鈴を聞いてゐる
穀象を運命線に這はせをり
何も手につかぬ大暑の無用者
瀧行者襤褸のごとくに眠りをり
仏弟子の由緒正しき昼寝なり
参籠の寝言歯軋り青葉木莵 
侏儒となり南瓜の花に眠りたし
ことのほか布薩の夜の冷し酒
百僧を煙に巻いたる竹婦人
山門に子等駆け戻る夕立かな
紫蘇を揉む寺の優しき男達 
草毟るために出家をしたやうな
床に入る足裏の汚れ夏安居
世に遠く生きてし祭り囃子かな
参籠の山を出てゆく敗戦忌 
擦れ違ひたる草笛の高鳴りぬ 







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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
>穀象を運命線に這はせをり
私も虫が触りたくなって来ました(笑)
いらくさ
2012/06/25 04:23
フローレンスからボナセーラ
我が青春の。。。重みのあるタイトルにジーンときました。半世紀女の心に沁み入ります。
Florentia55
2012/06/25 06:51
筒鳥やマドロスシャツが不釣合   よし
yoshiyoshi
2012/06/25 07:12
いらくさ様。
余り気持ちのいいものではありません。(^^)

Florentia55樣。
同年代のおしみで、共感するところが多々おありかと・・・。

yoshiyoshi樣。
昭和の匂いが・・・。(^^)
市堀
2012/06/27 19:24

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